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神奈川県発、アート・カルチャーメディア「マグカル」。ミュージカル・音楽・演劇・映画など県内のアート情報を発信します。

《マグな人々》 第1回 西川りゅうじん氏

《マグな人々》 第1回 西川りゅうじん氏

マーケティングコンサルタント/マグカル・テーブル座長

「マグカル」を進めていくために、神奈川県と横浜市を中心とする市町村が連携し、有識者による企画委員会「マグカル・テーブル」を設置しています。
その委員を《マグな人々》としてご紹介していきます。第1回は、同テーブルの座長を務めているマーケティングコンサルタントの西川りゅうじん氏に、「マグカル」の取り組みと、2020年の「東京オリンピック・パラリンピック」のセーリング競技会場となる藤沢市での活動などについてお話を伺いました。



西川りゅうじん氏(Reugene Nishikawa)プロフィール
マーケティングコンサルタント/マグカル・テーブル座長
1960年兵庫県出身。ヒルズ、モリゾー&キッコロ、せんとくん、焼酎ブームの仕掛人として知られる。
観光庁専門委員、神奈川県地方創生推進会議委員、小田原市観光協会総合アドバイザー、藤沢市商店街活性化アドバイザーなどを歴任。





Interview&Text&Photo:三沢真理


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西川りゅうじん氏

「マグカル」の取り組み

-「マグカル」がスタートしたきっかけは?

 「マグカル」は「神奈川県を“東洋のブロードウェイ”にしよう!」という黒岩祐治知事の思いに賛同する仲間が集まり、スタートしました。
県と横浜市を中心とする市町村が連携し、文化の力をマグネットにして、神奈川県の魅力と価値を高め、国内外に発信して行こうという取り組みです。
幕末の1859年に横浜港が開港して以来、神奈川県、横浜市には、東洋と西洋が融合し、さまざまな文化が花開きました。例えば、1870年(明治3年)には、日本初の本格的な西洋式劇場「ゲーテ座」が設立され、1875年(明治8年)には日本で初めて「ハムレット」が演じられました。日本のシェイクスピア演劇の先駆者である坪内逍遥も「シェイクスピアの舞台を初めて観た」と記しています。
 その後、横浜には数多くの芝居小屋が立ち並びました。人気役者の名前の旗が林立し、呼び込みの声が響きわたり、大変な活況を呈したと言います。しかし、1923年(大正12年)の関東大震災と、その後の第二次世界大戦の戦災で、そのほとんどが姿を消しました。
その結果、戦後、“神奈川都民”という言葉の通り、神奈川県は経済のみならず、文化的にも東京都に従属するようになって行ったことは否めないと思います。
ところが、近年、国内外の演劇や舞台関係者の取り組みが花を咲かせ、再び、神奈川県が文化の中心の座を取り戻しつつあります。そういった県内のいろいろな文化芸術の活動をつないで発信して行くために、「マグカル」が幕を開けたわけです。
そして、そのために、神奈川県内各地のあらゆる文化芸術に関するポータルサイト「マグカル・ドット・ネット」を2012年から開設し、リアルタイムで情報発信をスタートしています。

 

-「マグカル」では具体的にどんな活動を行ってきたのですか?

「マグカル・フェスティバル」と銘打ち、KAAT(神奈川芸術劇場)などの公共施設や歴史的建造物であるキング(県庁本庁舎)、クイーン(横浜税関)、ジャック(開港記念会館)の横浜三塔を活用したイベントを開催したり、次世代のアーティストを発掘・育成するために「マグカル劇場」を設けたりしています。
また、神奈川県が生んだ日本を代表する劇作家・演出家の横内謙介さんを塾長に迎え、「マグカル・パフォーミングアーツ・アカデミー」を開校したり、演出家のラサール石井さんが「HEADS UP!」という日本トップの数々の賞に輝くミュージカルを催すなどの活動を行っています。
一方で、「リ・古典」という県内各地に伝わる人形浄瑠璃など伝統的な古典を今に伝える試みも紹介するなど、古今東西の文化芸術にスポットライトを当てています。

-2019年の「ラグビー・ワールドカップ」の決勝戦は横浜市で開催され、2020年の「東京オリンピック・パラリンピック」のセーリング競技は藤沢市の江の島で開催されますが、「マグカル」としての連動・連携は?

2つの国際的なスポーツイベントによって、神奈川県に世界中からアスリートのみならず、観光客に来ていただきます。
“記録”に残るスポーツの競技はその日のその時間だけですが、多くの人たちの“記憶”に残るのは、私たちの食文化や日常の生活文化も含めた神奈川県各地の文化芸術に違いありません。言わば「記憶のレガシー(遺産)」づくりですね。ニューヨークやパリやウィーンを訪れた人がミュージカルや舞台やコンサートを楽しむように、神奈川県でスポーツを“観戦”するだけではなく、一生涯の思い出になるような“観劇”を楽しんでもらえるようにしたいですね!

-りゅうじんさんが考える「マグカル」のキーワードは?

流行性感冒ならぬ「流行性感動」です。“感動”とは“感”じて“動”く書きますね。感じたら動いてこそ感動なんです。ミュージカルでも舞台でもパフォーマンスでも歌でもアートでも、演者や裏方の人たちの熱い想いが自分に伝わって感動する、すると、その感動を友だちや家族に伝えたくなる、自分でもやってみたくなる。そうやって人から人へと感動のウイルスが伝わって行くことで、神奈川県がおもしろくなって行くんだと思います。
文化って、やっぱり、感動する力ですよね。喜怒哀楽の想いが琴線に触れ、魂が揺さぶられる。現在は何でもモノがあふれた物質的感動飽和の時代です。でも、誰しも心が満たされない時がある。舞台や映画を観たり、音楽を聴くことで癒されたり、誰かと一緒に踊ることで心が躍ったりする。それが自分自身の磁場を創るマグネットになり、そのパワーが集まったときに、神奈川県のマグネット・カルチャーになって行くんじゃないでしょうか。

2020年の「東京オリンピック・パラリンピック」のセーリング競技会場となる藤沢市での活動

-りゅうじんさんは藤沢市の皆さんとも新たな文化をクリエイトしていますね

市のまちづくりアドバイザーとして、藤沢駅周辺の商店街の皆さんと「藤沢駅商店街元気サミット」を何度も開催しました。そこから、藤沢のおもしろい老若男女の縦・横・斜めのネットワークができて、さまざまな試みがスタートしています。
たとえば、「藤沢南口らんぶる商店会」は、高度成長期には商店会の加盟店が200軒もあったのに、バブル崩壊後の失われた20年を経て、今や45軒にまで激減してしまいました。商店街の街灯の電気代も会費で賄っているのですが、会費を払っても得がないと商店会に加盟しない店舗が増え、ついには切れた電球を取り換える資金さえ底を尽いて、真っ暗になってしまいました。
これでは、防犯上も危なくなり、さらにお客が減ってしまうと、小栗誠会長ら若手リーダーはイベントで集客することを考えました。しかし、通りにイベントを行うスペースもなく、イベントを行っても、おのおののお店の集客に直結するわけでもありません。
そこで、皆さんと私が相談する中で、戦後、藤沢でも活躍していた“ギター流し”を復活させようということになりました。流しは、イベント会場がなくても、各店舗をめぐって、お客様によろこんでもらい、お店を盛り上げることが可能だからです。
さっそく、私の友人の「平成流し組合」のパリなかやま代表に相談し、男女2人の流しアーティストに商店会の加盟店や候補店を回ってもらったところ、懐メロからJPOPまで大合唱になるなど大好評を博しました。また、新聞各紙やテレビにも大きく取り上げてもらい、2017年度はますますパワーアップして、古くて新しい藤沢の名物にしようと盛り上がっています。

-1964年の「東京オリンピック」の頃のにぎわいを取り戻そうという動きがあると聞きます

前の「東京オリンピック」の頃までは、藤沢駅周辺は料亭が立ち並ぶ“花街”としてにぎわい、芸者さんや舞妓さんが街を歩き、三味線の音が聞こえてくる粋な街でした。
その頃、北口の藤沢柳通り睦会では、島倉千代子さんが歌う「藤沢やなぎ小唄」、村田英雄さんと五月みどりさんがデュエットしている「藤沢ばやし」のレコードが日本コロムビアからリリースされました。
柳通り睦会の沼上治家理事長をはじめ現役の若手メンバーが、「こんなお宝を眠らせておいてはもったいない!」と立ち上がり、往時の写真を商店会の先輩方や市役所の皆さんで集めました。そして、コロムビアにも了解をいただき、私が動画を作成してインターネットの動画サイトにアップしました。この夏から、街のお祭りで、2曲に合わせて舞う昔の踊りも復活する予定です。

-藤沢は若い人たちが元気なんですね

眞子さまのご婚約者で全国的に有名になった“海の王子”はもちろん、本当におもしろい人たちが一杯います。藤沢駅前の「フジサワ名店ビル」には30年ぶりに湘南で唯一のビアガーデンが復活して、毎夏、にぎわっていますが、私が発案したところ、湘南で一番人気のお肉のお店を経営する吉田亘良さんがすぐに形にしてくれたんです。
竹中祥子さんという若い女性は、カンヌ国際映画祭に行った後、「どうして藤沢には映画祭がないんだ!」と「藤沢国際映画祭」を開催しています。さらには「藤沢に映画館がないのはおかしい!」と「シネコヤ」という小さな映画館まで造ってしまいました。
首都圏から関西まで広がっている「ちょい呑みフェスティバル」の主催者の小林剛輔さん、藤沢産の小麦を一から作って、それで作ったいろいろな食べ物を楽しめる「藤沢粉もんフェスティバル」を開催しているヨッシーこと吉川ゆうじさん、住宅街の中に点在するバラバラの店を一つの商店街にまとめ上げた鈴木一哉さん、魚醤を復活させた高橋睦さんをはじめ元気な若者が活躍している“人間動物園”のような街ですね。

-藤沢と言えば江の島ですが「藤沢宿・遊行の盆」も全国的に注目されつつありますね

藤沢は、明治以降、湘南の中心地として発展して来ましたが、江戸時代は東海道の宿場町・藤澤宿として栄えました。しかし、元はと言えば、鎌倉時代に、盆踊りの元祖として知られる一遍上人が開いた時宗の総本山「遊行寺」(清浄光寺)の門前町として開かれた町です。

毎年夏に開催される「藤沢宿・遊行の盆」には、地元の遊行おどりのみならず、国の重要無形文化財の岐阜・郡上八幡の郡上おどり、秋田・羽後町の西馬音内盆踊りをはじめ、日本を代表する盆踊りが集結する、言わば、街全体が日本の盆踊りのショールームになります。
昨今、若者やインバウンドの観光客の間でも盆踊りが人気で、藤沢はそんな“盆おどらー”の聖地になっています。
しかし、近くの同じ東海道の宿場町だった小田原や平塚の人たちの中で「遊行の盆」を知らない人も多いでしょう。逆に藤沢の人たちが小田原の「北條五代祭り」を知らなかったり、知っていても行ったことのない人が少なくありません。
つまり、江戸時代より現代の方が“時間的には近くても文化的には遠い”のです。行った気・知った気にならず、まず自分が行く。そして自分のところに友人・知人を呼ぶ。そんな地域に根ざしたお祭りを通じた交流こそが、文化で人と人・街と街をつなぎ、神奈川県に「マグカル」でにぎわいを創って行く“文化の街道(ブロードウェイ)”となるに違いありません。
ぜひ、皆さんで一緒に力を合わせて、「マグカル」で“アートおどろく”神奈川県にして行きましょう!

関連するURL
http://www.raison.co.jp/

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