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神奈川県発、アート・カルチャーメディア「マグカル」。ミュージカル・音楽・演劇・映画など県内のアート情報を発信します。

「もじゃもじゃ頭とへらへら眼鏡 地劇ミュージカル 日本国 横浜 お浜様」

「もじゃもじゃ頭とへらへら眼鏡 地劇ミュージカル 日本国 横浜 お浜様」

演出:笹浦暢大(もじゃもじゃ頭) 作:河田唱子(へらへら眼鏡)

神奈川県では、文化・芸術の魅力で人を引きつけ、地域に賑わいをもたらすマグネットカルチャー、通称マグカルの取り組みを推進。その取り組みの一環として、神奈川県を代表するような「地劇」公演を企画し、上演に関する支援を行っている。(地劇とは、各地の歴史・伝統・文化に根差した地域発の演劇を意味する神奈川県マグカル・テーブル座長を務めるマーケティングコンサルタントの西川りゅうじん氏による造語)。

今年1月、神奈川県立青少年センターホールで今夏本公演の開催を懸けた「地劇ミュージカル」のコンペを開催し、「もじゃもじゃ頭とへらへら眼鏡」による「日本国 横浜 お浜様」が優勝した。



 もじゃもじゃ頭とへらへら眼鏡は「もじゃもじゃ頭」こと笹浦暢大さん(横浜市鶴見区在住、39歳)が演出、「へらへら眼鏡」こと河田唱子さん(川崎市川崎区小田在住、33歳)が脚本を手掛ける2011年に結成された演劇ユニット。同ユニットによる「日本国 横浜 お浜様」は、2015年4月、県庁本庁舎短編演劇集で上演した実在した娼婦「メリケンお浜」をテーマにした短編ミュージカル「ウキヨホテル」まで起源は遡る。実在したといっても、資料の多くが横浜大空襲で焼けて消失してしまっている中、僅かな資料から人をたどり、愚直に手掛かりを探って作品を作り続けてきた。闇に葬られつつあった歴史を演劇ならではの表現方法で明るみに出し、ウキヨホテルの登場人物にスポットを当てた作品の上演を続けることで、今回の本公演を勝ち取ったのである。
今回は、演出家の笹浦暢大さん、役者の三宅萌さん(18歳)、松本和花さん(24歳)、田中惇之さん(31歳)に、いよいよ来月に上演を控える本作について稽古場で話を聞いた。





Interview&Text&Photo:三沢真理

「地劇ミュージカル 日本国 横浜 お浜様」


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本牧十二天高校演劇部は、かつて横浜 本牧に実在した「チャブ屋(1階がダンスホール、2階が性交渉をするための宿)」と伝説のスター「メリケンお浜」を題材にした台本「日本国 横浜 お浜様」を文化祭で上演することを試みる。ところが、大人たちから「娼婦たちの話を高校生が演じるなんて校風に相応しくない」と反対されてしまう。現代の高校の演劇部を舞台に、「性」や「女性の自立」への葛藤を絡めながら実在した人物、場所を軸にした完全オリジナルのミュージカル。

8月12日(土) 14:00〜/18:30〜、13日(日) 12:00〜/16:00〜
※12日昼の回はアフタートークイベント、それ以外の回はミニレビューショー有り
会場 神奈川県立青少年センターホール(最寄駅 桜木町駅、日の出町駅)
¥4000 一般、¥2000 大学生、専門学校生、演劇研究生、高校生以下(当日+200円)

チケット予約
Confetti(カンフェティ)
http://confetti-web.com/mojahera
(24時間受付可)
0120-240-540*通話料無料・オペレーター対応
(受付時間 平日10:00~18:00)

クラウドファンディング(8月6日締め切り)
本牧の歴史に触れた地劇ミュージカル「日本国 横浜 お浜様」学生に無料で見せたい
https://camp-fire.jp/projects/view/32103
※県内在学在住の小中高生、演劇研修生、大学生は無料で観劇可能です。

◇チャブ屋も現代も環境は一緒。ぶつかり合う人がいるからこそ面白い◇

・それぞれの役どころと、本公演で魅力に感じている部分を教えてください。


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:「ミカ」という、本牧十二天高校2年生の役を演じる三宅萌さん

三宅さん:「ミカ」という、本牧十二天高校2年生の役を演じる三宅萌です。
作家から「怒れるツインテール」って呼ばれるくらい、負けず嫌いで気が強い女子高生役です。
嘘が嫌いで正義感が強いから何でもおかしいって思ったことは先生にでさえ、直接口に出してぶつかっていっちゃう子です。

・三宅さんは現役の女子高生ですよね。実際、いまの高校生でそういう生徒は少ないのですか?

三宅さん:いません!みんな表ではいい子なのですが、裏ではめちゃくちゃ悪口言ったりとか、SNSに書き込んだりとか。顔と顔を合わせて物を言い返すってことは全然しないです。いい子ちゃんが多いっていうか。今回の役どころで怒りを表現するシーンが何度もあって、怒るとなんだか子供っぽくなってしまうところが困ります。ワンパターンにならないように、どうやってその怒りを表現しようか、今怒りのバリエーションを模索しているところです。本公演は、正直に自分の意見をぶつけ合うところと、チャブ屋のメインで出る方々のダンスと歌をぜひ見ていただきたいです。ダンスの華やかさと歌が絡み合うミュージカルならではの楽しさがびっしりつまっていますよ。


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ミカの同級生で「レイ」という、演劇部副部長役の松本和花さん

松本さん:ミカと同級生で「レイ」という、演劇部副部長役を演じる松本和花です。
私も、おかしいと思ったことはすぐに口に出すのでぶつかり合うことが多く、曲げることを知らない熱血漢役です。自分が小学生だった頃を思い出すというか、演じていて昔の自分と重なると感じる部分が多いです。

・自分と重なる部分が多いということは、役に入りやすいものでしょうか?

松本さん:自分の嫌なところをさらけ出すというか、共通点もありながら認めたくないので役に入りやすいとは言い難いですね。それと、台本では現代の私たちが目を背けたくなるような、言いたくない、見たくないような表現部分もあるので難しいです。それでもこのミュージカルではダンスはもちろんのこと、歌も本当に楽しめます。特に注目していただきたいのは歌詞です。作家の河田さんが作詞も手掛けているのですが言いたいこと、伝えたいことが詰まりすぎて、まるでラップみたいに感じるところさえあります。その詰まっている思いを観客の皆さんに届けられるように、きちんと歌っていきたいです。


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本牧にチャブ屋街をつくった実在した人物「倉田治三郎」を演じる田中惇之さん

田中さん:横浜 本牧にチャブ屋街をつくった実在した人物「倉田治三郎」を演じる田中惇之です。
この役を演じるのは3度目で、最初はハッピーでお調子者な商売人役だと思っていました。ところが、回を重ねて演じるにつれ、そう単純ではないことに気付いて。笑顔でも、目が笑ってない大人っているじゃないですか。そんな政治家みたいな裏の顔がある人物だったんだろうなと今は思うようになりました。

・それは元チャブ屋街を歩いたり、倉田氏の末裔に会いに行ったりするなど、役作りのための取材を続けたからこそ知り得たのでしょうか?

田中さん:それ以外にも、倉田が生きていた時代の資料を相当読み込んだからだと思います。本牧の土地を買い取って自分の帝国にし、文化を残し頭も良くて魅力的な人物だったんだろうなって。きっと、笑顔の裏で人殺しもしている、相当な人物だったと思いますよ。公演の魅力は、正直であるからこそ、ぶつかっている人間が沢山登場してくるところです。場所はチャブ屋街ですが、現代だって環境は一緒。チャブ屋街はもう無くなってしまいましたが、そこにあったということは事実です。何が間違っていて、何を残していかなくちゃいけないのか。2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催もあり外国から注目を集める訳ですし、こういうことが実はあったって、日本人として歴史を残していくってことは大切なことだと思います。観終わった後に、皆さんの心の中に何を残せるか。さらに将来大人になっていく子供たちに何か意味を残せる公演にしていけたらと思っています。

◇プロの演出家になったきっかけは、高校時代に見た横浜市民ミュージカルだった◇


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(左、演出の笹浦さん。右、田中さん)

・演出の笹浦さんにお伺いします。これまでのウキヨホテルを題材にした公演には、一貫した女性の自立や性に対するテーマを感じます。

笹浦さん:作家の河田はずっと女性の自立を扱っていて、男女の雇用機会が均等になったなんて言っているけど、まだまだ役員や管理職につく女性の比率は低い。女性が感じる不条理とか、社会に対するもやもやとか、そういうものをテーマにして作っている作品が多いです。

・もじゃもじゃ頭とへらへら眼鏡って、演出家と脚本家のユニットであり劇団名ではありませんよね。劇団を持たない理由はありますか。

笹浦さん:役者を抱える劇団になってしまうと、どうしても書いた作品に当てはまらない役者も出てきてしまいます。書いた作品にぴったり合った役者をオーディションで見つけたり、その都度お願いしたりする方がお互いにとっていい結果を出せると思います。本公演の地劇ミュージカルでは、役者25人に加えて毎回ゲストが1人参加する予定です。

・合理的な考え方ですが、お二人の意見がぶつかり合うことはないのですか?

笹浦さん:河田はスイスで幼少期を過ごした経験があるからか、感覚が国際的で芯が強く、言いたいことをバンバン口に出す人。僕も思ったことをすぐに言いたくなる方なのでしょっちゅう喧嘩しています。でも、お互いに思ったことを言える方がやりやすいなって。稽古場も、俳優もスタッフもみんなが言いたいことを言い合える雰囲気で仲がいいです。


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(左、松本さん。右、三宅さん)

・2014年の県庁で開催した演劇公演から県の事業に関わっていらっしゃいますよね。地域に根付いた演劇にはもともと関心があったのですか?

笹浦さん:僕たちは神奈川県を中心に活動しています。もともと地域演劇は行っていたのですが、当時、県主催の「対話の広場」でマグカル構想について黒岩県知事が「本庁舎大会議場を劇場として使ったっていい」と仰った。それを聞いて河田が「それなら、ここで演劇をやるにはどうしたらいいですか」と一般質問をしたことで全てが始まりました。具体的に話が進んで4ヶ月後には本当に演劇公演をすることになり、そのスピードの速さに神奈川県、すげえなって思いました。

・笹浦さんが演出家になろうと思ったきっかけを教えてください。

笹浦さん:具体的に演劇やりたいとか、そういうのは実はもっていなかったです。高校生の時、横浜の市民参加型ミュージカルを観に行き、その時はなんかすごかったなって記憶には残っていて。大学入学後に「憲法劇」という市民参加型ミュージカルに参加するようになりました。それをきっかけに、いろいろなスタッフワークを覚え、大学で教わることより現場でやることの方がはるかに楽しくて。現場とのギャップに耐え切れなくなって中退してしまうほどのめり込んでしまいましたが。

・市民ミュージカルがきっかけで演出家になり、いま地劇ミュージカルを手掛けているということですか。

笹浦さん:市民ミュージカルで知り合ったメンバーで、1回だけのつもりで公演を企画したらすごい黒字で終わって。「やばい。続けなきゃ。」と、次の公演を打ちました。と言っても、その後はちゃんとしたプロのスタッフ等を雇って公演していたら、赤字続きに転落しましたが。市民ミュージカル出身でプロになる人は少ないと思いますが、誰でも参加できる市民参加型の演劇は地域にとって大切なものだと思います。同じく地域に結びついた状態で演劇を通じて地域を活性化しようと、愛媛県には「坊っちゃん劇場」、秋田県には「わらび座」があるように、演じて終わりではなくて、そこで演劇に触れた人達を育てていく様な、その先を見据えた受け入れ先の環境があると素晴らしいと思いますね。

・県立青少年センターはまさにマグカル劇場と名付けられている訳ですが。そこで上演する今回の公演では、初めてクラウドファンディングに挑戦しているそうですね(目標額50万円に対し、取材時7/19でおよそ半分を達成)。

笹浦さん:はい。ぜひ、学生たちに観てもらいたいというのがあって挑戦しています。横浜 本牧に本当にあった物、人物、文化を軸に、嘘を混ぜて僕らは演じています。売春、娼館って、テレビなどのメディアではなかなか取り上げられることのない題材ですが、これを演劇で見せることで、子供たちがそういった文化を知り、これからどうしていくかを考えられる判断材料になります。演劇だからこそ伝えられる表現の仕方ってあるんです。もっと日常的に演劇に触れて欲しいと思いますし、本公演では、ミュージカルとしてダンスと歌にのせて、「どうしてこれを演劇で伝えちゃいけないの」って、世の中に発信していきたいですね。


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(歌稽古中の左からメリケンお浜役の北村麻貴さん、女子高生ナナ役の安島萌さん、主役女子高生サキ役の木内栞さん)

今後の公演予定
「パンクドランカー」
10月20日(金)~28日(土)ラゾーナ川崎プラザソル
脚本:緑慎一郎(演劇プロデュース「螺旋階段」)
演出:笹浦暢大(もじゃもじゃ頭/うなぎ計画)
チケットは8月19日から発売。

関連するURL
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