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藤本隆行インタビュー

藤本隆行インタビュー

今回スマートイルミネーション2013でインスタレーション作品を発表する、藤本隆行さんにインタビューしました。

藤本さんは藤本隆行+石橋素+真鍋大度として《Time Lapse Plant One Ring -Energy Rescue Ship Version-》を象の鼻パークにて展示予定です。

Q1) 作品について

— 今回の作品は恵比寿映像祭での「Time Lapse Plant」の別バージョンということがタイトルから想像されるのですが、前作との違いや今回ならではのエピソードなどを教えてください。

この作品は、2009年末から2010年初めにかけて、BankART NYKで滞在制作と発表を行い、第2回恵比寿映像祭で「Time Lapse Plant 4 Rings/偽加速器 風光篇」として展示した作品の「1 Ring」バージョンです。今回は、災害緊急時の電源供給元として期待される、船舶の発電設備の給電を受け、象の鼻堤防の先端に設置したOne Ringが駆動し、また電源船自体へのイルミネーションも船からの電気でおこないます。くわえて、赤レンガ側の護岸に設置したOneDotと名付けた新しいモジュールが、Ringと同期して発光します。OneDotは、太陽光パネルとLEDと無線機能を一体化した独立型の灯体で、自身の機能で日中に発電しRingからの無線制御で発光します。
Ringの下の床面には、鑑賞者の影が映りますが、これらの影は前作と同じく、鑑賞者の意思とは別に回転のダンスを踊り、時には3色の影に分かれて別々の早さで動きます。この影のダンスは、実際にRingの下のステージに立たないと自分の影が踊るのを見ることが出来ません。ぜひ、象の鼻の先端まで行き、自分の影をあらためて見て下さい。

《Time Lapse Plant One Ring Energy Rescue Ship Version》作品イメージ
《Time Lapse Plant One Ring Energy Rescue Ship Version》作品イメージ

 Q2)「ひかり」について

藤本さんにとって「ひかり」とはなんですか。自由にお答えください。

光は、唯一地球外からこの星に降り注ぐエネルギーです。石油も石炭も風も気温も、そのおおもとは太陽から来る光によってもたらされています。
また光は、全ての生物が自身の種の機能の制限で、感応(見る)出来る部分が違う波長です。例えばヒトは、赤と緑と青の波長を同時に眼に受けると、白い光を見ていると感じますが、それはまずヒトの眼の機能として、赤と緑と青の波長を感じるセンサーしか持っていず、言い換えればそれ以外の波長を感じることが出来ない。そして、その3種の波長の刺激を同時に脳が受けると、白い色を見てしまう。つまりヒトは光という波長の束の、ほんの僅かな部分しか感じることが出来ず、その刺激を脳が受けて解析することで脳内で色を作り出しています。ということは、身体のセンサーと脳が違えば違う光を見る事になる。実際に、魚類・両生類・爬虫類・鳥類など恐竜の直系の子孫といっていい種は、眼の色センサー(錐体)を4つ持っていて、ヒトとは違う光景を見ています。つまり光は、私たちが感じるより遥かに広い幅を持ち、その僅かな部分しか私たちには知りえない現象です。

Q3)ご来場のお客様に向けて

スマートイルミネーションでは、横浜の夜景を観に全国からいろいろな方がいらっしゃると思います。また、お仕事帰りにちょっと観にくる地元の方も多いです。当日ご来場のお客様に向けて、ひとことお願いします。

象の鼻の先端は、いろいろな場所から見えるけれど、実際にたどり着くには少しだけ遠い場所です。でも、そこまで行けば、面白い光景が見られると思うので、ぜひ少し足を伸ばしてみて下さい。