
江戸初期の公卿、後陽成天皇の第九皇子であった一条恵観によって営まれた山荘を、1959年に京都西賀茂から鎌倉へ移築。庭石や枯山水も合わせて移し、当時と同じように配置した庭園です。武家の文化が息づく古都・鎌倉でありながら、園内に足を踏み入れると、朝廷文化の雅な空気が感じられます。
一見すると田舎風な建物は、恵観公自身が設計したもので、随所に雅な心と野趣が込められた皇族の「別荘」。京都にある「桂離宮」「修学院離宮」と同時代に建てられており、1964年には国の重要文化財に指定されました。
建物の内部は、不定期で行われる見学会で案内していただけます。
*スケジュールや予約方法はHPをご覧ください。
山荘を囲むように、現代数寄屋建築の建物と庭園が配されています。
京都風の庭園は、赤松や紅葉、足元の熊笹や苔に至るまで、茶庭風の楚々とした美しさが感じられます。
四季の移ろいを感じながら散策していると、ここが鎌倉の繁華街からそう遠くない場所であることを忘れてしまいそう。
庭園を流れる「滑川(なめりがわ)」は、かまくら岩の上をなめらかに流れることから名付けられたとか。この辺りでは護岸工事もされず、自然のままの姿を見せています。
庭園の所々にベンチが置かれているので、ゆったり腰掛けて、川のせせらぎや鳥のさえずりに耳を傾けながらホッとひと息。
滑川と庭園を見渡す場所に建つのは、「かふぇ 楊梅亭(やまももてい)」。
大きな窓から自然の風景を眺めながら、お抹茶や季節の主菓子、コーヒー、スイーツなどがいただけます。
通年いただける「醍醐のケーキ」。月の満ち欠けをイメージしたチーズケーキに、苔をイメージした抹茶のクラムを合わせた、おいしくておしゃれな1皿です。
お庭の一角にハートを発見。庭師の遊び心だそうです。
四季折々、それぞれの風情が楽しめるのが日本庭園の良さですが、やはり紅葉の美しさは格別。
和菓子作りや茶席などのイベントも開催されているので、季節ごとに何度でも訪れてみたくなる場所です。