
タイトル『ふたつのひかり』
神奈川県美術展に応募しようと思ったきっかけは?
3年前からカメラで写真を撮り始めました。最初は趣味程度でやっていたのが、だんだんと誰かに自分の撮った写真を見てほしいという思いが強くなっていきました。
写真を見てもらうには何が良いか考えた時に、自分のことを知らない第三者に見てもらおう、と思いました。神奈川県美術展は大きな作品展なので、私にとってはうってつけの場所でした。自分の作品が多くの人にどれだけ伝わるのか、試してみようと思ったのがきっかけです
制作中に思ったこと、感じたことをお聞かせください
1年間、ひかりをテーマに写真を撮り続けていました。
応募締切が差し迫ってきた時、沢山撮ったのは良いけれど、他者にこれらをどう魅せるのか、何を考えさせることができるかという点で、作品としての魅せ方に一番悩みました。
写真を見ながら悩み果てた末に、一つ閃いたのが、異なるひかりを並べてみたら面白いのではないか、という発想です。
作品としては、太陽のひかりが葉っぱに降り注いでいる写真と、窓から入ってくるひかりがランプの部分にあたっている写真です。これらは一見すると、とても異なって見えると思います。葉っぱからは自然を感じ、ランプからは人工的な要素を感じます。
この異なる2つを比較してみた結果、異なっているにもかかわらず、1つのひかりを生み出しているかのように感じました。
作品展が終わった後も、最終的にひかりとは何だったのか、という疑問は残ったままです。ただわかっているのは、人間の目にはみえない何かが、ひかりの中に存在しているということです。
受賞の知らせを受けた際の、率直な感想をお聞かせください
率直にとても嬉しかったです!
自分のやってきたことが、やっと社会の中で認めてもらえたことが、とても嬉しかったです。
周囲の反応はいかがでしたか
一番は、家族の私を見る目が少し変わったことだと思います。
最初は私の表現活動に対して、他人事というか無関心な感じでした。現在もそこまで変わったわけではないのですが、今回受賞したことを、家族も私と同じように喜んでくれて、以前よりはこの表現活動に関心をもってくれているように感じます。
受賞後、ご自身の活動に変化はありましたか
特にその後の活動に変化はないです(笑)。ただ、受賞したことがとても自分の自信や成長に繋がりました。そういう意味では、チャレンジして良かったなと思います!
応募を検討中の作家さんへのメッセージをお願いします
表現活動する中で大事なことは、周りに『それ良いね!』と絶賛されるような創造性より、『それやって意味あるの?』とか『ちょっと理解に苦しむかも、、、』と思われるような独創性を大事にすることだと思います。そして、その独創性を自分が考えるかたちにしたときに、本質を突くものでないといけないと思います。
《近作より》
『Message 』



今回3枚に共通するのは、被写体から送られてくる、何かしらのMessageがあるということです。私はそれらを意識的に受け取る場合もあれば、無意識に受け取る場合もあります。
被写体から送られてくるMessageは、写真を通して、その本質や核になる部分を現しているように感じます。
私はそれを写真という形に置き換えた時に、他者もまた、その写真(Message)から何を受け取るのかを考えます。
一つひとつ違った意味をもつMessageから、何か引っ掛かりを感じていただければと思います。
(中村佳綸・なかむら かりん)