
チェロとはどんな楽器?
チェロ奏者・只野晋作さんに伺いました
チェロは4本の弦が張ってあり、主に弓を使って弾く弦楽器のひとつです。同じ仲間のヴァイオリン、ヴィオラより音域が低く、大型の楽器なので、椅子に座って演奏します。
一定の大きさに決まったのは16世紀の中頃と言われています。それまではもっと大きなもの、もっと小さなものと色々なサイズのチェロが作られていたようです。豊かな音が出せるよう、長い間に改良され、ヴァイオリン属の一種である「チェロ」として完成しました。
(チェロより大きなコントラバスも低音の弦楽器ですが、改良のされ方がチェロとは違い、古い弦楽器の特徴を残しています。ヴァイオリンの仲間とは調弦のしかたが違うこと等に表れています)
バロックから現代までの大作曲家たちが、チェロのための名曲を残しています。J.S.バッハの『無伴奏チェロ組曲』、ベートーヴェンの『チェロ・ソナタ』、ロマン派の時代ではドヴォルザークの『チェロ協奏曲ロ短調』等が名曲として人気の高いものです。
チェロには「エンドピン」という楽器を支える棒が付いています。これを床に立て、楽器を安定させて演奏します。現在ではほとんどのチェロ奏者がエンドピンを使いますが、よく使われるようになったのはチェロの歴史からすると新しく、19世紀末頃からと言われています。それまでは足ではさんで楽器を保持することが主でした。

今日では様々な素材で作られたエンドピンが使われています。楽器の鳴り方や音色に影響を与えるので、演奏者は楽器との相性や音の好みなどでエンドピンを選びます。
(ちなみに私が使用している楽器には、棒の部分がカーボン製、先端の金属部分がチタン合金でできたエンドピンをつけています)
弦楽器の仲間は大変長持ちするので、300年も前に作られたものがいまだに使われていることがあります。チェロも同様で、エンドピンのような部品は時代と共に変化しても、楽器自体はその姿と響きを変えることなく、様々な音楽の演奏に使われ続けてゆくでしょう。
チェロの優美な音色をチラッとお届け!
*ベートーヴェン作曲『悲愴』ソナタより(演奏:フォアシュピーラー)
オーケストラにおけるチェロの役割は、基本的にはコントラバスと共に低音でハーモニーの土台を支えることです。
しかし、それだけではありません。時には低音はコントラバスに任せて「内声」に加わります。ハーモニーの性格や色付けを決める役割で、主に第2ヴァイオリンとヴィオラが担当しています。これにチェロが加わる場合は、他のパートとの良いチームワークが必要となります。
オーケストラで“主役”になることも
一番目立つのはメロディーを担当する時でしょう。
第1ヴァイオリンのように主役として旋律を受け持つこともあります。曲によってはヴァイオリンと同じくらい高い音域での演奏を求められる場合もありますが、元来が低音楽器であるチェロとしては緊張を強いられる場面です。
これらの役割をチェロ・パートの中でグループ分けし、同時に行う場合もあります。2人が低音、3人が内声、首席奏者だけが1人でメロディーを弾く…などです。現代の作品によく見られる、少し複雑なチェロの用い方です。
このように、オーケストラのチェロには様々な役割をこなすことが求められます。演奏者にとっては難しい面もありますが、大変やりがいのあるパートであると言えます。