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《ティンパニ》最後列の最上段からオーケストラを支える
音楽

《ティンパニ》最後列の最上段からオーケストラを支える

打楽器の代表はティンパニ
首席ティンパニ奏者・篠崎史門さんに伺いました

ティンパニという楽器は、簡単に言うと銅で出来たお鍋(ケトル)に子牛の皮を張り、その皮をマレットという道具で叩いて音を出す、とてもシンプルな楽器です。しかし、皮の張り具合を変えることにより正確な音程を作ることができるため、オーケストラでいろいろな作曲者に採用され、とても重要な役割を担っています。
ティンパニの先祖とされる楽器は、当初直接皮を張っていました。それがネジを手で回して皮を張るタイプの楽器、足でペダルを踏んで皮を張るタイプの楽器等、作曲者の求める要求が増えるにつれて発展していきました。

神奈川フィルでは主にレフィーマという会社で作られた、足でペダルを踏んで皮を張るタイプの楽器を使っており、その楽器製作者の名前をとって“エーネルト”というかっこいい名前が付けられております。
この足で踏むタイプの楽器は、手で演奏している間にペダルを踏んで皮の張り具合を変え、それにより瞬時に音程を変えることができます。

ティンパニは「第二の指揮者」といわれるほど、オーケストラにとって重要な役割を担います。
そもそもティンパニを含む打楽器は、他の休みなく弾いている弦楽器や管楽器の皆さんと比べてとても出番が少なく、曲の中で1回しか音を出さない時もあるくらいです。
しかしながら、オーケストラでは一番後ろの一番高いところにいることが多く、音も大きいことが多いので、とても目立ちます。オーケストラの他の団員の方々は、前にいる指揮者やコンサートマスターのアクションにアンテナを張りながら、後ろにいるティンパニや打楽器の音を耳でとらえています。つまり、ティンパニが指揮者やコンサートマスターと連携し、曲が進んでいく方向性を皆に伝えることで、オーケストラの音がより引き締まったり、音色が変わると思っています。
ただ、目立つ分、その連携が取れないとオーケストラの進む方向を見失わせ、演奏を台無しにしてしまう危険性もあります…。

ティンパニを演奏する上で大事なことは、大きい音だけでなく小さい音を出すときも常に周りの様子を伺い、最上段からオーケストラ奏者ひとり一人が出す音やアクションをとらえ、それと連携し皆と共有する事だと思います。
そのためには楽器のことをたくさん勉強するのはもちろんのこと、作曲者や音楽の中身・背景、他の楽器・奏者について誰よりも勉強し、研究する必要があると思っています。その成果を他の演奏者と共有し、会場に足を運んでくださる皆さんにより良い演奏を聞いていただきたいと思うと、毎日の練習がとても楽しみになります。
会場でまたお会いできる時を楽しみにしています!

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