
山下公園からすぐ、港から船の汽笛が聞こえる心地よいバーで
- 開催日:イベント終了
オンナヒトリ
Bar
で美しい
一杯を
横浜のバーへ繰り出し美しい一杯との出会いを綴る、オンナお一人様で行くバー連載♡ 今回は、横浜の観光名所のひとつ、山下公園からほど近い、海のそばにあるバーへお邪魔させていただきました。
耳を澄ますと、ボー、ボーと汽笛の音がする。カウンター席から入り口を覗くとバーの扉は開いたままで、また再びボー、ボー。「気候のよい夕暮れ時には扉を開けたままにすることもあるんです。今日は入ってくる風も気持ちよいのでしばらく開けておこうかなと思いまして」と教えてくださったのはバーテンダーの栗原さん。


今回訪れた店は山下公園から歩いてすぐのところにあるバー「スリーマティーニ」。バーテンダー歴5年という栗原さんは、都内にある某ラグジュアリージュエリーブランドが運営するバー勤務の後、都内某有名ホテルのホテルマンに。そして約1年前からこちらのバーで働かれているそうです。まずは最初の一杯ということで、「この気持ちいい風が吹く今日にぴったりのカクテルをお願いします」と生意気なオーダーを(調子に乗ってすみません)。「カンパリ・ソーダなんてどうですか?」とご提案いただいたので、「お願いします!」とさっそく作っていただきました。
作っていただいている間に店内をじっくり見てみると…。カウンターにあるボトルやグラスだけでなく、客席側の壁や天井にも何やらいろいろなものが飾られています。



鹿の剥製やビアマグ、馬の置物、額装されたアート作品、レコードなどなど。全てこの店のオーナーさんのこだわりで集められたものなんですって。ちなみにこの上の写真。カウンターの端にはレコードプレイヤーが用意され、音楽好きのオーナーさんがここでその日の気分やお店の空気に合わせてレコードをかけてくれるんだそうです。(ちなみに、この段階ではオーナーさんは「俺はいいから」とカメラの前に立ってくれません…笑)

栗原さんに作っていただいた「カンパリ・ソーダ」。とってもきれいなルビー色をしています。見るだけでおいしいのがわかる!「カンパリ・ソーダ」といえば、酒好きさんならよくご存知の一杯だと思いますが、「味はだいたいどれも同じ」なんて思っていませんか?こちらのお店の「カンパリ・ソーダ」は一口飲んで「はっ!」と気づくはず。オリジナルのレシピで作られた、ほかとはちょっと違う一杯です。(オーナーさん談→)「うちのカンパリ・ソーダは、あえてレモンを強めにし、甘酸っぱく仕上げているんです。そしてカンパリとソーダを軽くかき混ぜるだけでお出しするところが多いと思いますが、うちはあえてシェイクします。そうすることで空気と混ざり合い、カンパリ特有の苦味が減り口当たりまろやかになるんです」と。私は個人的になんでも“レモン多め”派なので、とにかくこちらの甘酸っぱい「カンパリ・ソーダ」がたいへん気に入りました!

お店の名前も気になったので、お聞きしました。こちらのお店は1994年、横浜・野毛にオープン。その7年後の2001年に現在の場所に移転されたんだそうです。「スリーマティーニ」という店名は考えに考えた末、決まったのだとか。1950年代、アメリカのビジネスマンの間でブームになったビジネスランチに「スリーマティーニランチ」(商談接待スタイル)というものがあり、昼食代が経費で落ちるのはどこまでか?…それはマティーニ3杯までだよね、という洒落なのかマジなのかわからない定義(笑)。それをオーナー流の遊び心で「野毛の夜にポケットマネーで飲むなら?…それはマティーニ3杯までだよね」となり、店名にしたというのがひとつ(ほかに別の由来もありました)。マティーニ3杯飲んで仕事に戻るなんて、私にはできない…( ꒪⌓꒪)


そして、野毛のお店よりスペースが広くなったことから、お料理と店内の装花ご担当を奥様が、お酒と音楽ご担当はオーナーさん、とご夫妻でお店に立つようになったそうです。この日は残念ながら早い時間だったこともあり奥様にお会いすることはできませんでしたが、メニューを見せていただいたらお料理の品数もたくさんあったのでぜひ今度はお食事&お酒をダブルで楽しみに来たいなぁ。
お話しを伺っているうちに、「もう一杯飲みたい!」となり、迷っていたら「シングルモルトなんてどうですか?」とオーナーさんからご提案。ウィスキーまったくの素人なのでお任せして作っていただきました。…と、ここで!ついにお顔撮影のお許しが出まして(しつこくカメラ構えてすみません、汗)オーナーバーテンダーの山下さん、ご登場です!


“グレンモランジー”というシングルモルトの水割りが、なんと、ワイングラスで目の前に!「グラス選びは大切ですよね。女性には優雅に飲んでいただきたいので、あえてワイングラスを選ぶんです」と。しっかりかく拌されたシングルモルトはとってもやわらかな飲み口で、甘さも香りもふっくらしていて本当においしかったです。こんなやさしくておいしいウイスキー、初めて♡
軽やかな一杯をいただきながら、横浜と東京のバーの違いなんかも質問したりして。「東京に比べ、横浜は気軽に利用できる店が多いですよね。だから当然ですが、バーを普段使いできるお客様も多いんです」と。「うちも立地的には観光地とはいえ、普段使いしていただくお客様がたくさんいらっしゃいます。おいしいお酒を飲み、おしゃべりを楽しみ、心地いい音楽を聴いて過ごす、そんな店なんですよね、うちは」と語る山下さん自身が、お酒が大好きで、音楽が大好きで、お客様とのふれあいや出会いが大好きなんだな、としみじみ感じました。

横浜のバーは、カウンターに座る場合はほとんどがノーチャージなんですって。知らなかった!「初めてでバーの利用の仕方がわからないという方は、たとえば最初に『今日は3杯くらい飲みたい』とか『今日はいくら(金額)ぐらいで』とか言っていただければOKです。固苦しく考えないで私たちバーテンダーにご相談ください」次はどんなお酒が出てくるのだろう〜とわくわくして待つのも楽しいですよね。

「バーに来るというのは、ちっちゃな旅行です。それは非日常という意味ではなくてね。思ってもいないことに出会えたり、見つけたりするでしょう?たとえば人生で初めておいしいウイスキーに出会えた(←これ私)、というのも旅先での出会いと同じですから」いい言葉だなぁ。さらに山下さんから「お酒に酔うのも旅」なんていう名言も!「日常的に旅をしていたいじゃないですか。『酔払っちゃだめ』と決めつけないで、酔うことを楽しむんです。しっかり酔っていいんです。酔うと違う自分に会えるでしょう?そんな自分と同じ場にいた人たちがその夜だけの“秘密の共有”をするのも面白い(笑)。そこを楽しまなくちゃ!」本当にたくさんの名言が山下さんの口からこぼれ出てきたのですが、ここに紹介しきれません。ですから、皆さん実際に山下さんとの会話を楽しみに「スリーマティーニ」にぜひ行ってみてください。おいしいお酒と心地よくあたたかな空間、そして素敵なお話、本当にありがとうございました!&ご馳走様でした!!