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2018
3月
29
横浜美術館「ヌード」展に行く前に知っておきたい7つの秘密

3月24日(土)から横浜美術館で開催されている企画展「ヌード NUDE ー英国テート・コレクションより」に行く前に、ちょっと豆知識。横浜美術館の担当学芸員、長谷川珠緒さんにお聞きした、知っておくとさらに感動をもたらしてくれる名作7つの作品の“秘密”をご紹介します!!

 

SECRET-1
オーギュスト・ロダン《接吻》
1901-4年 ペンテコリン大理石

Purchased with assistance from the Art Fund and public contributions 1953, image ©Tate, London 2017

夫の弟パオロと恋に落ちてしまったフランチェスカ。ダンテ「神曲」に登場する、夫に殺される直前の悲しくも情熱的な抱擁シーンです。1913 年に市庁舎に展示されるも、不倫を扱った作品の上、エロティック過ぎるという理由からシーツがかけられるなど多くの物議を醸しました。

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SECRET-2
アンリ・マティス《布をまとう裸婦》
1936年 油彩/カンヴァス

Tate: Purchased 1959, image ©Tate, London 2017

裸婦の体型と独特なポーズ、花柄のガウン、背後にあるエキゾチックな植物から、この絵はオダリスク(もとはオスマントルコの女奴隷の意)を描いていることがわかります。実はマティスはオダリスクに強く関心を寄せ、アトリエの一角にセットを作り、描き続けた時期があったとか。

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SECRET-3
バークレー・L・ヘンドリックス《ファミリー・ジュールス:NNN(No Naked Niggahs[裸の黒人は存在しない])》
1974年 油彩/麻布

Tate: Lent by the American Fund for the Tate Gallery, courtesy of the North American Acquisitions Committee 2011, image ©Tate, London 2017, ©Estate of Barkley L. Hendricks. Courtesy of Jack Shainman Gallery, New York.

白人女性のヌードが多く描かれているのに対し、「黒人のヌードはなぜ描かれないのか?」という政治的メッセージを込めた作品です。マティスも描いたオダリスクのポーズをとるヌードの黒人男性を、着物の柄の白人女性が見つめるという構図も面白い。

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SECRET-4
ジョン・エヴァレット・ミレイ《ナイト・エラント(遍歴の騎士)》
1870年 油彩/カンヴァス

Tate: Presented by sir Henry Tate 1984, image ©Tate, London 2017

捕らえられた裸の女性を助ける騎士...表現があまりにも艶かしく官能的だということで当時イギリスで議論を呼んだ作品です。しかも初めは女性と騎士が視線を交わしていた構図だったことが明らかになっています。日本画家・下村観山が渡英した際、この絵を模写したことでも有名。
※下村観山の模写は、同時開催の「横浜美術館コレクション展」で公開中!

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SECRET-5
ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー《ベッドに横たわるスイス人の裸の少女とその相手》
「スイス人物」スケッチブックより1802年 黒鉛、水彩/紙

Tate: Accepted by the nation as part of the Turner Bequest 1856, image ©Tate, London 2017

風景画家として知られるターナーが描いた幻のエロティックなスケッチ。当時のイギリスではターナー=風景画家というパブリックなイメージを守るため、このようなヌード作品は大量に焼却処分されており、テートに残されたこれらのスケッチはたいへん貴重とされています。

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SECRET-6
デイヴィッド・ホックニー《23,4歳のふたりの男子》
1890年発表 油彩/カンヴァス

Tate: Presented by the Trustees of the Chantrey Bequest 1890, image ©Tate, London 2017

現代を代表する巨匠、ディヴィット・ホックニーがこの作品を描いた時代は、イギリス国内では同性愛が禁止され、裁かれる時代でした。自分の経験とも重ねながら描いた作品は、今回連作で登場し、一気に見通すことができます。

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SECRET-7
フレデリック・レイトン《プシュケの水浴》
C.P.カヴァフィスの14編の詩のための挿絵より 1966年 エッチング、アクアチント/紙

Tate: Purchased 1992 ©David Hockney

19世紀後半、歴史画におけるヌードの表現で先駆的な役割を果たしたレイトン。本作は、数人の女性モデルのそれぞれよい部分を組み合わせて追求された、理想的な女性像といわれています。

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お話を伺った方

長谷川珠緒さん(横浜美術館 学芸委員)

 

ロダンの大理石像《接吻》日本初公開! ターナーの幻のヌードスケッチ公開! などなど見所盛りだくさんの「ヌード NUDE ー英国テート・コレクションより」は6月24日(日)まで。やさしい陽光と爽やかな風が流れる、一年で一番気持ちいい季節を迎えた横浜・みなとみらいで、心を豊かにしてくれる名作と出会ってみませんか。展覧会の詳しい情報はこちら!!

横浜美術館

横浜美術館は近・現代美術の鑑賞と市民の創造活動に寄与し、豊かな市民文化の形成に役立つことを目標に、1989年に開館しました。
国際的な港町、横浜にふさわしい美術館として、1859年の横浜開港以降の美術に焦点をあて、作品の収集に努め、展覧会を開催しています。中でも写真は、日本における写真興隆期における一大拠点のひとつ、横浜ならではの優れたコレクションを形成しています。(撮影:笠木 靖之)

  • ショップ・スポット名
  • 住所
    神奈川県横浜市西区みなとみらい3-4-1

    横浜美術館
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    045-221-0300
  • 営業時間
    10:00〜18:00(入館は17:30まで) 木曜および年末年始は閉館

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