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平成29年度(第66回)神奈川文化賞・スポーツ賞の贈呈式、受賞者インタビュー

平成29年度(第66回)神奈川文化賞・スポーツ賞の贈呈式、受賞者インタビュー


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 11月3日(金曜日)文化の日に、神奈川県立音楽堂で「神奈川文化賞・スポーツ賞贈呈式」を実施しました。一般公募による招待客及び関係者約900名の方々と受賞者の功績をたたえ、神奈川フィルハーモニー管弦楽団による祝賀演奏も行いました。

 神奈川文化賞・スポーツ賞は、昭和27年から神奈川県と神奈川新聞社が共催で実施しているもので、毎年、神奈川の文化の向上発展に尽力し、その功績顕著な個人又は団体に対して「神奈川文化賞」を、また、スポーツにおいて功績顕著な個人又は団体に対して「神奈川スポーツ賞」を贈呈しています。また、第50回から、今後の活躍が大いに期待される若い世代の個人(又は団体)に対し「神奈川文化賞未来賞」を、毎年贈呈しています。
今回は黒岩知事、並木神奈川新聞社社長、文化賞を受賞した学術分野の新倉俊一さん、芸術分野の西村繁男さん、芸能分野の樹木希林さんの3名と、文化賞未来賞の深緑野分さんのインタビューを抜粋してお届けします。

【黒岩知事】

本日栄えある第66回神奈川文化賞・スポーツ賞を受賞される皆さま、誠におめでとうございます。皆さまの受賞を心からお喜び申し上げるとともに、今日に至るまでの日々の研鑽とその努力に敬意を表します。この神奈川文化賞・スポーツ賞、これは文化、スポーツの分野で神奈川の誇りとなるような功績顕著な方々を、県民の皆さまとともに称える名誉ある賞です。今回の会場である、この県立音楽堂は、世界的な建築家ル・コルビジェに師事した前川國男氏が設計した公共施設として、日本で初めての本格的な音楽専用ホールとして開館したものです。60年以上を経た今でも、プロからアマチュアまで多くの県民の方々に親しまれています。このような歴史あるホールにおきまして、歴史ある神奈川文化賞・スポーツ賞贈呈式を行うことを、主催者の1人として大変うれしく思っています。3年後の東京2020オリンピック、パラリンピックまで1000日を切りました。また2019年にはラグビーワールドカップが行われ、横浜で決勝戦、準決勝戦等が行われることになりました。このスポーツ賞の受賞者の中には、こういった大会での活躍が期待される方もいらっしゃいます。
このスポーツイベントに合わせて、文化プログラムも国全体で盛り上げ、日本の文化の力、神奈川の文化の力を世界に発信するチャンスです。
今日表彰される皆さまがその礎になるという事を心から期待申し上げまして、私のあいさつとさせていただきます。誠におめでとうございました。

【並木社長】

神奈川県は芸術や文化、学術などの幅広い分野で社会に貢献する人たちを数多く輩出しています。開港以来横浜を拠点に、海外の文化や技術を取り入れ、神奈川ならではの文化をつくり上げてきました。そして戦後の混乱期に文化水準の向上こそが復興につながるという声があがりスタートしたのがこの神奈川文化賞であります。第66回の文化賞受賞者は学術分野の新倉俊一さん、芸術分野の西村繁男さん、芸能分野の樹木希林さんの3名です。
文化賞未来賞受賞者は文学分野の深緑野分さんです。
スポーツ賞の受賞者、団体は法政大学第二高校ハンドボール部、柔道の王子谷剛志さん、セーリングの土居愛実さん、国民体育大会アーチェリー競技成年男子神奈川県チーム、サッカーの神奈川県選抜チームです。


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【新倉氏】

司会:新倉さんはエズラ・パウンドの翻訳や19世紀アメリカの女性詩人エミリー・ディキンソンの翻訳、研究をされてきました。エミリー・ディキンソンの詩のどのようなところが長く人の心を打ち続けているんでしょうか。

新倉:エミリー・ディキンソンの伝記映画でも分かるように、他の者が外国に行って軽薄な海外文化を褒めているときに、ディキンソンはどこにも行かないで自己の内面を見続けました。その徹底した生き方が詩人としての仕事だと思いました。

司会:ぜひこれを機会に皆さまにも読んでいただきたいですね。モダニズムの詩を学ばれた理由に、1945年の日本の敗戦があったと新倉さんはおっしゃっています。価値観がひっくり返った経験と表現をされているわけなんですが、ご自身の中でどのような経験だったんでしょうか。

新倉:日本の戦争中に教わった考え方というのは、戦後通用しないから、どこに新しい価値観を求めたらいいか考えた時に、詩が一番切実に自分の生き方、死に方っていうものにかかわっていると。

司会:葉山にお生まれになって長く逗子にお住まいです。葉山、逗子というのは住み心地というのはいかがでしょうか。

新倉:葉山、逗子は海があるのが一番いいことです。外国で生活したときに内陸だったものですから、何かがおかしいと思ったら海がないということでした。水がなくて生きるということは考えられないです。


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【西村氏】

司会:普通の人の普通の暮らしを絵だけで描く観察絵本を確立されました。普通の人の普通の暮らしからこういうのを見ることによって、読者は共感を得られるのでしょうか。

西村:最初、絵本を始めたころに自分に何ができるか、よく分かりませんでしたが、自分の好きなものを突き詰めていくと、人々の生活というか、毎日のいろんな生き方というか、そういうのが丹念に書きたいなと思いついたので、そこで人々を観察しながら描きました。

司会:今、日本のお祭りの絵本に取り組まれているということなんですが、取材されたお祭りの中で特に心に響いた、あるいは印象的、魅力的だったものは何でしょうか。

西村:日本のお祭りの絵本は、日本の各地と、季節とか、お祭りの種類を変えながら、9つのお祭りを取材しました。それぞれいろんな問題を抱えて、それまでは伝統的なお祭りを描くつもりでしたが、意外とみんな四苦八苦しながら、少子化の問題とか過疎の問題とかを抱えていることが見えてきました。お祭りはいろんな人の思いで変化しながら進んでいることが分かりました。

司会:藤野に長くお住まいです。地元の小学生たちとも交流がおありのようですけれども、藤野はやはり芸術の町ということで、創作活動にもいろいろインスパイアされるものはありますか。

西村:藤野に引っ越して37年経ちますが、県が関わってくれて芸術の町になったことから、層がすごく厚くなって面白い人たちがいっぱいいて、それぞれが自分たちでやりたいことを持っているので、いろんなことが各地で始まっていてかなり面白いと思います。


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【樹木氏】

司会:中学生の頃から21歳まで横浜でお過ごしになったということで、野毛の老舗居酒屋叶家さんは樹木さんのお母様が戦後まもなく始められたということですが、樹木さんにとって横浜というのはどういう町でしょうか。

樹木:この賞の発足と同じぐらいの、昭和27年ごろに野毛の小さな場所で親が大衆酒場を始めて、それから2、3年して一緒に横浜に移り住んで、東京の学校にずっと通いました。野毛の人間模様というのは本当に面白くて、ある日警察が調べに来ると、うちで働いていたお店の人が殺人犯だったような本当にすさまじい人たち、男の人たちばかりですけど、そんな大衆酒場を両親がやっていました。
私の横浜の思い出は戦後の鉄道の大事故、昭和38年の鶴見事故です。父親が横須賀線の2両目に乗っていまして、鶴見の土手のところで真っ暗な中で脱線、すごい勢いで3、4、5両が全部なくなっちゃうような大事故。そこに乗っていた父親がそのときの切符を持って乗り継いで野毛にたどり着きました。19歳ぐらいの私は東京の文学座っていうところに通い始めたころで、夜になってどんどんテレビに死亡者とか名前が出ている。一生懸命店をやりながら父親が見ているんだけど、娘の名前も出てこなきゃ本人も帰ってこない。お店を閉める11時過ぎになって私が帰ってきて、みんながウワーってなるくらい心配したんです。何で帰ったかというと東横線で帰ってきました。要するにその日によって違う路線を使っていたんです。それぐらいに危機一髪。これは横浜に住んでなければこういう目には合わなかった。すごい思い出です。

司会:中学生のとき日本大通から見た県庁の風景というのを油絵で描かれて、今でも大切にされている。ということなんですけれども、描かれたことは今でも覚えてらっしゃいますか。

樹木:私は夕日が好きなので、中学生のとき日本大通から見た県庁を油絵で描きました。実にいい佇まいで、今も大事にしています。
横浜あるいは神奈川県はやはりお洒落な町。野毛も面白いですけど、国際的な交流の都市という意味ではちょっとお洒落な自慢のできる町。でもそこからずっと東京に通っていましたので、私がこれをいただくって言ったときに、横浜に嫁いでいる妹夫婦が、「お姉さん、何で東京の人間がもらうんだ」「不満だ」って言われたんです。あまり偉そうに横浜の思い出というのはちょっと言えません(笑)


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司会:最後に次の出演作品などありましたら少し教えてください。

樹木:ちょうど横浜市の井土ヶ谷に妹の嫁ぎ先の空き家があったのでそこをお借りして、今度「日日是好日」という茶道を題材にした日常的な映画のロケセットとして使っているんです。映画が終わっても1、2カ月はお茶を飲めるんじゃないかと思います。そんなふうに今後も横浜につながらせていただいています。


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【深緑氏】

司会:深緑さんの作品はとても映像的であるといわれていますけれど、ご自身も実際映画がとてもお好きだったそうですね。その中で一番好きだっていうのは難しいと思います。一番ということでないにしても、とても影響を受けた作品というのはいかがでしょうか。

深緑:昔イギリスとアメリカでつくっていた「ストーリーテラー」っていう古いヨーロッパとか中東とかの伝承を人形劇にして映像化したドラマを幼稚園ぐらいに見ていて、すごく面白い話をたくさん連ねたシリーズでかなり影響を受けています。

司会:今子どものころのお話が出ましたけれども、厚木にお住まいだったということですよね。どのようなお子さんだったんでしょう。

深緑:子どもの頃に厚木のマンションに住んでいました。1階の庭にあったユキヤナギの茂みの中に入って姉と一緒に妖精を探したり、近所の子どもと一緒に公園で遊んでいました。

司会:次の作品はどうでしょうか。いろいろ構想を練られているのでしょうか。やはりミステリーですか。

深緑:一応ミステリーではあります。今書いていて来年出せそうなのが、1945年の7月のドイツが舞台の、連合国4カ国が占領している最中のベルリンで、女の子が泥棒と一緒に、ある人の訃報を伝えに行くというストーリーなのですけれど、一応それは殺人事件が絡んでくるのでミステリーになっています。

受賞されました皆さま、本当におめでとうございました。

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