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演劇・ダンス
2019.06.24

中屋敷法仁×黒岩祐治 演劇を熱く語る!

1つの作品に喜怒哀楽を盛り込み、見るものの心を揺さぶることができる演劇。私たちの心を惹きつけてやまないその魅力とは、どこにあるのでしょう。
無類の演劇好きで知られる神奈川県の黒岩祐治知事と、いま注目の劇団「柿喰う客」代表の中屋敷法仁さんに、演劇への熱い想いを語っていただきました。

—演劇に興味を持ったきっかけをお聞かせください

黒岩 私の演劇人生の原点は、小学校の学芸会です。異次元空間で自分を表現することの魅力を知りました。中学校では演劇部を創部。大学ではミュージカル研究会に所属して演劇にのめり込みました。

中屋敷 僕は保育園のお遊戯会で『ピーター・パン』のフック船長を演じたことが、全てのはじまりです。引っ込み思案で声も小さく、いつも隅っこにいるような子どもだったのですが、演劇の稽古という共通の話題ができると、みんなと話ができるじゃないですか。これは楽しいぞ、と思ったんです。でも、お遊戯会が終わると元の生活に戻ってしまう。だから、小学校に入ってからも、年に1度の学芸会だけを楽しみに生きていました(笑)。
今から振り返ると、演じるというより、人とコミュニケーションすることが楽しかったのだと思います。

—はじめての演劇体験を覚えていますか

黒岩 幼稚園のときに観た宝塚歌劇団がはじめての観劇経験で、とても印象に残っています。その後、高校生のときにミュージカル映画『ウエスト・サイド・ストーリー』を観て、すっかりミュージカルに魅せられてしまいました。ミュージカルは、物語の途中で突然歌ったり踊ったりするので、変化があって飽きない。現在は知事としていろんな仕事をこなしているので、「大変ですね」と言われることがありますが、1つのことに集中するより、同時にいろんなことをするほうが自分の感性に合うようです。

中屋敷 僕は小学生の頃に観たシェークスピアの「リチャード三世」です。両親は「子どもには難しくてわからない」と渋ったのですが、僕が「絶対に観たい!」と言って連れて行ってもらいました。
衝撃的だったのは、日本語で話しているのに、台詞が一つも理解できなかったことです(笑)。やはり小学生には難しかったわけですが、そこには教科書にも載っていない、人間の深い本性が描かれていると感じました。これをきっかけに図書館にあるシェークスピアを読んだのですが、やっぱりわからない。けれど何度も読むうちに「あれ、こういうことなのか」と思うようになり、「上演したらどうなるのだろう」とイメージを膨らませるようになりました。高校の演劇部では、周囲が等身大のテーマを取り上げた脚本を上演する中、僕はひたすらシェークスピアに取り組みました。

—演劇にはどんなチカラがあると思いますか

黒岩 私はミュージカルが大好きなので、米国のワシントンD.C.に駐在していた頃は足繁くニューヨークへ通いました。目的はもちろん、ブロードウェイのミュージカルです。演劇にはそんなふうに人を引き付け、動かすチカラがあります。そんな文化芸術が持つマグネットのようなチカラで、神奈川県に人を引き付け、地域ににぎわいをもたらそう、とうのが「マグカル」の取組です。中屋敷さんにもご協力いただいた『神奈川かもめ「短編演劇」フェスティバル2019』は大いに盛り上がりました。

中屋敷 黒岩知事がおっしゃる通り、演劇の一番のチカラは人が集まることだと思います。次にあげるとしたら、人と人の間に話題を提供することでしょうか。劇場ではみんなが同じ演目を観ているのに、感想は人それぞれに違います。僕の両親は寡黙な人たちでしたが、芝居を観た帰り道では、言い争いになるくらい話題が豊富になりました。いつもは当たり障りのない話しかしないのに、演劇を観ると「自分たちはどんな生き方をしてきたか」という話題が生まれたりする。だから僕は、終演後のロビーの雰囲気が大好きです。

—今後、どんな演劇をつくっていきたいですか?

黒岩 地元の伝説や民話などを題材に取り込んだ、地域色豊かな劇など、そこに行かないと観られないものをもっと育てていきたいですね。

中屋敷 具体的にどんな劇を作りたいというより、“居たい客席”を作りたいと思っています。いい芝居を観ると、隣に座っていた人と「今、一緒に観てたんだよね」という一体感が生まれて、友達になっちゃうことがありますよね。そんな体験ができる客席を作りたいと思っています。

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