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Double Planet 第3話
その他
2020.03.11

Double Planet 第3話

Double Planet
3「歌詞の正体、コトバの行方」
青野サトル
(フルタジュン&神田陽太/レディオ湘南パーソナリティ)

 

新型コロナウイルスの影響で高校がしばらく休みになった。

休みになって、ギターばかり弾いている。
そう、ネットで購入したギターが手元に届いてから、僕は毎日のようにギターを触っている。
こう書くと、青野のヤツとんでもなく上手くなっているのでは?と誤解を与えるかもしれない。安心してください。まだ全然です。ギターの道のりは険しい。古本屋で見つけた教則本を頼りに、見様見真似でなんとか2つのコードを押さえるようになったぐらい。CコードとAmコードが今の僕の全てだ。

 

Double Planet 第3話

 

クラスメイトで軽音部に入っている友人がいる。立花という男だ。
彼はほとんど幽霊部員のような感じで部活にもあまり行かず、色々とテキトーなやつだった。

高校がしばらく休みになるというお達しを受けた放課後。
帰ろうと身支度をしていた僕に、どこか自慢気なオーラを放ちながら近寄って来た。

「青野、聞いてくりよ。俺、バンド組むことになったんだ」

立花は「〇〇してくりよ」とよく言う。そんなことはどうでもいい。

えっ、立花がバンドを組む?
甲斐性のない立花にバンドが務まるのか?
バンドメンバーに迷惑かけちゃうんじゃない?
バンドなんてやめた方がいいって!
お前はそんなタイプじゃないから!

色んな言葉が矢継ぎ早に頭の中を通り過ぎて行った。
端的に言えばただの「嫉妬」だった。
バンドを組むという立花のことが羨ましくて仕方なかったのだ。

「ボーカルとジャグリングをやるんだ」

ジャグリングの意味は全く分からなかった。歌いながら大道芸でもやるつもりなのか?
でも、聞いたら負けだ。これ以上の会話は嫉妬心が爆発しそうだったので、あえてそっけない態度で別れた。

今、自分の中で音楽熱が猛烈に高まっていただけに、立花の軽いノリで「俺バンドやる宣言」が堪えた。なんせ僕は一人、孤高なのだ。「バンド」というのは甘美な響きでしかない。

と、なると、自分に残されたスタンスは弾き語りということになると思う。
ギターがメチャクチャ上手くなって、シンガーソングライターになるというパターンだ。

待てよ。

シンガーソングライターっていうのは自分で曲も作る人だ。

…大変過ぎないか?

ジャグリングでも極める方がラクなんじゃないか?
立花に憧れてどうする!?

どうやら僕は一人で曲を作る必要がある。
このハードルは、エベレスト級に高い壁だ。

もはや段階を踏んでいる場合ではない気もしてきた。
ギターが上手くなることを待っていたら、僕は永遠に立花にさえ追いつけない。
別に立花と比べて生きていきたいわけじゃないけど、僕はもう少し無鉄砲にならなきゃいけない。

 

歌詞だ、とりあえず歌詞を書いてみよう。

Double Planet 第3話

押し入れから使っていないノートを引っ張り出して、歌詞を考えてみることにした。

歌詞を考える。

歌詞……。
えっ、歌詞?!

歌詞って、何を書けばいいの?

お気に入りの青いシャープペンシルがピクリとも動かない。
僕はあっという間に迷宮に迷い込んでしまった。
歌詞を書こうと思ったけど、歌詞の概念からゲシュタルト崩壊している。

[歌詞 書き方 コツ]

検索エンジンに望みを掛けてみた。
出て来たのは、「まずは曲にしたいテーマを考えてみよう」だった。

は?
テーマ?!

[歌詞 テーマ]

もちろん検索してみた。
すぐに出て来た。

・恋愛
・応援
・愛情
・夢、目標 etc

テーマになりそうなジャンルが次から次へと出て来た。
けど、どれも今の自分には壮大過ぎるテーマに思えてならない。
特に異性と付き合ったことのない自分に恋愛ソングなんて書ける気がしない。

困った。
今の僕に書けるテーマなんか何もないのかもしれない。

僕は、そんな正直な気持ちをメールにしたためて、
ラジオ番組「らぶ&MUSIC」に送ってみた。

 

ラジオネーム/サトルブルー

『前にギターのことを聞いた高校生のサトルブルーです。
また迷宮に迷い込んでしまいました。
実は今、生まれて初めて歌詞を書いてみようと思ってます。
けど、どんなテーマで、どうやって書いていいのかよく分かりません。
神田さんは、生まれて初めて書いた歌詞のこと憶えてますか?』

 

Double Planet 第3話

フルタ「また、高校生のサトルブルーがメールくれました。
神田さん、最初に書いた歌詞のこと憶えてます?」

神田「めちゃくちゃ憶えてるよ。
俺、高校2年生の授業中に初めて書いたんだよ。
その直前に失恋してなんかもう辛すぎてね、気づいたら書いてた(笑)」

フルタ「気づいたらって、神田さんの意思というより何かによって書かされてたって感じですか(笑)」

神田「そう、そんな感じだよ。
別に曲を作ろうなんて思っていなかったのに、ショック過ぎて気づいたらメロディーと歌詞が同時に出て来た。
書こう!作ろう!みたいな感じだったら、俺も書けなかったかも。
サトルブルーみたいに作らなきゃと思っている間は、なかなかできないよ。
出来たとしてもメロディーまでかな。歌詞はなかなかできない」

フルタ「何かいい方法あったりするんですか?」

神田「最初は真似でもいいと思うけどね。
あと、普段とは違うシチュエーションに自分の身を置いてみるとか。
歌詞をいきなり書こうとするんじゃなくて、気持ちを作文にしてみるのも良いし。
俺も歌詞を書く前に、ポエムみたいなやつを箇条書きでもいいから、想いを書きまくる。そこからコトバを拾って、歌詞にしていく方法もアリだよ」

 

《つづく》

*バックナンバーはこちらからご覧いただけます。

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