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演劇・ダンス

「かながわパフォーミングアーツアワード2024ファイナル」開催

「かながわパフォーミングアーツアワード2024ファイナル」開催

演劇に限らず、身体性を伴う舞台芸術作品が集う「かながわパフォーミングアーツアワード2024 ファイナル」が、令和6年3月16日(土)、17日(日)にKAAT神奈川芸術劇場大スタジオにて開催され、上演作品の中から大賞を決定します。また、同アワードには、今年1月に行われた県内高校生による「22世紀飛翔枠選抜大会」で上演権を獲得した上位2団体も出場。今回はその「神奈川県立厚木高等学校演劇部」と「日々輝学園高等学校横浜校演劇部」に意気込みを聞きました。

神奈川県立厚木高等学校演劇部(22世紀飛翔枠/3月16日上演)
部員の松村遥香さん、佐藤綺海さん、神宮寺絵菜さん、土佐恵生さん、顧問の杉原孝治先生の5人にお話を伺いました。

―大会への応募動機を教えてください。

松村 昨年度、前身の大会となる「かながわ短編演劇アワード」に出場した経験があり、他団体の身体表現を全面に出した新しい劇の表現に圧倒された思い出があります。今年度も参加したいと考えていたところ、大会の名称が「かながわパフォーミングアーツアワード」に変わることを知りました。より身体表現に重きを置いた大会になると聞き、改めて挑戦したいと強く思ったことが応募のきっかけです。


神奈川県立厚木高等学校演劇部の皆さん(画像提供:神奈川県立厚木高等学校演劇部)

―以前の大会にも出場していたのですね。今回、上位2団体に選抜された感想を教えてください。

松村 結果を聞いたときは、私たちが心から楽しんで演じたことが観客や審査員に伝わったのだと思いました。上演して間もなく、会場が盛り上がっていることを感じ、私たちの劇を楽しんでくれていると思えて、生き生きと演じることができました。

佐藤 秋に別の大会が終わってすぐの挑戦でした。その大会では目標の結果が得られなかったのですが、悔しさを糧に「やるからには中途半端ではなく、完成度高く全力で」と、準備期間が短く厳しいスケジュールの中、部員みんなで協力して練習を重ねました。その結果、上位2団体に選ばれて本当にうれしかったです。

神宮寺 私と土佐さんの二人で書いた脚本で、今回参加しました。自作の脚本が舞台で採用されるという経験はまだ浅く、不安もありました。本番で他団体の演技を見て、誰が選ばれてもおかしくないくらいそれぞれ素敵だなと思っていた中、私たちの名前が呼ばれ、うれしさと同時に驚きの気持ちでした。

土佐 私と神宮寺さんが手掛けた脚本でしたが、大丈夫かなと心配な気持ちもありました。本番中、私は照明担当だったのですが、舞台裏からお客さんの反応がよく見えて、歓声や笑い声に手応えを感じ、私たちの劇を受け入れてくださったのだなとほっとしました。上位2団体が発表されたときは、うれしさよりも驚きが。最初は選抜された実感が得られませんでしたが、後からじわじわと湧き上がるものがありました。


22世紀飛翔枠選抜大会表彰式(画像提供:神奈川県立厚木高等学校演劇部)

―それぞれの思いが伝わってきます。作品の内容と見所を教えてください。

土佐・神宮寺 『皿の上でまた君と』という作品です。舞台は冷蔵庫の中。主人公はコロッケ。コロッケが冷蔵庫に放り込まれるところから、ストーリーがはじまります。さまざまな食材たちが、コロッケ派とメンチカツ派に別れ、どちらがいいか論争します。そんな中、コロッケがメンチカツに出会って恋をするというラブコメディです。

松村 食材を演じることは初めて。役作りを深めていく中で「背景にはこういう気持ちが隠れているのかな」などその食材になりきって気持ちを読み解くようにしました。気付かされることもあって面白かったです。部員それぞれの役作りを想像しながら見ていただけると、より楽しんでもらえると思います。また、脚本から音響や照明まで舞台全体に至るまでみんなでアイデアを出し合って仕上げた作品なので、世界観も合わせて楽しんでいただけるとうれしいです。

佐藤 登場するキャラクターが食材という斬新な劇です。コロッケとメンチカツ以外のキャラクターも、それぞれの個性が際立って輝いているので、ぜひ全員に注目してみてほしいと思います。

神宮寺 私も、キャラクターそれぞれに注目してもらえたらうれしいです。物語を作っているときも、この食材はどういう思いで行動をしているのだろうと、自分の頭の中でゼロから考えました。個性豊かなキャラクターがたくさん登場するので、楽しんで見ていただきたいです。

土佐 コロッケと一緒に冷蔵庫内で喜怒哀楽の展開が繰り広げられるストーリーなのですが、その根底にとても温かな空気が流れる作品になったと思っています。そういった部分を観客の皆さんに感じていただけたら幸せです。会場全体が盛り上がるような一体感が作れたらいいなと思います。

―個性的なキャラクター、とても気になります。最後にファイナルへの意気込みと来場者に一言お願いします。

松村 これまでもさまざまな大会に出場してきましたが、このような大きな舞台で演じさせていただくのは初めての経験です。部員全員がとてもワクワクしています。演劇は観客がいないと成り立たないと思うので「見てもらえること」に感謝しながら演じたいです。食材が主人公の作品はあまりないと思います。私たちの作品を見た後、日常生活でその食材を見たときにふと思い浮かぶような演技ができるようにがんばります。

佐藤 飛翔枠での参加ということで、高校生ならではの情熱や新鮮さを皆さんにお届けしたいです!「かながわパフォーミングアーツアワード2024 ファイナル」の幕開けの演目となるため、全力で演じたいと思います。ぜひ見にいらしてください。

土佐 大会のトップバッター作品として観客の皆さんに温かな気持ちになっていただけるよう、裏方として部員のサポートをしたいと思います。

神宮寺 まだ舞台経験が浅く、不安な気持ちもありますが、自分たちが書いた脚本は宝物です。このオリジナル作品に、それぞれの思いを乗せてお届けします。私たちが心から楽しんで演じている様子が観客の皆さんに伝わったらうれしいです。

杉原先生 今回の作品は、部員のオリジナル。同世代の人間を演じる場合は感情移入しやすいと思うのですが、今回のキャラクターは食材。擬人化して自由に表現できる反面、自分たちでゼロから考えなくてはなりません。時間も限られる中、本当にがんばっていたと思います。長年、厚木高校演劇部の顧問をしていて、それぞれの代の良さがありますが、今が演劇部の転換期なのかなと感じています。このタイミングで大きな舞台で上演することができるとは、新しい風が吹いているなと。私自身、彼らの作品を見て想像を上回る面白さだと思いました。「部員一丸となってここまでやってきた」みんなの強い思いを感じます。ぜひ、ご来場ください。

日々輝学園高等学校横浜校演劇部(22世紀飛翔枠/3月17日上演)
部員の小畑朝陽さん、飯嶋亜実さんにお話を伺いました。

―大会への応募動機を教えてください。

小畑 秋に横浜市高等学校演劇発表会地区大会に出場しており、それまで重ねた練習や観客の前で上演した経験など、その大会で学んだことを生かしたいと考えました。22世紀飛翔枠大会は、そこから時間を空けずに出場できる良い機会だと思い、応募してみることにしました。

飯嶋 昨年の22世紀飛翔枠大会に出場したことがきっかけです。去年は上位2校に選抜されるという目標には届きませんでした。今年こそはと、再挑戦する気持ちを込めて挑みました。


日々輝学園高等学校横浜校演劇部のみなさん(画像提供:日々輝学園高等学校横浜校演劇部)

―一人一人の思いが伝わってきました。念願の上位2団体になれたことについてはどうですか。

小畑 良い劇にしたいという思いが届いたような気がして、演劇部のみんなで喜びました。また、選抜されたことで劇を上演する回数が実質的に増えたこともうれしかったです。
 
飯嶋 言葉にできないほどの喜びで、最初は信じられませんでした。これまで部活で積み重ねてきたことが初めて認められた気がして、今まで部員たちと努力してきて本当に良かったと思いました。

―大きなステージでの上演が待ち遠しいですね。今回の作品の内容と見所も聞かせてください。

小畑 『ことりのおうち』という作品で、ある理由で実の両親によって地下室に閉じ込められた主人公が自分の力をうまく使って前に進んでいく過程を描いています。主人公の家族には、それぞれが抱える苦労を“ないもの”として扱おうとする人や、不満を自分以外の人にぶつけてごまかす人がいて。そんな中で主人公が苦労と向き合い、前に進むまでの心情を視点にこだわって表してみました。


22世紀飛翔枠選抜大会(画像提供:日々輝学園高等学校横浜校演劇部)

―主人公がどのように進んでいくのかが気になります。最後にファイナルへの意気込みと来場者に一言お願いします。

小畑 1月の選抜大会と同じ演目なので、あのときよりもさらに良い演技になるように。来場者の皆様にも心から楽しんでいただけるようにがんばります。

飯嶋 3月17日の舞台では、後悔のないように楽しみながら、面白い劇を演じたいと思っています。上演後も皆様の心の中に余韻を残せるような、私たちの劇で感じた気持ちをそのまま持ち帰ってもらえるような空間を部員一丸となって作っていきたいです!

日々練習を重ね、たどり着いた晴れ舞台。大勢の観客の前で、役になりきって全力で楽しむ高校生たちのみずみずしい演技をぜひ会場でご覧ください。

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