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音楽
2019.07.25

近くで酔いしれる音楽の魔法〜室内楽の楽しみ

気軽enjoy! コンサートのある暮らし
File.7 室内楽の楽しみ
森光三朗
(音楽ライター)

 

演奏家の間に漂う緊迫した空気・恍惚の表情。
時折のぞくリラックスして楽しげな顔。
そして、聴衆と交わされる親密なコミュニケーション。
そうだ、室内楽、聴きに行こう!

ところで、そもそも室内楽とはなんぞや?
オーケストラ曲やオペラ、ピアノ曲に比べて地味な存在なのは否めないし、室内楽ファンを公言する愛好家もイマイチ少ない気もする。
個人的には、クラシック音楽の最も魅力的な演奏形態のひとつだ!と断言できるのだけど…。

英語では「Chamber Music」=室内で演奏する音楽。
クラシック音楽のふるさと、イタリアでも同様の意味「Musica da Camera」。
要するに、教会や劇場といった大きなスペースではなく、ロビーや客間などで演奏される少人数編成の音楽のことで、2人から7〜8人で演奏する。
(もちろん、現在は音楽ホールでの開催が一般的)
ジャンルとして定着しているため、大ホールや野外で行われても“野外楽”とは言わず、“室内楽”は“室内楽”。ちなみに、ピアノ独奏は室内で演奏されても“室内楽”には含めないのが一般的。

もともとバロック以前の楽器は小規模なものが多く
クラシック=オーケストラ=バーン!!
みたいになったのは18世紀も半ば過ぎ、ハイドンやモーツァルトの時代になってから。
ベートーヴェンが登場し、20世紀初頭のマーラーに至っては100人をゆうに超える大編成オーケストラで演奏するのが普通になった。
クラシックは成長するのだ!?

その一方で、作曲家は室内楽を作り続けた。ハイドンもモーツァルトもベートーヴェンもシューベルトもブラームスも、そして現代の作曲家も。
アマチュアの楽器愛好家たちが演奏するために。
圧倒的な技巧を持った、つまりめちゃ巧な演奏家の名人芸を際立たせるために。
そして何より、切り詰められた編成・音数ならではの創作的挑戦、内面的世界の表現のために。

ヴァイオリン2挺+ヴィオラ、チェロによる音楽の小宇宙、弦楽四重奏。
そこにピアノが加わるピアノ五重奏。
その他、弦楽器や管楽器、さまざまな組み合わせによるトリオやデュオ。

先ほど、地味な存在だなどと書いてしまったが、実は室内楽のコンサートは毎日のように数多く行われている。世界的なアーティストから元気な若手まで。気の合った音楽仲間による企画や音大生・音楽教室の生徒たちの発表会として。
少人数、しかも比較的小さめの会場のメリットは、何と言っても親密度。
音楽だから「音だけを聴け」なんて言う人も中にはいるけれど、やはり視覚による情報量は大きい。私の集中力のなさが原因かもしれないが、大ホールで聴いたオーケストラの印象を思い出せないことはしばしばあるのに、小ホールで観たバイオリニストのお辞儀の仕方や歩き方は妙に覚えていたりする。
そして、当たり前のことだが音が近い。各楽器ひとつずつの編成が多いので、どの音を誰が出しているのか、わかりやすいのもうれしい。
音と音が創り出すアラベスク。耳で、目で、追いかけているうちに自然と音楽に没頭していく快感。
あぁ、室内楽を聴く喜び!

個人的には、ヴァイオリンやチェロなどの若手奏者のリサイタルに行くのが好み。ピアノとのデュオで、ソナタや技巧的な小品を演奏したり、時には気合を入れて無伴奏の独奏曲に挑戦したり、真摯な演奏がなんとも眩しい。
「挑戦」なんて書くのは本当に失礼な話で、若手といっても立派な経歴と実力を併せ持った方が多いのだけど、そこは成熟も必要とされるクラシック。許していただきましょう。
聴く側の勝手な希望とすれば、変に大人っぽい演奏を聴くより、のびのびとした若々しい個性に触れ、ワクワク・ドキドキしてみたいなぁ。

さて、今回ピックアップするコンサート。
まずは神奈川県が誇る室内楽の聖地・フィリアホールからは、ドイツの新鋭・ヴェロニカ・エーベルレの演奏を。
何と言っても注目はフランクのソナタ。国際的なピアニストとして名声を確立しているピアニスト、児玉麻里との掛け合いが楽しみだ。
名曲に涙してください。

土曜ソワレシリーズ《女神との出逢い》
日時:9月7日(土) 17:00開演(16:30開場)
会場:フィリアホール(横浜市青葉区民文化センター)
ヴァイオリン:ヴェロニカ・エーベルレ
ピアノ:児玉麻里
プログラム:フランク ヴァイオリン・ソナタ イ長調 ほか
料金:S席5,000円/A席4,000円
*詳しくはこちら>>>

(c)Felix+Broede

そして、横浜の18の行政区すべてで開催するという素敵な企画「横浜音祭り2019 横浜18区コンサート」からは、山根一仁、毛利文香のヴァイオリン・リサイタル。
すでに一流オーケストラとの共演も経験している二人だが、いずれもまだ20代。間近に聴ける今のうちに、ぜひドキドキしておきたい。

《横浜音祭り2019》
■横浜18区コンサート 磯子区

日時:10月10日(木) 14:00開演(13:30開場)
会場:杉田劇場(磯子区民文化センター)
ヴァイオリン:山根一仁
ピアノ:島田彩乃
プログラム:ブラームス ヴァイオリン・ソナタ 第2番イ長調 ほか
料金:全席指定2,500円

横浜18区コンサート 栄区
日時:10月11日(金) 14:00開演(13:30開場)
会場:栄公会堂
ヴァイオリン:山根一仁
ピアノ:島田彩乃
プログラム:ブラームス ヴァイオリン・ソナタ 第2番イ長調 ほか
料金:全席指定2,500円
(C)K.MIURA

横浜18区コンサート 鶴見区
日時:10月15日(火) 14:00開演(13:30開場)
会場:サルビアホール 音楽ホール(鶴見区民文化センター)
ヴァイオリン:毛利文香
ヴィオラ:田原綾子
プログラム:マルティヌー ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲第1番「3つのマドリガル」ほか
料金:全席指定2,500円

横浜18区コンサート 保土ヶ谷区
日時:10月16日(水) 14:00開演(13:30開場)
会場:岩間市民プラザ
ヴァイオリン:毛利文香
ピアノ:津田裕也
プログラム:シューベルト ヴァイオリンとピアノのための幻想曲 ハ長調D934 ほか
料金:全席指定2,500円
横浜18区コンサート 港南区
日時:10月17日(木) 14:00開演(13:30開場)
会場:ひまわりの郷(港南区民文化センター)
ヴァイオリン:毛利文香
ピアノ:津田裕也
プログラム:シューベルト ヴァイオリンとピアノのための幻想曲 ハ長調D934 ほか
料金:全席指定2,500円
(C)Hisashi Morifuji

詳しくはこちら>>>

 

「おらが街のクラシック」的なラインナップ、いかがでしょうか?
まだまだ語り尽くせない室内楽の魅力。
続きはいずれまた。
それでは、ごきげんよう!

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