MAGCUL マグカル

「マグカル・ドット・ネット」は、神奈川県内のアート・カルチャー情報を発信するサイトです。
「マグカル・ドット・ネット」は、神奈川県内のアート・カルチャー情報を発信するサイトです。
神奈川県では、文化芸術の魅力で人を引きつけ、地域のにぎわいをつくり出す、マグネット・カルチャー(マグカル)の取組を推進しています。
(別ウィンドウで開きます。)
美術・写真
2018.12.12

縁は異なもの味なもの?!

Kanagawaギャラリーさんぽ
File.5 Tiptoe
山本詩野/ギャルリーワッツ)

 

冬が楽しくなりそうなカラフルなストールのDMが届きました。
作家は東京在住の染織・テキスタイル作家の小野文則さん。
私が勤めるギャルリーワッツがオープンしたころ(20年前)に、時々遊びに来てくださっていました。
そして、差出人は葉山にあるギャラリーTiptoe。
10年前に宝塚から葉山に移ったギャラリーで、オーナーの岩田嘉世子さんは宝塚のギャラリーを開廊する前に、よくワッツにいらして「いつかギャラリーを始めたい」と夢を語り、実現されたのでした。

このお二人がつながっていたことに驚き、懐かしく、早速会いに葉山へGo!

逗子駅から葉山方面のバスに乗り、「風早橋」下車、住宅街のほうへ歩きます。軒先にカヤックが置いてある家がけっこうあり、さすが海の町。なんだか、路面標示もオシャレ。
(初めて見たので調べたところ、視覚的に立体に見えるので速度抑制につながるそうです)
ブルーのドアが目印の一軒家、それがギャラリーTiptoeです。
器を中心に服飾、オブジェなど、暮らしを楽しむ作家モノを扱っています。
ちょうどオープニングパーティの最中で、おいしそうなお料理がずらり。今回のケータリングはファンも多い逗子のワインショップ「a day」のシェフによるもので、葉山の海の幸や鎌倉野菜を採り入れながら、小野さんの作品のようにカラフルな色がちりばめられたお料理でした。
Tiptoeでは、毎回、展覧会のニュアンスに合わせてメニューを構成してもらうそう。
「『おいしい』はもちろん、1人生活になった高齢のお客さまに『暖かい雰囲気での食事が楽しみ』と言ってもらえる喜びも大きいです」と岩田さん。
陶磁器やガラス、漆など、ここで展覧会をした作家たちの器を用いたテーブルコーディネートも美しく、自宅でもこんな器使いをしてみようかと勉強になります。
「お客さまにとっても、作家の方にとっても、感性のちょっとした刺激になればいいなぁ、と考えながらパーティの器選びをしています。私にとっても、ワクワクする作業ですね」

さて、主役の小野さんは東京造形大学デザイン学科と、武蔵野美術大学大学院造形研究科を卒業後、イッセイミヤケに就職。そこでさらにテキスタイルの面白さと可能性に触れたと言います。
着ていたPOPなシャツとネクタイ、ジャケットのディテールから、やっぱりテキスタイル好きならではのハイセンスがうかがえました。

独立して紙や繊維を素材としたアート作品を制作する傍ら、身にまとうものも手掛ける小野さん。
作品に魅了された岩田さんから十数年前にオファーを受け、宝塚での展覧会から数えて、今回で6回目の個展になるそう。

ウールやシルクを染色し、縮絨したフェルトと合わせたマフラーやストールは、暗いトーンになりがちな冬のファッションに軽やかさを与えてくれます。
まとったときに色だけではない華やかさが感じられるのは、造形作家の小野さんならではの遊びが施されているからでしょう。

「岩田さんはバラ好きで、庭で育てていらしたのですが、『バラをイメージしたニュアンスで』など、最初のころはリクエストがありました。いろいろ投げかけられることで学ばせてもらってきたなぁ、と思います。今は『好きに取り組んでみて』と言われ、自由に遊ばせてもらっています」
作家とギャラリーの信頼関係から生み出されるクリエイションは、やはりお客さまを惹きつけるものです。DMが届いてから心待ちにしていたというお客さまたちでにぎわっていました。

今回出展されていた、メッシュの中に色とりどりの毛糸を閉じ込めたコートは、まるで抽象画のようなインパクト。

「僕は縫製ができないので、服を作るときは感性を信頼している友人に任せているんです」と小野さん。話を聞いていると、なんとその人は私の友人だったことが発覚して、びっくり!世の中狭いものです(笑)。

すばらしいことにTiptoeでは、葉山に移ってから、記録として毎回作家の個展の様子をまとめたブックを作っています。小野さんの4冊目のために訪れていた写真家が、これまたなんと私の知り合いで、懐かしい顔に再会!!
写真家の佐藤正治さんは葉山に在住15年。長年続く葉山芸術祭(2018年から葉山ART WALKと共催)にも参加され、地元の文化芸術プロジェクトを盛り上げています。

ずいぶん前に、佐藤さんを岩田さんにご紹介したことがきっかけで、岩田さんは葉山に移転先を決めたそうで、DMをはじめ写真類は佐藤さんが撮っているというではありませんか。
次々と出てくるこのご縁の重なりに、ワッツの歴史も顧みる嬉しいひと時になりました。

そして私が連れて帰ったのは、ヴィヴィッドなドットのマフラー。早速、秋冬のファッションの差し色に採り入れています。
会った人には「綺麗な色」と褒められて、このマフラーがコミュニケーションの仲介役に。そこから広がるご縁もまた楽し!ですね。

小野文則さんの展覧会は12月16日(日)まで開催しています。

 

《ギャラリー情報》
Tiptoe

〒240-0112
神奈川県三浦郡葉山町堀内1422-10
TEL: 046-854-8256

*開廊日:基本的には木、金、土に常設営業。企画展のときは期間中営業。(日曜日の来訪希望者は要予約)

《アクセス》
▶︎JR逗子駅からバス(1、2乗場)/京浜急行 新逗子駅からバス(1乗場)
 「風早橋」下車。 徒歩3分

http://www.tiptoe-hayama.com

 

 

  • 地域
    湘南地域
関連記事