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舘形比呂一のDanceable LIFE Vol.8

舘形比呂一のDanceable LIFE Vol.8

存在感のある表現者を目指して
舘形比呂一(役者・ダンサー・振付家)

アンサンブルの一員だった僕にスポットライトを浴びる機会をくれたのが、THE CONVOY SHOWでした。主宰の今村ねずみさんが、アンサンブル出身のダンサーを集めて立ち上げたユニットです。THE CONVOY SHOWが世の中に出たことで人に見られることが増え、僕も様々な舞台に立つ機会が増えました。

昨年末はミュージカル『ハムレット』に出演させていただきました。音楽の福井小百合さんとは以前もお仕事をご一緒したことがあるのですが、楽曲がマニアックというか、セリフがそのまま歌になっている感じなんです。すごく難しいのですが、とても魅力的でやりがいのある楽曲でもあります。もちろんすべてオリジナル曲。僕は3曲もいただいて光栄だったのですが、音を取るだけでも大変で、修行のようでした(笑)。

ミュージカルは、歌を言葉として、セリフとして伝えることが大切です。その役柄の人物として物語の中に存在し、その役として歌うわけですが、そこまでたどり着くのが一苦労。もちろん、それは楽しい苦労だし、新しいことに挑戦できるのは幸せなことです。
僕は器用なタイプではないので、役柄を踊りで表現するときも「踊りをどうみせるか」というより「この役の存在感をどうみせるか」ということを常に考えてきました。テクニックを強く要求されるダンスもありますが、僕は舞踊で役をどう表現するか、ダンスをただかっこよく踊るだけではなく、どう演じて存在してゆくかを追求することがとても好きでした。
その意味では、ストレートプレイやミュージカルなど、踊りの枠を超えて役を演じる機会をいただくのはとても嬉しいことですし、やりがいを感じます。もちろん踊りは好きなので、声をかけていただけるのは本当にありがたいことだと思っていますが、僕自身は舞踊手として求められることよりも、舘形比呂一という表現者の存在感を求められた時に、大きな喜びを感じるんです。

かっこよさだけを“売り”にしていたら、こんなに長い間やってこられなかったと思います(笑)。ましてや、これから60歳、70歳と年を重ねていくことを考えると、それって「面白くない」ですよね。

僕が魅力を感じるのは、歳を重ねるとともに可能性が広がる表現者です。歳をとることがマイナスではなく、プラスになってゆく。歳を重ねるごとに、こんな役が似合いそう、こんな役を見てみたいと思わせることができる表現者になれたら素敵ですよね。年齢を重ねることで身につけられる、怪しさ、妖艶さ、美しさ、毒を、身につけていけたら幸せだと思っています。

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