神奈川フィルハーモニー管弦楽団が横浜市立茅ケ崎中学校と共演
神奈川フィルハーモニー管弦楽団(以下、神奈川フィル)が2024年9月23日(月・休)、横浜市立茅ケ崎中学校吹奏楽部とコラボレーションしたコンサートを開催しました。コンサートの1週間前の9月16日に、茅ケ崎中学校に神奈川フィルの演奏者12人が訪問し、楽器ごとに練習するワークショップを行いました。その様子とコンサート当日の熱演をレポートします。
楽器ごとに3時間の熱心な練習
神奈川フィルと横浜18区の子どもたちが共演する夢のコンサート企画「ヨコハマ・ネクストコンサート2024」。第2回となる今年ステージに立つのは、茅ケ崎中学校吹奏楽部です。
本番1週間前の9月16日、茅ケ崎中学校には神奈川フィルからフルート、オーボエをはじめとした様々な楽器の演奏者が来て、吹奏楽部員に直接指導を行いました。生徒たちも最初は緊張の面持ちでしたが、神奈川フィルの演奏者に楽器の扱いや音の出し方のコツなど、基礎的なことから丁寧に指導を受けました。生徒たちは素直にアドバイスを聞き入れ、良い音を出したり、リズムがそろったりとその場でステップアップしていきました。
ワークショップを終えて
神奈川フィルのフルート奏者の江川さんと、ホルン奏者の豊田さんにお話を伺いました。
―今日のワークショップをどのように感じましたか。
江川 やる気にあふれていて、アドバイスしたことをすぐに取り入れられる真っすぐさが素晴らしいです。素直で非常に熱心でした。
豊田 活気のある練習となりました。ベースの実力があるので、プラスアルファのアドバイスがすぐ取り入れられます。
―来週、本番を迎える生徒たちに一言お願いします。
豊田 コンサートはコンクールとは違うので、ぜひ楽しんでほしいです。伸びしろが大きいので、1回1回の練習でぐっと良くなると思います。今日の指導が生かされると思います。
いざ、本番!夢のコンサート
コンサートの第一部は神奈川フィルによる荘厳なファンファーレで幕を開け、茅ケ崎中学校の演奏が始まりました。吹奏楽部顧問、明日山賢一先生による指揮で、吹奏楽コンクールでも演奏した、酒井格作曲のメルヘン、保科洋作曲の復興の2曲を演奏しました。大半が中学から楽器を始めた、子どもたちによる演奏とは思えない、気持ちが乗ったいきいきとした演奏でした。3曲目のユーロビート・ディズニー・メドレーは、全員華やかな極彩色のケープを着け、1年生が舞台の最前列でダンスを見せてくれました。ミッキーマウスマーチ、イッツアスモールワールドと誰もがよく知るメロディーに、客席全体が手拍子で盛り上げ、楽しい雰囲気になりました。
そして、神奈川フィルの首席ソロ・コンサートマスターの石田泰尚さんと茅ケ崎中学校との共演で、大橋晃一編曲のジェラシーと、浦田健次郎編曲の追憶のテーマ。石田さんのヴァイオリンの滑らかで美しい音色が心に響き、生徒たちと掛け合う部分も素晴らしく、観客の感動を誘いました。石田さんは自分の演奏がない部分は体の向きを変え、生徒の方を見守る仕草をされていました。
第二部は神奈川フィルのステージから始まり、アルヴァマー序曲、ルーマニア民俗舞曲、歌劇「イーゴリ公」ダッタン人の踊りの3曲が演奏されました。そして、いよいよ茅ケ崎中学校との合同演奏です。顧問の明日山賢一先生の指揮による横浜市歌、横山奏さんの指揮による歌劇「アイーダ」凱旋行進曲。生徒たちはステージの後方と、2階席のパイプオルガン前に位置し演奏しました。
一人一人の楽器の音が全体と調和し、美しいハーモニーを奏でました。アンコールの曲は、「星条旗よ永遠なれ」。壮大なスケールを感じさせるオーケストラと吹奏楽部の演奏で、大迫力で聴衆を魅了しました。終演後、神奈川フィルのメンバーたちは生徒たちを大きな拍手で称えました。客席からの拍手もなかなか鳴り止まず、生徒と神奈川フィルの合同演奏が聴く者に大きな感動を与えたのではないでしょうか。
演奏を終えて
神奈川フィルのホルン奏者の熊井優さんに感想を伺いました。
―率直な感想と生徒たちに一言お願いします。
熊井 サッカー少年が横浜F・マリノスとサッカーをするような試みで、子どもたちの世界が広がる、とても意義深い試みだと思います。去年のヨコハマ・ネクストコンサートで共演した保土ケ谷中学校の生徒が今年、ジュニアオーケストラに参加してくれました。そのように、今日の経験が将来音楽に携わってくれるきっかけになることもあると思います。オーケストラというと、吹奏楽より一段上というようなイメージを持つ生徒さんもいるかも知れませんが、入り口が違うだけで音楽という広い世界は同じです。どこから入ってもいいと視野を広げて、音楽を楽しんでもらいたいと思います。
茅ケ崎中学校吹奏楽部部長の山本知世子さんにも感想を伺いました。
―今日の感想を一言お願いします。
山本 楽しかったです。まだふわふわしている感じですけれど、演奏が終わった時に周りの吹奏楽部員の顔を見たら、みんな笑顔でした。それを見て、良かった、楽しめたと思いました。明日山先生からはコンサートの前に、吹奏楽以外にもいろいろな楽器があり、それぞれに道があることを感じてほしい、音楽の世界は広いことを知ってほしいと言われました。この経験を通じて、実際にその通りだと分かりました。将来のことはまだ分かりませんが、弦楽器や他の楽器にも興味が湧き、自分の世界が広がった感じがします。
ヨコハマ・ネクストコンサートの名前の通り、今回のコンサートは子どもたちや神奈川フィルの未来につながっていくと思います。来年はどこの区の中学校の吹奏楽部が選ばれるのでしょうか。
次回もまた楽しみです。