【鎌倉市川喜多映画記念館 】スクリーンの向こうのアメリカへ
鎌倉の古い町並みに、ひっそりと、しかし確かな存在感で佇む鎌倉市川喜多映画記念館 。世界の映画文化の普及に生涯を捧げた川喜多長政・かしこ夫妻の功績を伝えるこの場所で、夏の企画展がはじまった。タイトルは「アメリカン・シネマの道しるべ」。6月20日から8月30日まで開催中だ。《トップ画像:お熱いのがお好き(1959)》
ポスターはタイムカプセル。85点が語る、アメリカの「いま」と「あのころ」
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本展の軸となるのは、アメリカ映画のオリジナルポスター約85点。スクリーンの向こうに映し出されてきたアメリカを、スポーツ、音楽、食、乗り物、各都市の風景や伝統といった幾つものテーマで横断しながら紹介する構成だ。
映画ポスターというのは、ただの告知媒体ではない。その時代の空気、社会が何を欲していたか、どんな価値観が輝いていたかを、一枚の絵として封じ込めたものだ。並べて眺めると、ポスターを追うだけで、アメリカの100年をざっと旅することができてしまう。
「映画を旅して」──宮崎祐治、14点の原画が示す地図の力
もうひとつの見どころが、映画イラストレーター・宮崎祐治氏による原画14点だ。スターチャンネルの総合プログラムガイドで連載された「映画を旅して」シリーズから、アメリカ各地の地図を主題にした作品が並ぶ。
モニュメントバレー、セントラルパーク、フィラデルフィア美術館の「ロッキー階段」……。映画の名シーンと土地の記憶が重なり合う地図は、単なるイラストを超えた旅の案内状のようだ。
『WANDA ワンダ』や『ジャグラー ニューヨーク25時』など、映画ファン感涙の超貴重作品の上映から『シビル・ウォー』まで

企画展と連動した特集上映のラインナップも、なかなか唸らせる。 『天国の日々(4K)』をはじめとする映画史の名作から、ショーン・ベイカーの『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』、さらには話題の『シビル・ウォー アメリカ最後の日』まで。「アメリカ」を映し続けてきた映画作品がならぶ。展示を観てから客席に座ると、また違った景色が見えてくるはずだ。※上映スケジュールについては公式ホームページでご確認ください

個人的には、ポスターという「静止画」が、特集上映という「動く映画」と呼応しながら会場を巡れる設計が好ましい。展示を見て、映画を観て、また展示に戻る──そんな往復の楽しみ方ができそうだ。
鎌倉の夏を、スクリーンの向こうのアメリカとともに。