古民家山十邸は、古くからのただずまいを残し「かながわのまちなみ100選」 に選ばれた当町中津熊坂地区の旧街道沿いにあります。山十邸は、この地方の明治初期における豪農層の住居の姿を示すものとして、愛川町が、その建物や庭園等を後世に残すために修復、保存を図ったもので、平成21年1月に国登録有形文化財となりました。
明治16年(1883)に建築された中津地区の豪農熊坂半兵衛の居宅。「山十」はこの熊坂家の屋号です。瓦葺、入母屋造で、屋内には座敷飾りを備える広間をもちます。間取りは六間取りで、ほぼ西を正面に向けて建ち、南側に土間、その北側に六室を設けます。材はケヤキが使用され、大黒柱は約50センチメートル角、上段は幅約62cm、長さ713cmの一枚板です。昭和19年(1944)、思想家大川周明の所有となり、周明の没後、さらに別な所有者を経て、昭和63年、町所有となりました。一部修復した後、平成元年(1989)から一般公開しています。