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キネマ散歩 第6回「みなとみらいの小さな映画館 kino cinéma 横浜みなとみらい」

キネマ散歩 第6回「みなとみらいの小さな映画館 kino cinéma 横浜みなとみらい」

神奈川県内のミニシアターを紹介していく「キネマ散歩」。今回紹介するのは「kino cinéma 横浜みなとみらい」だ。国内外から多くの観光客が訪れるみなとみらいはショッピングモール、遊園地、美術館など多くのレジャー施設が立ち並ぶ、地元民にも愛される街だ。シネコンも複数あり、筆者にとって学生時代はみなとみらいで映画を観るのが週末の定番コースだった。そんなみなとみらいにミニシアターがあることをご存じだろうか?

みなとみらい線「みなとみらい駅」1番出口を出ると、横浜を象徴する二つの巨塔、ランドマークタワーとクイーンズスクエアがそびえたつ。それらに背を向け進むと、全面ガラス張りのモダンなビルが目に飛び込む。グランモールに面するこちらの建物の1階には、TSUTAYA横浜みなとみらい店とスターバックスが併設されており、コーヒー片手に好きな本を読むことができる。そしてコーヒーの香りが漂うこちらの一角に、kino cinéma 横浜みなとみらいの入口がある。

1階の入口には上映中の作品、および近日上映予定の作品のパンフレットや紹介パネルが並べられている。上部にあるスクリーンには各作品の上映時間と空き状況が表示されているため、気になる映画の時間帯を調べるのも、丁度良い時間にやっている映画の情報を調べるのも、どちらも可能だ。木下グループが手がけるこちらの映画館ではキノフィルムズが配給する作品に加え、話題の作品から単館系の作品まで幅広いジャンルの映画を取り扱っている。この日の上映ラインナップには、先日のアカデミー賞でノミネートされた話題作から、ドラマーに焦点をあてたドキュメンタリー作品などが含まれていた。

観たい映画が決まったら、いざシアターへ。奥にある階段、もしくはエレベーターを使って2階に上がると劇場に到着だ。看板の青い文字、赤い花、木目調のドアに白い壁。1階のモダンな雰囲気とは変わって、ヨーロッパの街並みのような可愛らしい内装だ。お洒落でありつつも気取っていない温かさがあり、その雰囲気を象徴するかのように、トイレではお馴染みのあのキャラクターたちが愛嬌たっぷりに迎えてくれる。

2階にはまず売店と小さなグッズ売り場があり、嬉しいことにドリンクバーを注文することもできる。そこから伸びる長い廊下にシアターが3つ連なり、手前のシアター1は55席、続くシアター2と3はそれぞれ111席を保有。シアターの前は吹き抜けとなっているため、広々とした空間に差し込んでくる日差しが気持ち良い。館内の至る所に、上映作品に関する展示やパネルが並べられている。

シアター内の席は充分なゆとりを持って並べられている。席はそれぞれリクライニングすることができ、両サイドに肘置きがついているのも嬉しい。ゆったりとリラックスして映画鑑賞を楽しむことができる。

元々この2階のエリアはCD・DVDのレンタルを行っていたが、2018年の10月にレンタルサービスが終了。翌年の2019年に、「kino cinéma 横浜みなとみらい」がその跡地にオープンした。
配信サービスが充実した昨今、レンタルしたり映画館に行ったりしなくても、幅広いジャンルの映画を自宅で観ることができる。そんな時代の中で、あらゆるジャンルの映画を楽しめる映画館が開館したことは、映画館で映画を観たいという気持ちが不変的であることを、証明してくれたかのように思える。

「kino cinéma 横浜みなとみらい」はミニシアターデビューにはお薦めの映画館だ。吹き抜けとなっている造りからも、プラッと足を踏み入れやすいオープンさがある。またその抜群のロケーションから、前もって予定するだけではなく、一日のスケジュールや気分に沿って、気軽に映画鑑賞を楽しむことができる。買い物や観光の合間、もしくは友達と早めに解散した時など。「そういえば何か面白い映画やっているかな?」と考えて覗いてみる。今までは名前も知らなかった名作に巡り合うチャンスが待ち受けているだろう。生活に寄り添ってくれる、海沿いの街の小さな映画館だ。

kino cinéma 横浜みなとみらい
ホームページ:こちら
〒220-0012 神奈川県横浜市西区みなとみらい4-7-1
みなとみらいミッドスクエア2F(TSUTAYA横浜みなとみらい店2階)

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