マグカルWEBプチツアーで神奈川県の人気美術館へGO!
(TOP画像)横浜美術館 撮影:田中雄一郎
神奈川県には、所蔵作品はもちろん、規模感やロケーションなど様々な魅力を持つ美術館が多数あります。アートに囲まれてゆったり過ごす、あるいは付属するカフェでくつろぐ時間は、何ものにも替え難い至福の時間です。2020年前半はコロナ禍の影響で休館を余儀なくされたのは、本当に残念なことでした。
緊急事態宣言の解除を受けて、現在はそれぞれに対策を講じながら再開館に向けた準備が進められています。6月に入り開館する美術館も増えてきましたが、まだ出かけるタイミングを考えあぐねている方も多いことでしょう。
そこで、県内の人気美術館にお願いして、所蔵品の一部や企画展の様子を発信していただきました!
神奈川県立近代美術館
1951年、日本で最初の公立近代美術館として鎌倉の鶴岡八幡宮境内に開館しました。坂倉準三が設計した「旧鎌倉館」は、老朽化に伴い、2016年に惜しまれながら閉館。現在は一色海岸を望む場所に建つ「葉山館」と、
【会場】神奈川県立近代美術館 鎌倉別館(改修工事のため休館中[2021年1月(予定)まで])
[休館日]月曜日、展示替期間、年末年始(12/29〜1/3)
[開館時間]9:30〜17:00(入館は16:30まで)
[住所]鎌倉市雪ノ下2-8-1
[TEL]0467-22-5000
*葉山館
一方、葉山館は改修工事のため休館中でしたが、2020年7月1日(火)より再開しています。
現在開催中の展覧会はこちら!!
【日本・チェコ交流100周年
チェコ・デザイン100年の旅】
[会場]神奈川県立近代美術館 葉山館 展示室2・3
[会期]2020年7月31日(金)〜9月22日(火・祝)
[休館日]月曜
[開館時間]9:30〜17:00(入館は16:30まで)
[住所]葉山町一色2208-1
[TEL]046-875-2800
《神奈川県立近代美術館》
*詳しくは公式サイトにてご確認ください。
横浜美術館
1989年の開館以来、国際的な港町・横浜にふさわしい美術館として、近・現代美術に焦点をあてて作品を収集し、展覧会を開催してきました。7つの展示室のほか、11万冊を超える蔵書がある美術情報センター、多彩なワークショップを行うアトリエなども揃う、国内でも有数の規模を誇る美術館です。
迫力あるシンメトリーな外観が特徴的な建物は、日本を代表する建築家・丹下健三により設計されました。
御影石をふんだんに使った高さ約20メートルの広々とした吹き抜けのエントランスと、左右約100メートルに広がる階段状の展示空間からなる「グランドギャラリー」は、美術館のシンボルともいえるスペースです。
今年は3年に一度開催する現代アートの国際展「横浜トリエンナーレ」の開催年。現在は休館中ですが、7月17日(金)の開幕に向けて準備が進められています。
【ヨコハマトリエンナーレ2020「AFTERGLOW-光の破片をつかまえる」】
[会期]2020年7月17日(金)〜10月11日(日)
ヨコハマトリエンナーレ2020終了後は、愛知県美術館、富山県美術館との共同企画の展覧会が開催されます。大型公立美術館3館が誇る西洋美術コレクションから、ピカソ、クレー、ミロ、エルンスト、ダリ、マグリット、ポロック、ベーコン、リヒターらの、100点を超える作品により、表現手法と概念の刷新が繰り返された20世紀の西洋美術の足跡をたどります。
【トライアローグ 横浜美術館・愛知県美術館・富山県美術館 20世紀西洋美術コレクション】
[会期]2020年11月14日(土)〜2021年2月28日(日)
[休館日]木曜(2021年2月11日を除く)、2020年12月29日(火)〜2021年1月3日(日)、2月12日(金)
1920年代から晩年まで、マグリット作品に繰り返し登場する山高帽子の男。目、鼻、口のみが残り、そのシルエットには静寂に包まれた森と山の風景が投影されている。一番奥に描かれるべき遠景を前景に描くことで、絵画のルールを覆し、不思議な別世界へと鑑賞者を誘っている。マグリットは作品タイトルを友人に委ねることがしばしばあったといわれ、本作も1927年以来の旧友スキュトネールが、自分が名づけたと証言している。「謎が存在するためには何が描かれなくてはならないか」探究した画家は、作品とタイトルの関係にも謎を潜ませている。(横浜美術館学芸員 金井真悠子、『横浜美術館コレクション選』[2014年]より)
淡い色調の上に、人物を思わせる3つのモチーフが鋭い線で描かれ、左から右へのベクトルを形作っている。本作は、まず原画となるデッサンを描き、その裏面に油性インクを塗った状態で上から尖筆でデッサンをなぞり、下の紙に転写する「油彩転写」というクレー独自の技法が用いられている。その原画デッサン(1922年、所在不明)には、「象徴としての攻撃←意志←そして遂行」という作品タイトルに加え、3つのモチーフに左からそれぞれ「遂行」「意志」「象徴」と書き込まれている。絵画の造形プロセスに関するクレーの考え方そのものが主題化された作品である。(横浜美術館主任学芸員 松永真太郎、『横浜美術館コレクション選』[2014年]より)
直線、三角形、矩形、三日月形といった幾何学的モチーフが組み合わさって、調和に富んだ画面が形作られている。ドイツの総合芸術学校バウハウスへの赴任(1922年)を契機に、カンディンスキーの絵画は、いわゆる表現主義的抽象から幾何学的抽象へと大きく転換した。そのバウハウス時代の半ばにあたる時期に制作された本作にも、同時代のロシアやオランダの構成主義運動の影響が見て取れる一方で、多様性に富んだ形態や柔らかな色彩表現に、構成主義絵画の厳格さとは一線を画する、この画家固有の抒情的感興が堅持されている。(横浜美術館主任学芸員 松永真太郎、『横浜美術館コレクション選』[2014年]より)
《横浜美術館》
[住所]横浜市西区みなとみらい3-4-1
[TEL]045-221-0300
*詳しくは公式サイトにてご確認ください。
川崎市 岡本太郎美術館
芸術家・岡本太郎から川崎市に寄贈された1779点を所蔵・展示する美術館として、1999年、生田緑地内に開館しました。
館内の展示室では、岡本太郎の芸術作品、著作、パフォーマンス、フィールドワーク等の軌跡を伝えるための工夫を凝らし、照明・映像などの演出とともに作品を紹介。岡本太郎の世界を“体験”できる空間が特徴です。
現在、常設展示室では「太陽の塔への道~太陽の塔は「生命の樹」だった」を開催中です(10/11まで)。
《川崎市 岡本太郎美術館》
[開館時間]9:30〜17:00(入館は16:30まで)
[休館日]月曜(祝日の場合を除く)、祝日の翌日(土日に当たる場合を除く)、年末年始、他に臨時休館日あり
[入館料]展覧会ごとに異なるため、公式サイトにてご確認ください。
[住所]川崎市多摩区枡形7-1-5 生田緑地内
[TEL]044-900-9898
鎌倉市鏑木清方記念美術館
現在は、以下の企画展を開催中です。
【きらめく夏 ー清方と遊心庵ー】
[会期]7月4日(土)〜8月25日(火)9:30~16:20
[開館時間]9:30~16:20
[休館日]月曜
[観覧料]一般200円、小・中学生100円
泉鏡花の随筆「一葉の墓」(1900年・文芸雑誌『新小説』掲載)に促されて、当時築地本願寺にあった樋口家の墓に詣でたことから着想を得ました。樋口一葉の著書『たけくらべ』の主人公美登利(みどり)が、樋口家の墓にもたれる姿は、この時のスケッチによります。
政府が主催する帝展への出品作。清方が制作に迷いを感じていた時、この作品に至って「全く自分を取り戻した」と自ら語る代表作のひとつで、別荘があった金沢八景(現・神奈川県横浜市金沢区)の生活にもとづきます。
《鎌倉市鏑木清方記念美術館》
[住所]鎌倉市雪ノ下1-5-25
[TEL]0467-23-6405
茅ヶ崎市美術館
1998年4月、茅ヶ崎市により設置された美術館です。
日本の近代洋画史にその名を残す萬鐵五郎や堅実な画術で文化勲章を受章した洋画家・小山敬三をはじめ、スペインに魅せられた水彩画家・三橋兄弟治、日本各地の風景を木版画により魅力的に描きだした土屋光逸、また現在茅ヶ崎を拠点とし活動している新進作家など、茅ヶ崎にゆかりのある作家や作品を中心に約2,000点を収蔵しています。
臨時休館が続いていましたが、7月1日(水)より展示の再開を予定しています。淋しい思いをしている皆さんのために、美術館より所蔵品の画像をご提供いただきました。
この作品に描かれているバラのアーチは、20世紀を代表する巨匠アンリ・マティスが眠るニース郊外・シミエにあるフランシスコ会修道院の庭の光景です。マティスは青山の色彩を称賛し、亡くなるまで親交を重ねたそうです。
萬が病気療養のため、東京・小石川からこの茅ヶ崎に居を移したのは大正8年(1919年)3月。以後、彼は茅ヶ崎の松林と潮騒のざわめき、そして海からのやわらかい風をこよなく愛したそうです。
《茅ヶ崎市美術館》
[住所]茅ヶ崎市東海岸北1-4-45
[TEL]0467-88-1177
*詳しくは公式サイトにてご確認ください。
横須賀美術館
市制100周年を記念して2007年に開館。県立観音崎公園の豊かな緑が三方を囲み、目の前には東京湾が広がる恵まれた環境の中にある美術館。館内でも常に周囲の自然が感じられるよう、天井や側面に大小の丸穴が開けられ、開放的な空間となっています。
洋画家・朝井閑右衛門や川端実のほか、横須賀ゆかりの作家によるコレクションが特徴的です。
《横須賀美術館》
[開館時間]10:00〜18:00
[休館日]第1月曜(ただし祝日の場合は開館)、12月29日~1月3日
[観覧料]一般:380円、高校・大学生・65歳以上:280円、中学生以下:無料
[住所]横須賀市鴨居4-1
[TEL]046-845-1211
岡田美術館
2013年、箱根・小涌谷に開館。屋内展示面積としては箱根随一を誇る広大な館内に、日本・東洋の陶磁器や絵画などの美術品を常時約450点展示しています。現代日本画家・福井江太郎によって描かれた風神・雷神の大壁画「風・刻(かぜ・とき)」の前には足湯カフェがあるなど、幅広い楽しみ方ができる点も魅力です。
【生誕260年記念 北斎の肉筆画―版画・春画の名作とともに―】
(2020年9月27日(日)まで)
北斎の画業70年のうち、40歳代から最晩年までの各時代を代表する珠玉の肉筆画11点を中心に、版画・版本、春画を含む17点の北斎作品を展示。北斎に影響を受けたフランスのガラス作家エミール・ガレ(1846〜1904)の作品なども通じて様々な角度から奇才・葛飾北斎に迫ります。
《夏の朝》を描いた50歳前後の北斎は、肉筆美人画の制作にも力を注ぎ、傑作と称される作品の数々を生み出しました。本展覧会では同じく傑作と名高い《美人夏姿図》(個人蔵)と並んで公開されます。
世界的に有名な「富獄三十六景」シリーズは北斎が70歳を過ぎて手がけたもので、最新の輸入画材であった西洋のプルシアンブルー(通称「ベロ藍」)を用いた斬新な表現が評判を呼びました。
1969年、国内初の野外美術館としてオープンした彫刻の森美術館。箱根の山々を望む7万平方メートルの庭園には、近・現代を代表する彫刻家の名作120点が常設展示されています。
6月8日(日)に再開館しましたが、子供たちに人気の「ネットの森」「しゃぼん玉のお城」「丸太広場キトキ」など一部の施設は引き続き利用できない状況が続いています。とはいえここの魅力は、なんといっても気持ちの良い野外展示空間。エントランスからトンネルを抜けて屋外に出ると、箱根の山々に縁取られた庭園美術館が広がっています。
20世紀前半に活躍した画家レジェは、晩年に建築との共同制作を目的とするモニュメントを手がけました。躍動感あふれるこの作品は、太陽に向かって勢いよく前進しているかのように見えます。
文芸家協会からの依頼で肖像写真をもとに制作したものの、ガウンをまとった石膏像は協会から酷評され、引き取りを拒否されます。ロダンは石膏像を引き取り終生外に出しませんでした。作品がパリ市内に設置・除幕されたのは、彼の死後、1939年のことです。
ギリシャ神話の英雄ベレロフォンが天馬ペガサズに乗って怪物キマイラの退治に向かう場面です。19メートルの台座の上に展示されているこの作品は、空を背景にした野外に映えます。
《彫刻の森美術館》
[開館時間]9:00〜17:00(入館は16:30まで)
[休館日]無休
[入館料]一般1,600円、大学生・高校生1,200円、中学生・小学生800円
[住所]箱根町二ノ平1121
[TEL]0460-82-1169
ポーラ美術館
2002年、箱根に開館。西洋絵画、日本の洋画、日本画、版画、東洋陶磁、ガラス工芸、古今東西の化粧道具などを収蔵する美術館です。
建設に際してのコンセプトは「箱根の自然と美術の共生」。箱根の自然と景観に配慮した建物は高さを地上8メートルに抑え、建物の多くを地下に置き、森に溶け込むような形にしています。
展示室は印象派の作品が美しく鑑賞できるよう、「7月のパリの夕暮れ」を再現した光ファイバーによる照明を採用。優れた作品と、美しい緑の自然、そして光に満ち溢れた建築空間が織りなす美の世界が楽しめます。
6月1日(月)より再開館し、現在は以下の展覧会を開催中です。
【モネとマティス もうひとつの楽園】
[会期]2020年11月3日(火)まで
[休館日]会期中無休(
[開館時間]9:00〜17:00(入館は16:30まで)
[観覧料]大人1,800円/65歳以上1,600円/大学・高校生1,300円 中学生以下は無料
モネは、自分がつくり上げた幻想的な庭で睡蓮の池と橋の風景を描いています。この作品は18点の連作のうちの1点。この後、しだいに彼の興味は時間や天候による光の変化が、池の水面におよぼすさまざまな効果に向かっていきます。
マティスが本作品を制作したのは、1943年に戦火を逃れて南仏ニースのレジナ・ホテルに滞在していたとき。「私はあるときは色彩だけである種の均衡と表現的なリズムを得ようとし、またあるときはただアラベスクだけの力を確かめようと努めてきました」。マティスはこの時期こう告白しています。
レースの帽子の質感や軽やかさを伝える筆致からは、ルノワールの描く喜びが感じ取れるようです。袖口のヴォリュームが巧みに表現されたドレスの描写にもうかがえるように、ルノワールは衣装の質感をとらえて描き出すことを得意としていました。
《ポーラ美術館》
[住所]箱根町仙石原小塚山1285
[TEL]0460-84-2111