新星演奏家が紡ぎ出す若さ溢れる演奏と新年を祝おう!
68年という歴史を誇る公立施設としては日本初の本格的な音楽専用ホール、神奈川県立音楽堂。
由緒あるホールで開かれる神奈川フィルハーモニー管弦楽団と若き才能の溢れる演奏家によるコラボ『第17回フレッシュコンサート For Future』が、年明け1月9日に開催されます。今回は、若手演奏会の登竜門とも言われる「東京音楽コンクール」で見事第1位を獲得したヴァイオリニスト福田麻子(ふくだあさこ)氏と、新星のように現れ、クラシック音楽界を席巻する指揮者 坂入健司郎(さかいりけんしろう)氏の2名の音楽家が神奈川フィルハーモニー管弦楽団との素晴らしい舞台を魅せてくれます。若さと才能にあふれた弾けるような音色と共に、新年をお祝いしませんか?
《トップ画像:福田麻子さん 撮影:井村重人》
今回は、ヴァイオリニストの福田麻子さんにお話しを伺いました。
とても素敵なお話しをしてくださいましたよ。
是非最後までお楽しみください!
まず、ヴァイオリニストとしての道を選んだきっかけを教えてください
母によると、姉と兄が先にヴァイオリンを習って弾いていたので自然と「私もやってみたい!」と言ったそうです。ヴァイオリニストとしての道を選んだのは、ヴァイオリンを弾くことが得意だと感じていたのと、家族皆が音楽に携わっている家庭だったので楽器を弾き続けて演奏家を志すことは自然なことでした。
ご家族のことを教えてください。
もともと祖父が弦楽器の弓の製作者で、それを継いだ父と、声楽を学んでいた母のもとに生まれました。3人兄弟ですが、3人ともヴァイオリニストとして現在も活動しています。
すごい、サラブレットですね!何か音楽に因んだエピソードはありますか?
エピソードとしては、練習をする際に母親に伴奏してもらったり、子供の頃はよく冠婚葬祭などで3人で演奏したりということがありました。最近は、兄とデュオのコンサートをさせていただく機会が何度かありました。一緒に弾く時は、兄弟だからこそ何も包み隠さず本音で会話できるところはいいところですが、一方でお互いに表現がストレートすぎて、演奏の表現が喧嘩になったりもします。兄とは同じ先生に習っていたり同時期にコンクールを受けていたりして、お互いに聞き合ってアドバイスし合ったりということもしていました。
まだまだ自分の理想の演奏には程遠いですが、父は音色にとても口うるさく、私が音の質を意識する感覚が強いのは父の影響もあると思います。
目指すヴァイオリニスト像を教えて下さい
私の見解ですが、魅力的な演奏家は、魅力的な人だと言えると思います。素晴らしい演奏家は星の数ほどいますが、自分以外の人になることは出来ないし、他の人も自分になることはできないので、「どこまで自分と向き合うことができるか」が大切なんだと考えています。自分と音楽と向き合う中で生まれる「何か」を積み重ねて行きたいです。
今までに挫折しそうになったことはありますか?またそのときどうやって乗り越えましたか?
圧倒的で、素晴らしい演奏を目の当たりにすると、ある種の絶望的な気持ちになったりすることもあります。でも音楽は人と比較するためにあるわけではないですし、その都度今自分に出来ることに集中しようと努めています。
ヴァイオリニスト麻子さんならではの魅力はどんなところでしょう?
繊細な表現が魅力的だといっていただくことが多いです。また、1700年代の楽器を使わせていただいているので、古い楽器ならではの味わい深い音色が特徴だと思います。
歴史のある神奈川県立音楽堂で神奈川フィルとの共演。どのような想いをお持ちでしょうか?
神奈川県で生まれ育ったので、神奈川県立音楽堂で弾くことができること、神奈川フィルの皆様との共演をとても嬉しく、光栄に思っています!
今回の聴きどころ、見どころを教えてください
力強く決然とした第1楽章、静謐な第2楽章、ドラマティックな第3楽章と、全ての楽章が非常に魅力的です。是非、ヴァイオリンのさまざまな音色に耳を傾けてみて欲しいです。
麻子さんにとっての音楽とはズバリ?
現代を生きる演奏家が、過去の偉大な作曲家の残した素晴らしい作品を再現するものであり、自己対話のためのツールでもあります。
音楽家を目指す後輩たちへ、伝えたいことがあればお願いします
自分自身も音楽家としての在り方を日々模索中ですが、音楽を総合的に、多角的にとらえて演奏したいなと思っています。どんなふうに演奏をして社会と関わっていきたいかを考えることは大事なことだなぁと思います!
最後に、今回のコンサートは新年の幕開けに相応しい素晴らしい演奏会になると思います!
皆様是非、お越しください!
インタビューを通じて、研ぎ澄まされた素晴らしい音楽の感性を持つとともに、とても聡明で知的な印象を受けました!
「音楽とは自己対話の為のツール」うーん。深い・・・
麻子さんの技術と感性で、過去の偉大な音楽家が残した楽曲たちが、どのような音色で紡ぎ出されるのか、非常に楽しみです。
たくさんの困難を乗り越えてきた世界が、平和への希求と共に迎える新しい年。そんな2023年を迎えるのにふさわしい演奏が聴けること間違いなしです。
皆様どうぞ、お楽しみに!
神奈川フィルハーモニー管弦楽団『第17回フレッシュ・コンサート For Future』
[日時]2023年1月9日(月)14時開演
[主な演目]イベール/モーツァルトのオマージュ
サン=サーンス/ヴァイオリン協奏曲第3番ロ短調Op.61
モーツァルト/交響曲第41番ハ長調K.551「ジュピター」
[料金]一般 3,000円 ユース(25歳以下)1,500円
[助成]文化庁文化芸術振興費補助金(舞台芸術創造活動活性化事業)|独立行政法人日本芸術文化振興会