2022年夏 神奈川県で花火が楽しめるイベント
少しずつ、空気の中に夏の匂いが濃くなっていく今日この頃。
神奈川県で育った筆者にとって、例年夏の始まりを告げてくれるのは横浜開港祭の花火だ。
まだ夏と言い切るには少し早いぬるい夜の中、浴衣で空を見上げては夏の訪れに心をうきうきとさせた。大人になった今では永遠のように続いた夏休みもなく、炎天下の下やクーラーで冷えすぎた部屋の中で仕事に追われ、夏は楽しいばかりのものではなくなってしまった。それでも「花火」「蝉の声」「日焼け止めのにおい」など、夏ならではの概念に未だ心が踊ってしまうのは、四季を楽しめるこの国に住んでいるからこその特権だろうか。
コロナにより、ここ数年で多くの花火大会が中止となってしまっていたが、今年は神奈川県内で花火を楽しめるイベントが徐々に復活している。当記事では2022年の夏、県内で花火が楽しめる注目のイベントをいくつか取り上げて紹介していく。
●湯河原温泉花火大会
開催日(予定):8/3(水)、雨天時は8/6(土)
湯河原の夏を大いに盛り上げる「湯河原やっさまつり」のフィナーレを飾るのが、こちらの「湯河原温泉花火大会」だ。「やっさ、もっさ」と華やかな花車が地上を盛り上げた後、2日目の夜には舞台を空に移し、約6,000発もの花火が祭りを締めくくる。相模湾を背に打ち上げられる花火は、夜空だけでなく海面をも色鮮やかに照らし、なんとも幻想的である。海上ならではの水中スターマインなども人気の演出の一つだ。心地よい海風を感じながら花火を見上げ、終わった後にのんびりと温泉に浸かることのできるこちらの花火大会は、県内外からも多くの人が集まる人気のイベントだ。
●伊豆湯河原温泉納涼花火大会
開催日(予定):7/23(土)、延期の場合は8/27(土)
同じく湯河原より、「日本一間近で見れる打ち上げ花火」として親しまれているのがこちらの「伊豆湯河原温泉納涼花火大会」。湯河原温泉街の中心にある泉公園にて開催され、約2000発の花火と、通常の花火大会ではなかなかお目にかかれない「遠州手筒花火」の共演を楽しむことができる。「手筒花火」では花火師が実際に筒を手で持ち、約100本の筒から空に向かって花火を打ち上げる。美しく儚いイメージが強い花火だが、こちらでは迫力満点の力強い印象を味わうことができる。続く打ち上げ花火は公園内で打ち上げられているため、花火との距離が非常に近く、打ち上げの音や火薬の匂いなど、五感を通して楽しむことができる。人気のスターマインや、音楽と共に打ち上げられるミュージック花火など、バラエティに富んだ花火を間近で堪能できる花火大会だ。
●箱根強羅温泉大文字焼
開催日(予定):8/16(火)
次に紹介するのは、「花火とともに楽しめる」箱根の夏の風物詩。今年で101回目を迎える「箱根強羅温泉大文字焼」は箱根三大祭りの一つにも数えられており、長年観光客や避暑客の慰安のため、そしてうら盆の送り火として開催されている。約200~300本の松明を使用して作られる「大」の字は、大一画が108メートル、第二画が162メートル、そして第三画が81メートルとかなりの大きさを誇る。点火の合図の花火が打ち上げられると共に、標高924メートルの明星ヶ岳に「大」の字がゆっくりと浮かび上がっていく様は、まさに日本の夏を象徴する光景と言えるだろう。大文字焼に負けじと輝く花火は、人気の「スターマイン」や「ナイアガラの大滝」などバラエティに富んでおり、鮮やかに夜空を照らしていく。
●湘南ひらつか花火大会
開催日(予定):8/26(金)、雨天時は8/28(日)
写真提供(一社)平塚市観光協会
8月の終わり、湘南の空を彩るのが「湘南ひらつか花火大会」。夏の湘南の象徴とも言える海辺で開催されるこちらの花火大会。コロナ禍で2年間中止となっていたが、今年は3年ぶりに復活する。湘南潮来(相模川河口)で行われるこちらの大会では、太鼓の演奏から始まり、例年約3,000発の花火が打ちあがる。発祥は昭和26年、「須賀納涼花火大会」として地元の須賀地区の住民により始められたもので、その後は観光協会の主催の下、今では湘南の夏に欠かせない人気イベントとなった。尺玉やスターマインなどの多種多様の花火が咲き乱れ、特に終盤の、音楽にのせてスターマインが上がる「ハナビリュージョン」は必見である。
是非現地に足を運んで、日本の夏を肌で感じてほしい。