【アートと旅する03】横須賀・浦賀 渡し船で御朱印×歴史めぐり
ペリー率いる、黒船来航の舞台「浦賀」。
浦賀港は東から西へ深く海が切れ込んだ地形を生かした自然港で、江戸時代から今日までポンポン船の愛称で親しまれる渡し船が港に隔てられた浦賀の町を行き交う人々に寄り添ってきました。今回はその渡し船に乗って両岸にある2つの神社へ——芸術的な社殿や御朱印、名所・旧跡を訪ねます。
【西浦賀】叶神社(西叶神社)

浦賀港をはさんで、向かい合うように鎮座する2つの叶神社。
まずは京急線浦賀駅からバスと徒歩で約8分、西岸にある叶大明神、通称「西叶神社」へ。
起こりは平安時代末期の1181(養和元)年、文覚上人が京都の石清水八幡宮より勧請し創建しました。源頼朝の平家打倒を願い、源氏再興が“叶った”ことが名の由来とも。総檜造りの社殿には、安房の代表的な彫刻師・後藤義光の最高傑作と名高い見事な彫刻が随所に施されています。

参拝を終えたら、御朱印も。写真左は力強さを感じる通常版、右は「開運半島詣り」というエリア企画の期間限定御朱印(2025年版)です。西叶神社をはじめ、三浦半島に鎮座する龍神つながりの3社をめぐるもので、4月18日からデザインを新たに2026年版も始まっています。

叶神社(西叶神社)
住所:横須賀市西浦賀1-1-13
電話番号:046-841-0179
御守り・御朱印受付時間:8:30~17:00(参拝は終日可能)
定休日:なし
公式サイト:こちら
浦賀の渡し

西叶神社から海沿いの西渡船場までは、歩いて2分ほど。
対岸の叶神社へは、「浦賀の渡し」を利用するのがおすすめです。
西渡船場と東渡船場を行き来する、約3分間の船旅。
江戸時代中期にあたる1720(享保5)年、西浦賀に浦賀奉行所が設置され、1725(享保10)年ごろから渡し船が地域の日常を支えていたといいます。現在活躍する「愛宕丸」はFRP(繊維強化プラスチック)製ですが、古くは伝馬船と呼ばれる櫓(ろ)こぎの木造船で往来していたとか。
時刻表はなく、船が対岸にいる時は呼び出しボタンを押すとポンポンと音を立てながら迎えに来てくれる姿が愛らしい。航路が「浦賀海道」と呼ばれ、横須賀市の市道2073号線に指定されているのもユニークです。海上から歴史ある浦賀の景色を眺めながら、心地よい潮風と水面のきらめきに酔いしれる、特別な時間が過ごせます。

浦賀の渡し
住所:西渡船場(横須賀市西浦賀1-18-2)、東渡船場(横須賀市東浦賀2-4-21)
料金:大人400円、小・中学生200円
※横須賀市民は上記の半額
※その他の乗船料金は公式サイトをご確認ください
営業時間:7時00分~17時00分
定休日:荒天時、船の点検時には休航 ※詳しくはお問合せを
公式サイト:こちら
お問合せ:046-825-7144((株)トライアングル)(9:00~17:00)
【東浦賀】叶神社(東叶神社)

東渡船場で船を下りて歩くこと4分、東岸にある叶神社、通称「東叶神社」もまた神聖な場所です。浦賀港を背に鳥居からまっすぐ参道を進み、拝殿に向かう石段の中腹には源頼朝が縁深い伊豆の地から移して奉納したと伝えられているソテツが植わっています。拝殿前にはそれぞれ子を抱く狛犬が一対、片方は乳をあげる珍しい姿です。

拝殿の裏手は、「叶神社の社叢林」として神奈川県指定天然記念物に指定されている常緑樹の宝庫・明神山。山頂には浦賀城跡や勝海舟が咸臨丸での太平洋横断を前に水垢離(みずごり)を経て行ったという断食跡も。こちらでいただける「切絵の御朱印(手彫り)」や「勝守(かつまもり)」からもその歴史が伺えます。

叶神社(東叶神社)
住所:横須賀市東浦賀2-21-25
電話番号:046-841-5300
公式サイト:こちら
陸軍桟橋

ここは太平洋戦争終了後、南方や中国大陸からの引き揚げ者約56万人が懐かしい日本の地に第一歩を印した場所。2006(平成18)年には浦賀港における引き揚げの歴史として後世に伝えようと記念碑が建てられ、海へと続く階段を見守るように周辺も整備されました。今ではボードウォークや東屋から、のんびりと海を眺めることができます。

陸軍桟橋(西浦賀みなと緑地)
公式サイト:こちら
あなたも横須賀・浦賀の街で、歴史やアートに触れてみませんか。
※訪問の際は、公式サイトをご確認ください。
文/志村麻衣(編集ライター)