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緒形幹太さんに聞く!「俳優 緒形拳とその時代」展

緒形幹太さんに聞く!「俳優 緒形拳とその時代」展

1958年に劇団新国劇に入団以来、2008年に亡くなるまで、黎明・発展期のテレビドラマ、映画、ドキュメンタリー番組など幅広い分野で活躍した俳優・緒形拳。その十三回忌にあたる今年、多数の遺品から戦後日本の大衆文化の変遷を俯瞰する「俳優 緒形拳とその時代」が開催されています。会場の横浜市歴史博物館で、長男の緒形幹太さんにお話を伺いました。

観覧券などのプレゼントもご提供いただきましたので、じっくりお読みください!

台本やポスター、小道具、書など、実に多くのものを遺されたのですね。

父はとにかくモノを捨てられない人で(笑)。小さくなった鉛筆ひとつでもとっておくので、子供の頃から「モノが多い家だな」と思っていました(笑)。30年くらい前に家を建て替えた際にかなり処分したのですが、それでも多様なモノがたくさん残っています。今回は、そんな父の性質が活かされた展覧会だといえるでしょう。

展覧会を開催することになったきっかけは?

『王将』の著者である劇作家・北条秀司さんのお嬢さまに、東海大学の馬場弘臣先生をご紹介いただいたことがきっかけです。北条さんも膨大な資料を遺されたそうですが、馬場先生がきちんと整理してくださったと伺い、父の遺品について相談してみました。

馬場教授は、日本近代史の中でもいわゆる「自治体史」を専門に研究されている方ですね

そうです。人生の大半を鶴見で暮らしたことに着目し「神奈川ゆかりの俳優」という視点から資料を整理してくださいました。かなりの時間と労力を要する作業だったと思いますが、結果として父個人の回顧展ではなく、戦後から昭和、平成にかかる大衆文化の流れを俯瞰する展覧会としてお披露目することができました。父のことを知らない若い世代の方にも楽しんでいただける展示になったので、馬場先生には本当に感謝しています。

これで遺品の大半は整理できたわけですね

いや、まだ全体の3分の2くらいですね(笑)。屋根裏部屋には未だフタを開けていない段ボールが積んであります。中には手紙や写真が詰まっているので、整理すれば、人と人のつながりや交友関係から時代を感じることができるかもしれません。これまた大変な作業になることは間違いないので、気長に考えてみます(笑)。

展覧会の題字などは、幹太さんが書かれたものですか

そうです。5年ほど前にふとしたきっかけで書をはじめたのですが、すごく楽しくて。令和になってから雅号をとって活動しています。今回は、こうしたかたちで父とコラボできたことを嬉しく思っています。

書を嗜むようになったのは、お父様の影響?

どうでしょう? 父はまったくの我流で字を書いていましたし、私にも師匠はいません。父の書を手本にすることもありますが、生前にはまったく興味がなかった…というより、書が好きではありませんでした。
小学校3年生くらいの頃だったと思います。学校の宿題で書初めをしていたところに父が帰宅して「お前は何の字が好きなんだ?」とたずねました。私は思いつきで「風」と答えたところ、「書いてみろ」と言われたのですが、何枚書いても「いや違う」「もう1回」の応酬で、私は悔しさのあまりボロボロに泣いてしまったんです。今から思えば、忙しかった父がたまに早く帰ってきたので、子供とコミュニケーションを取ろうとしていたのかもしれませんが、私は小学校3年生くらいの子供でしたから。その出来事がトラウマとなって書が嫌いになり、数年前まで書こうと思ったことはありませんでした。
それが、今はこうして書を楽しんでいるわけですから、どこかで父に導かれたのかもしれませんね。


今回の企画展を監修した、東海大学の馬場弘臣教授にもお話を伺いました。

緒形拳は、新国劇でデビューして以来、戦後から21世紀にかかる激動の時代に、常にトップスターであり続けました。彼はなぜ最後まで活躍できたのか。その視点から遺品を整理してみると、大劇場の舞台俳優から黎明期のテレビドラマ、映画へと歩んだ彼の人生を振り返ることは、戦後大衆文化の軌跡をたどり、メディアの変遷を俯瞰する行為であると気づきます。テレビドラマが成熟期を迎えるとドキュメンタリーに活動の場を広げ、小劇場の舞台にも立ちました。それは、常に自分の興味に正直だったことの表れかもしれません。

その一方で、横浜市の鶴見に居を構え、家族で地元の食堂に通うなど、一市民としての素顔にも魅力を感じます。
コロナ禍が舞台をはじめとする大衆文化に甚大な影響を及ぼし、従来のあり方に根本的な変容が求められる今。本展がこの分野の新たな指針を探る契機となり、“演ずる”“観る”人々にエールを送ることができれば、と考えています。

《俳優 緒形拳とその時代》
[会期]10月3日(土)〜12月6日(日)
[開館時間]9:00〜16:30(券売は16:00まで)
[会場]横浜市歴史博物館
[休館日]月曜日(1123日を除く)、1124
[観覧料]一般¥500/高校・大学生¥300/小・中学生、横浜市内在住65歳以上¥100

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★こちらのプレゼントの応募は終了いたしました。たくさんのご応募ありがとうございました。

【プレゼント応募概要】
横浜市歴史博物館で開催中(〜2020年12月6日(日)まで)の「俳優 緒形拳とその時代」の観覧券および展覧会のオリジナルグッズをプレゼントいたします。1つ選んでご応募ください。
[A]観覧券 5組10名様
[B]緒形拳ポストカードセット 5名様

[C]オリジナルスタッフTシャツ Sサイズ 1名様
[D]オリジナルスタッフTシャツ Mサイズ 1名様
[E]オリジナルスタッフTシャツ Lサイズ 1名様
[F]オリジナルスタッフTシャツ XLサイズ 1名様

【応募方法】
ご希望の方は、下記の応募フォームから、いずれかを1つお選びいただきご応募ください。皆様のご応募をお待ちしております。

【応募〆切】
11月6日(金)23:59まで

【抽選・当選発表】
ご当選者の発表は観覧券、グッズ等の発送をもって代えさせていただきます。(神奈川県文化課より郵送いたします。)
※ご当選者の住所が転居先不明などにより観覧券、グッズ等をお届けできない場合は、当選を無効とさせていただきます。
※いただいた個人情報は抽選以外の目的には一切使用いたしません。

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