【アートの魔法03】横浜美術館「子どものアトリエ」でつくる体験を
2024年3月、3年にわたる大規模改修工事を経てリニューアルオープンした「横浜美術館」。開館35周年を迎える11月には一部のエリアが再始動、美術館がいきいきと動き出します。今回は、横浜美術館内施設の「子どものアトリエ」で教育普及活動を企画するエデュケーターの園田泰士(そのだ・たいし)さんと瀧口桃(たきぐち・もも)さんに長期休館中の取り組みや注目の新プログラムについて伺いました。
(トップ画像:左から園田泰士さん、瀧口桃さん)
やってみよう!という意欲を育む
「子どものアトリエ」は、未就学児から12歳までの児童を対象に、体験を通して美術に出合うことを目指したプログラムを実施する専門施設です。
設計段階から確保されていた、プレイルーム、クラフトルーム、光と音のスタジオの3部屋と中庭は、広々とした子供のための空間です。ここで開館以来、横浜市内をはじめ多くの子どもたちが、「学校のためのプログラム」や個人向けの造形・鑑賞プログラムを通じて美術を自由に楽しんでいます。
―2024年11月の「子どものアトリエ」リニューアルオープンが近づいてきました。
園田 やっと、というのがふさわしいでしょうか。約3年間、大規模改修工事を終えての再開を心待ちにしてくださった皆さんの声に応えられるのがうれしいです。
―休館中、エデュケーターのお二人はどんなことをされていましたか。
園田 仮拠点「PLOT 48」(プロットよんじゅうはち)で「やどかりプログラム」など造形講座を実施していました。美術館とは装いが違う空間を生かし、親子で参加できるプログラムも用意して多くの方にご参加いただきました。
瀧口 私は大切に保管されていた、30年前からの活動を記録したポジフィルム約3万枚を整理しました。ワークショップの大切な記録を振り返りながら、フィルムの状態を確認してまとめました。
作業を通じて、子どもたちの作品や取り組みに触れて感じ得るものも。そこから生まれた新プログラムも今後提供できると思います。
自分でやってみたい!気持ちを大切に
―11月から「みんなのフリーゾーン」が始まりますね。
園田 粘土・絵の具・紙、3つの素材で自由に造形体験ができるプログラムです。この3素材は私たちがこれまでも主に使ってきたもので、子どもたちが自分で見て、触れて、やってみるのに適しています。
子どもたちは土練機(どれんき)で練ったばかりの大きな粘土のかたまりを見て、指でつついて、こねて丸めて造形して……。きっと、大人もやってみたくなるはずです(笑)。
瀧口 やわらかい粘土、面白いですよね。
未就学児の親子には、平日開催の「はじめての造形あそび」もおすすめです。赤・青・黄・白の4色の絵の具で自由に描いたり、色水を作ったり、のびのび過ごせます。
―どちらも汚れてもいい服装で存分に! 親子で参加したいです。
新設されたギャラリーをはじめ、地上階に移って利用しやすくなった美術図書室、美術の広場に面したカフェやショップなど、その魅力は増すばかり。2025年2月の全館始動に向けてパワーアップする横浜美術館の進化から目が離せません。
文/志村麻衣(編集ライター)
横浜美術館
住所:神奈川県横浜市西区みなとみらい3-4-1
電話番号:045-221-0300
公式サイト:こちら