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演劇・ダンス

神奈川から世界へ! さがみ湖 野外バレエフェスティバル2025

神奈川から世界へ! さがみ湖 野外バレエフェスティバル2025

神奈川県は日本の近代バレエ発祥の地といわれており、その相模湖地域で9年ぶりの祭典「さがみ湖 野外バレエフェスティバル2025」が開催されました。今回は、バレエを中心とした芸術・文化の力で地域を盛り上げる「相模湖 芸術・文化のまちづくり実行委員会」会長の小川喜平(おがわ・きへい)さんと副会長で本フェスティバル総合プロデューサーの吉野勝恵(よしの・かつえ)さんにお話を伺いました。
(トップ画像:「白鳥の湖」第2幕、画像提供:相模湖 芸術・文化のまちづくり実行委員会)

町ぐるみで行うフェスティバル

バレエ衣装ファッションショー (画像提供:相模湖 芸術・文化のまちづくり実行委員会)

―9年ぶりの開催を終えた、今のお気持ちから聞かせてください。

小川 10月18日・19日と2日間、19日の最後は雨で早い終了となり残念でしたが、それ以外はすべて大成功に終わり、ほっとしています。

―親子や家族での来場も多く、会場の相模湖公園がにぎわっていましたね。

吉野 今回は年齢差を問わずカジュアルでもあり、崇高でもある芸術・文化のひとときを公園で楽しもう!をコンセプトに進めました。フリーで鑑賞いただけるオープニングイベントで幕を開け、18日は上野水香さん・厚地康雄さん主演による「ジゼル」全2幕。19日はフリーで参加いただけるチェアバレエ体験の後、「Ballet Park2025」を開催しました。また、キッチンカーやイベントブースにも出店いただき、フェスティバル全体を盛り上げていただきました。

当初、地元の商工会、観光協会、自治会連合会などの各種団体や民間企業など22団体で発足した「相模湖 芸術・文化のまちづくり実行委員会」も、現在では近隣地域の団体も参加くださり、相模原市全体に周知でき得る運びとなっています。

小川 そうですね。まちぐるみで行うフェスティバルとして近隣の多くの皆さまに周知されるよう、さまざまな広報媒体を活用した浸透も図りました。

幻想的な唯一無二の野外ステージ

日本大学明誠高等学校ダンス部 (画像提供:相模湖 芸術・文化のまちづくり実行委員会)

―19日の「Ballet Park2025」は、多彩な4つのプログラム構成が見事でした。

吉野 ありがとうございます。「相模湖 芸術・文化のまちづくり実行委員会」の方々や約5万人が訪れるさがみ湖湖上祭、そして、全国のバレエ教室の8割以上に衣装を提供している私が代表を務めるアトリエヨシノのネットワーク等も活用し周知を図り、当日は天気が不安定な中、たくさんのお客さまにご来場いただきました。

公演は総勢100名近いバレリーナと着ぐるみヨシノちゃんとのバレエパフォーマンス(バレエ衣装ファッションショー)、ヴァイオリンとのコラボレーション、コンテンポラリーダンス、そして、佐久間奈緒さん・厚地康雄さん主演による「白鳥の湖」第2幕とバラエティーに富んだ親子で楽しめる企画にしました。

東京舞座 (画像提供:相模湖 芸術・文化のまちづくり実行委員会)

―相模湖を臨む野外ステージは、夢のような世界観でしたね。

吉野 2007年に初開催した野外バレエの感動を思い出し、相模湖の景観はウィーンのメルビッシュ湖上音楽祭に匹敵するポテンシャルだと感じました!

2016年を最後に、その後は山梨県からの依頼もあって河口湖ステラシアターや都内の劇場でダンサーを育てる舞台を提供していました。今回、久しぶりの開催で地元からもさがみ湖湖上祭とともに相模湖をアピールできる最大のイベントとして、毎年開催してほしいという要望も届いています。

音楽×バレエのコラボレーション (画像提供:相模湖 芸術・文化のまちづくり実行委員会)

―「白鳥の湖」第2幕も本物の湖とのシンクロが秀逸でした。実現に至った経緯や裏話があれば聞かせてください。

吉野 バレエ団と違い、出演の皆さんはオーディションで選ばれたさまざまな年代・団体・地域等で活躍しているダンサーたちなので、日本全国から集結してリハーサルするのが大変でした。幸い、2025年2月8日に神奈川県民ホールで催した「白鳥の湖」本番を踊ったダンサーの多くが参加し、「ジゼル」「白鳥の湖」その他の演目にも快く出演してくださったので、見応えのある仕上がりになったと思います。

フリーのダンサーが劇場付きのダンサーへと成長し、将来的には神奈川県さがみ湖バレエ団として世界に発進できる環境を構築したいと考えています。バレエの特殊教育を子どもの頃から受けられるサイクルとシステムがこの地にできると、真の意味で“バレエのまち相模湖”が誕生すると思っています。

チェアバレエで楽しく、美しく


チェアバレエ (画像提供:相模湖 芸術・文化のまちづくり実行委員会)

19日には、クラシック音楽に合わせて椅子に座って行う動きを中心とした「チェアバレエ(チェアバレエ・エクササイズ®)」のステージも。バレエの上半身の動きを基に、高齢者の筋力・柔軟性・姿勢改善を促す運動を取り入れて“人生100年時代”のウェルビーイングを目指す、新しいプログラムでした。

―開催を続けて、地域の変化などは感じますか。

小川 当初に比べて少しずつ、皆さまにもわれわれの取組が受け入れられてきていると感じています。

―それはうれしいですね! 最後にそれぞれ今後への思いを聞かせてください。

小川 目標は相模湖に常設の野外バレエ劇場を造り、芸術・文化の拠点として自然資源を生かした地域活性化や商工業の発展、観光業の更なるにぎわいを生むことです。

吉野 “湖上で最高のダンサーによる「白鳥の湖」を”をテーマに毎年開催したいと考えています。昼間は皆さまで楽しめる「バレエパーク」でさまざまなダンス・音楽パフォーマンスも行っていきたいと思います。

相模湖をバレエのまちとして根付かせ、バレエだけでなくさまざまな舞台芸術の職業としてプロフェッショナルによる特殊指導が子どもの頃から受けられ、育て、アートビジネスタウンとして芸術家たちが育ち活躍できるまち、世界に日本の芸術文化を発信していけるまちにしていきたいです。

文/志村麻衣(編集ライター)

相模湖 芸術・文化のまちづくり実行委員会
公式サイト:こちら 

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