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演劇・ダンス

客席が360度回転!? マグカル・パフォーミングアーツ・アカデミー本公演『バイトショウ YOKOHAMA-青春篇-』レポート

客席が360度回転!? マグカル・パフォーミングアーツ・アカデミー本公演『バイトショウ YOKOHAMA-青春篇-』レポート

バイトとレッスンに明け暮れる若者たちを描いたミュージカル
ステージ上に客席をしつらえた、ユニークな演出に驚きの声!

2014年10月に開校したマグカル・パフォーミングアーツ・アカデミーは、高校生から25歳までの若手が20名以上集うミュージカルスターの育成機関です。塾長および演技指導に劇団扉座を主宰する横内謙介さん、歌唱指導に深沢桂子さん、ダンス指導にラッキィ池田さん、彩木エリさんを迎え、歌、ダンス、演技に関する実践的なレッスンを行っています。
 
2016年4月には、成果発表会として『バイトショウ<マグカル・アカデミー2016版>』を上演。2013年に劇団扉座で上演されたミュージカルをアレンジし、14名の受講生がバイトに励む若者たちを熱演しました。そんな彼らが初めて挑む本公演が『バイトショウ YOKOHAMA-青春篇-』です。『マグカル・アカデミー2016版』に新たなキャスト、新たなエピソードが加わり、より重層的な人間模様を描いていました。

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『バイトショウ』は、ダンスや演劇に熱中しながらも、生活のためにバイト漬けの日々を送る若者たちの群像劇です。バイトを転々とするダンサーの卵、恋と夢の狭間で悩む女の子、情熱はあるけれどお金はない劇団員、アイドルを夢見る女の子、悪徳事務所に捕まった崖っぷち女子など、夢を抱きながらもままならない現実と格闘する姿をオムニバス形式で描き出していきます。
 
上演開始が告げられ、まず驚かされたのはその舞台装置です。緞帳が上がると、目の前にはホールの客席が出現! そう、観客が座っていたのは客席ではなく、ステージ上にしつらえられた特設席だったのです。一方キャストたちは、客席からステージ上に羨望のまなざしを向け、「いつかこの舞台に立ちたい」と熱唱。冒頭からしっかり観客の心をつかんでいました。

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しかも、ステージの中央が回転するという「まわり舞台」の機構を活かし、場面転換のたびに客席が360度回転! 照明を設置するための鉄骨階段を工事現場に見立てたり、「せり舞台」を利用したり、ユニークな演出で観客を沸かせていました。なお、“観客を回転させる”という驚きの仕掛けは、54年の神奈川県立青少年センターホールの歴史でも初の試みだそうです。
 
間近で繰り広げられる歌とダンス、バイトに明け暮れながらも夢を追う若者たちの姿に、観客も胸を打たれた様子。ほとばしる熱に、頬を火照らせながら見入っていました。成果発表会での『マグカル・アカデミー2016版』から、さらに歌声に磨きがかかり、ダンスの表現力も豊かに。確かな成長を感じられる2時間でした。3日間の公演は、いずれも満員御礼。今後はオリジナル作品の上演も考えているとのことなので、ぜひこれからのマグカル・パフォーミングアーツ・アカデミーにご期待ください。
 

2016年度生 追加募集中!
メインキャストの3名にインタビュー

s-mgc_001 (1)左:吉田美佳子さん 中央:加藤萌朝さん 右:北村由海さん

4月の成果発表会から、着々と進歩しつづけるマグカル・パフォーミングアーツ・アカデミー。終演後、メインキャストの3名からコメントをいただきました。
 

加藤萌朝さん/アイ役
成果発表会では稽古期間が2、3週間でしたが、今回は1ヵ月みっちり稽古させていただきました。やっぱり成果発表会と同じレベルでは、観客のみなさんにも満足していただけません。1段上を目指すために練習量もアドバイスの量も増えましたし、ひとつでも多くのことを吸収できるよう毎日全力でひた走りました。
 
とはいえ私たちは未熟ですし、今回の公演も通過点にすぎません。まだまだこれからだなと改めて実感しました。例えば私の場合、セリフを言う声と歌う声が変わってしまうんです。声が変わるとお客さんに伝わりにくいので、演技のままの声で、芝居の一部として歌えるようにならなければいけません。そのためにも、もっともっと練習しなければと思っています。
 
アカデミーは、2016年度生を迎えてさらに人数が増えました。みんなから刺激を受けますし、負けていられないなと思います。こういった場所があるのは、本当に幸せなこと。私はこのアカデミーの前から約7年間にわたって横内謙介さんの指導を受けていますが、今も昔も変わらず尊敬しています。こんな偉大な方に演技を見てもらえるなんて、恵まれているなと思います。もし興味があるなら、ぜひみなさんにもアカデミーに参加していただきたいです。いっしょに最高のミュージカルを作りましょう!

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吉田美佳子さん/ユミ役
成果発表会でも同じ役を演じましたが、今回はセリフもダンスも圧倒的に増えています。特に私の役は恋愛要素が加わり、表現するのが大変でした。でも、その分やりがいも大きかったですね。稽古ではみなさんとコミュニケーションを楽しみながら、新しいことをどんどん吸収していきました。
 
以前に比べれば、声も多少出るようになりましたが、まだまだ課題はあります。公演ごとに出来不出来があったり、緊張してしまったり、自分の甘さを痛感しました。もっともっと芝居ができるようになりたいです。
 
アカデミーに新しい人たちが加わったことで、ひとりひとりの熱、迫力が会場いっぱいに広がるようになったと思います。学校や職場では味わえないような素晴らしい経験ができるので、興味があればぜひ一度遊びに来てください。

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北村由海さん/カズエ役
今回初めてマグカル・パフォーミングアーツ・アカデミーに参加しました。ステージが回転するのも初めてですし、すべてが想像を超える舞台でした。出演している私もびっくりです(笑)。
 
アカデミーのみんなといっしょに稽古をするのも、とても楽しかったです。アカデミーは高校生が多いので、24歳の私がいちばん年上。「みんな若いな!」と思いながら、いっしょに指導を受けていました。刺激を受けることもたくさんありました。
 
これからもずっと舞台に立ち続けていたいなと思います。

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歌やダンスは、練習の成果が目に見えて表われる分野です。今回の本公演は、キャストのみなさんの熱量、舞台に賭ける思いがあふれ出た渾身のステージであり、成果発表会からの成長も感じられました。来年度に予定しているアカデミーオリジナル作品、そしてアカデミーの未来にご期待ください。
 

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