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演劇・ダンス

劇王 天下統一大会2015〜ベイシティ・ロワイヤル!inKAAT |優勝者インタビュー!

劇王 天下統一大会2015〜ベイシティ・ロワイヤル!inKAAT |優勝者インタビュー!

2月にKAAT神奈川芸術劇場にて「劇王 天下統一大会2015〜ベイシティ・ロワイヤル!inKAAT〜」が開催され、全国より予選や推薦などにより選ばれし全12団体が壮絶な演劇バトルを繰り広げました。審査には俳優・演出家のラサール石井氏、黒岩知事を初め豪華な審査メンバーが連日参加され、決勝では接戦の審査票に対して圧倒的な観客票を獲得した九州地区代表の「不思議少年」が優勝の座を手に入れました。イルカの飼育員を夢みる少女から始まり、海のある風景とそれをとりまく家族の愛が様々な時間軸で構成された決勝上演作品『スキューバ』。MACUL.NETは決勝後に優勝を決めた「不思議少年」のメンバーにお話をお聞きする事ができました。

2015.5.22 interview&text:西野正将

「劇王」とは!?

「Jr.ライト級チャンピオンタイトルマッチ劇王」として、主催の愛知県長久手市とプロデュースを担当した日本劇作家協会東海支部が、2003年より10年にわたり育てあげた短編演劇コンテスト。観客と審査員の投票によって勝敗が決められる。2013年2月、その10周年を記念して開催された「劇王X〜天下統一大会〜」には、北海道から九州まで全国各地のチャンピオンが集結。歴代劇王たちも参戦し 一大決戦が繰り広げられた。そこで第4代劇王、柴幸男氏(ままごと)が優勝。演劇の天下人「劇天」の称号を勝ち取った。これをもって長久手での開催は一旦休止となったが、「劇王」は日本各地に飛び火し独自に開催されている。そして2015年2月にKAAT神奈川芸術劇場にて神奈川県主催のもとに新たなる天下統一大会が開催され、優勝した九州地区代表、大迫旭洋(不思議少年)が「劇龍王」の称号を勝ち取った。

決勝戦を終えての審査の様子

決勝戦を終えての審査の様子


<劇王ルール>
○ 上演時間20分以内/○ 役者は3名以内/○ 数分で転換できる置き道具/○ 基本舞台は奥行き4間 × 4間(平台べた置き)

<審査方法>
○ 観客と審査員の投票による/○ 観客票は1票/○ 審査員票は各公演の入場者数÷審査員の人数
例:入場者数200人、審査員5名の場合、200÷5=40が審査員の持ち点となる。

決勝を終えて

—この度は優勝おめでとうございます!演出の大迫さんも「劇龍王」の称号を得られて最高のご気分だと思いますが、今回九州から参加されてみた感想をお聞かせいただけますでしょうか。

大迫:本当に九州からあまり出た事がなかったので・・・、面白いものを作っているという自信はあったのですが、自分達の作品が「全国に伝わるものかどうか」という不安はありました。けどこの「劇王」のように全国から一番面白い演劇が集まって競い合うという場で、自分が面白いと思う事を突き通してそれが認められたって事が本当に幸せです。「劇王」で日本が知れたというか・・・、まだまだ知らない部分も多いですけど、優勝した事だけじゃなくて参加する事によって各地の人達と関われた事も本当に嬉しかったです。

—今回優勝を決めた作品『スキューバ』は九州でも何度か上演をされているようですが、この作品を作り出したきっかけと「不思議少年」として大事にされている事などありましたらお教えください。

不思議少年決勝上演作品「スキューバ」


写真:不思議少年決勝上演作品「スキューバ」より

大迫:「ビッグフィッシュ」という映画があるんですけど、余命短いお父さんが自分の息子に半生を話しながらそこから物語がつながっていく内容だったので、僕もそんな話が書きたいと思ったのがきっかけです。この作品は音楽も重要な役割を持っているので、僕は音楽を聞いてそこから物語のイメージを固めていきました。

森岡:映画からインスピレーションを受けて「家族の話を書こう」みたいな考えがあったみたいなんですが、この構成(劇王ルール)にしたのは以前、九州で「劇トツ×20分」という「劇王」へ参加する権利が授与される大会があって、その時に私たちのライバルが優勝した事が悔しくって「自分も劇王に向けた作品を作ろう!」という考えで構成を固めたという話を私は大迫さんから直接聞きました(笑)。

大迫:あ、そうだね。それもあります(笑)。

森岡:この作品は何年もやっていて、結構自分達の中では行き詰まりのようなものを感じていたので審査員の方々にも色々コメントをいただけた事は「まだまだこの話でやれるんだ」と大変励みになりました。あとお客さんの票が多かったというのも本当に嬉しかったです。不思議少年は「笑いと切なさと再発見」というものをテーマに掲げていて、大迫さんが作家として再発見した事を役者達も同じように共有して、それをお客さん達と一緒に築いて、気づいていくみたいな。そういったいつもと変わらない部分が今回も生かせていたので、そこはお客さんとも共感できたと思います。そうですよね?宇都宮さん!

宇都宮:そうですね(笑)。

森岡:ちなみに宇都宮さんは他の劇団からゲストで参加していただいていて、『スキューバ』にはいつも出演していただいています。もちろんお父さんとアシカの役はいつも宇都宮さんが演じています。

不思議少年決勝上演作品「スキューバ」
写真:不思議少年決勝上演作品「スキューバ」より

—では最後に優勝者として今後の抱負、または今後の「劇王」参加者に向けてお一人づつコメントをいただけますでしょうか。

宇都宮:自分は大迫さんと出会ってまだ二年くらいなんですが、一年前に北九州で開催された「劇トツ」で『スキューバ」に初めて参加させていただいてからその後も他の作品に出演させていただいています。自分の演技や生き方が大迫さんの作品とマッチしている気がしていて、何か心地よい親和性というか、あまり不思議少年の稽古で苦労した事がないんですね。だから今後も一緒にやっていきたいですし、九州に帰ってもまた今回みたいな全国的な舞台で活躍できるようにもっと頑張っていきたいと思います。

大迫:「地方」と呼ばれるところで活動してきて「東京には多くのものが集まっていてキラキラしている」ってイメージを僕自身が抱えていた時期がありました。ずっと仕事するには東京、ないしは大阪か福岡に行かなきゃいけないのかなぁとか思っていたんですけど、全然そんなことはないと思います。きっとその土地から生まれる表現があると思うし、その土地に住んでいる人は誇りをもって欲しいと思います。そして「その表現でまた会いましょう!」と強く言いたいですね。

森岡:今回は「11団体の敵がいる」と闘志を燃やしながら九州からやってきたんですけど、蓋を開いてみると皆本当に演劇が好きな人ばかりで、同じように地方を勝ち抜いて来た人達だから敵が増えたというよりも、味方がいっぱいできて嬉しかったです。「悔しかったけど頑張ってね」とか、土地が違えど気持ちで繋がったというか、そういうものが経験できるという事がこういったコンテストの醍醐味なんだと思います。今どこかで「出たい」とくすぶっている劇団がいたら「こいよ!」と言いたい(笑)。本当集まって欲しいと思います。いつか絶対再会できるし。

大迫:演劇って本当に面白いと思うので、その面白さをもっと色んな人に伝えていきたいと思います。「劇龍王」としてもっと上に登れるようにがんばりますので、応援宜しくお願いいたします!!

—今日はありがとうございました!今後のご活躍を期待しております!!

大会終了後に今回の大会について関係者・審査員の方々にコメントをいただきました

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