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伝統芸能
鎌倉能舞台で、膏薬の東西対決!?
2018.06.13

TOP画像 撮影:駒井壮介

21世紀を生きる狂言師の檜舞台 Vol.1
鎌倉能舞台で、膏薬の東西対決!
大藏教義(能楽師狂言方大蔵流)

 

観音様が見下ろすここは、平日でも多くの賑わいを見せる鎌倉市長谷。駅から大仏様へ続く大仏通りは、休日ともなれば観光客の数は平日の比ではない。
それでも賑わう通りから路地に入ると、閑静な住宅地が広がっている。ここに所在するのは、本日の公演場所である鎌倉能舞台。

定員数は200席。座敷と椅子席が用意され、最前列は手を伸ばせば演者に触れられそう。開演前の解説だけではなく、能の上演中には字幕が用意され、さらに終演後には質疑応答がある。ここまでお客さん目線になって企画される能狂言の公演は、かなり稀有だと思う。

この日は午前・午後の2部制。1部では狂言『膏薬煉』と能『富士太鼓』。2部は狂言『地蔵舞』と能『放下僧』を上演した。

『膏薬煉』は都の膏薬煉と鎌倉の膏薬煉が対決する物語で、どっちの膏薬が強いか吸い比べる。お互いが鼻に膏薬を貼り付け、引っ張られた方が負け、というわけ。
2部の『放下僧』は仇討ちのお話し。狂言役者は、狂言だけでなく能にも出演しなくてはならない。

撮影:駒井壮介

狂言は字幕こそないが、要所要所で「クスリ」と笑い声が聞こえた。こぢんまりとした空間が、演者と観客の間の距離をほどよく縮めてくれる。
能では字幕を見ながら物語を追い「うんうん」と頷く方も…。理解が深まっている証拠だ。
仇討ちを企てる場面では、役者の緊張感もクライマックスに。お客さんの気が舞台に集中してくるのが分かる。「クスリ」も「うんうん」も、その瞬間に心が通じたように感じられ、とても嬉しくなった。

撮影:駒井壮介

公演が終わったのは夕刻。大仏通りに出ると由比ガ浜から吹く潮風が心地よい。舞台の緊張から解放されて、僕も現代へ戻っていく。

 

<舞台裏をチラッとのぞいてみたら…>

こちらが「膏薬煉」に使用する鬢付け油。「膏薬」を鼻につけるための必須アイテムです。これがないと吸い比べができません。

楽屋で「鬢付け油」を紙に塗る作業に没頭中。

途中で落ちてしまったら文字通り「お話にならない」ので、万が一に備え、両面テープでしっかりと補修。
これもまた、現代に生きる狂言師の一面です。

鎌倉能舞台

鎌倉能舞台は、日本の伝統芸能・能楽の公開・振興をもって文化の向上に寄与することを目的として、昭和45年(1970年)5月3日故・中森晶三が鎌倉市長谷に創設しました。(落成は昭和46年4月)現在は中森貫太が後継し中心となって動いております。定期公演「能を知る会」®を開催する他、能楽博物館として舞台・能面・能装束等を展示公開しています。展示会などの利用も可。2011年(平成23年)11月1日、神奈川県より公益財団法人の認定を受けました。

 

また、平成21年度より、館内に一般公開型の「能楽博物館」としてオープンいたしました。能舞台と能面・能装束の展示などをご覧になれます。

  • ショップ・スポット名
    鎌倉能舞台
  • 住所
    鎌倉市長谷3-5-13
  • 電話
    0467-22-5557
  • 営業時間
    10:00〜17:00 【休館日】日曜・祝日、その他不定休 ※事前申し込みの場合は、日曜・祝日でもご見学頂けます。
  • 駐車場
    無(専用駐車場はございません)
  • URL

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