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神奈川県発、アート・カルチャーメディア「マグカル」。
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演劇・ダンス
障がいや年齢に関係なく、皆が楽しめる舞台を目指すプロジェクト、始動!
2018.09.13

(TOP画像)神奈川県「共生共創事業」メインビジュアルに「アール・ド・ヴィーヴル」のメンバー、阿部花凛さんの作品が選ばれました。

芝居が生まれる現場
File.2 共生共創事業ともに生きる ともに創るーKANAGAWA ALL-COMERS STAGEー」
(今井浩一/編集ライター)

KAAT神奈川芸術劇場、神奈川県民ホール及び神奈川県立音楽堂を運営している神奈川芸術文化財団では、今年度より共生共創事業「ともに生きる ともに創るーKANAGAWA ALL-COMERS STAGEー」をスタートしました。障がいや年齢などにかかわらず、子どもから大人まで、すべての人が参加し、楽しめる新たな舞台公演の開催、ワークショップなどを、神奈川県からの委託事業として実施します。これまでの財団の事業企画や施設運営のノウハウを生かし、舞台芸術を通じたボーダレスな創造活動に向けて、実践的な取組みを行っていきます。
すでに7月にはキックオフレクチャーとなる第1回「人材育成講座」を開催し、神奈川県国際文化観光局文化課長、「ともに生きる社会かながわ憲章」を掲げる福祉子どもみらい局共生社会推進担当部長、そして「かながわ未病改善宣言」を掲げる健康医療局保健医療部未病対策担当課長にも参加していただきました。

事業ホームページ
http://kyosei-kyoso.jp/

「2020年オリンピック・パラリンピック東京大会」開催まで残り2年を切った今日、私たちはパラリンピックの情報や出場を目指す選手の姿を、毎日のように目にします。まだあまり知られていませんが、「オリンピック・パラリンピック」はスポーツの祭典というだけではなく、文化の祭典とも言われています。その文化プログラムには障がいを持ったアーティストが活躍するパフォーマンスも多数含まれており、より多くの人びとが参加する機会を目指しています。

一方で、日本は世界でもっとも少子高齢化が進み、人生100歳時代を迎えようとしています。定年後のお父さんが何をしたらいいか困るなど言われたのはひと昔前の話。今後さらに長くなる人生に対して、文化に触れながら過ごすことが提案されていくことでしょう。

さらにここ数年“社会的包摂(ソーシャル・インクルージョン)”に注目が集まっています。“社会的包摂”とは、国民一人ひとりを社会の構成員として考えることであり、社会参加に対するハードルやバリアがある人たち(社会的弱者)に対し、そのバリアを下げる、あるいはなくすことを目指す取り組みのことです。社会的弱者とは、大辞泉によれば「雇用・就学の機会や人種・宗教・国籍・性別の違い、あるいは疾患などによって、所得・身体能力・発言力などが制限され、社会的に不利な立場にある人(高齢者・障害者・児童・女性・失業者・少数民族・難民・貧困層などがなり得る)」とあります。
こうしたもろもろの環境変化を踏まえ、劇場など芸術文化施設には、「文化」という魅力的な素材を使って“社会的包摂”を担う事業が近年の新たなミッションとして付加されています。2017年6月に「文化芸術振興基本法」の改定により「文化芸術基本法」が成立したことを受け、2018年3月には「文化芸術推進基本計画」が閣議決定されました。
以下、抜粋
(文化芸術による社会包摂の意義)
○ 文化芸術基本法では「文化芸術を創造し、享受することが人々の生まれながらの権利である」とともに、「国民がその年齢、障がいの有無、経済的な状況又は居住する地域にかかわらず等しく文化芸術の機会を享受すること」が基本理念としてうたわれている。また、文化芸術は人々がその場に参加する機会を通じて多様な価値観を尊重し、他者との相互理解が進むという、社会包摂の機能を有している。
こうしたことから、子どもから高齢者まで、障がい者や在留外国人なども、居住する地域にかかわらず、生涯を通じて等しく文化芸術活動に触れられる機会を享受できる環境を整えることが望まれている。同時に、我が国の文化芸術そのものの多様性と豊かさを維持し、継承、発展及び創造するため、各地域の歴史や信仰等に根ざした文化や特色ある地域文化等、地域の特性に応じた文化芸術振興を図ることが求められている。

こうした社会的要請に応えてスタートしたのが『共生共創事業』です。今後、共生社会の実現などを意識した魅力的なコンテンツの創出・発信がなされていく予定です。

まずは、開始記念公演として、10月13日(土)・14日(日)、県民共済みらいホールにおいて、高齢者演劇集団さいたまゴールド・シアターによる「ワレワレのモロモロ2018」を上演します。
さいたまゴールド・シアターは、故・蜷川幸雄芸術監督のもと2006年に旗揚げされた演劇集団です。現在は67歳から92歳までの36名(2018年4月時点)のメンバーで構成されており、海外でも公演を行ってきました。

この公演を皮切りに、今後さまざまな公演やワークショップが多数準備されています。

■ベトナム「アー・オー・ショー」ワークショップ
日程:2018年11月中旬(日程調整中)
会場:県民共済みらいホール
※制作、スタッフワーク、パフォーマンス、演奏を全てベトナム人が担当。サーカスの本場フランスをはじめ、世界中を巡業して高評価を得ているパフォーミング・アーツ・カンパニーによる、子どもも大人も参加できるワークショップ

■テュルクソイ(国際テュルク文化機構)結成25周年記念コンサート「テュルク世界の大いなる遺産」
日程:2018年11月15日(木)
会場:県民共済みらいホール
※中央アジア6カ国とロシアで構成されるテュルク語系の国文化機構“テュルクソイ”による来日コンサート。

■Experimental Gig「Futuramax/フューチュラマックス」
日程:2018年12月24日(月・振休)
会場:県民共済みらいホール
※超絶技巧のジャズピアニスト・スガダイロー、85歳のベーシスト・鈴木勲らによる風変わりなクリスマス・コンサート。

■Blue Print Present「S.A.K.E.B.U」
日程:2019年1月16日(水)〜20日(日)
会場:県民共済みらいホール
※世界的に注目を集める10〜20代のダンサーをフィーチャー。幼いころからダンスに関わり、厳しい環境の中で戦い、苦悩して進んできた彼らの過去、未来を描いたダンス公演。

■TPAM・国際舞台芸術ミーティング in 横浜 2019 関連イベント
日程:2019年2月14日(木)・15日(金)
会場:県民共済みらいホール
※毎年2月に横浜市内各所で開催される国際的な舞台芸術のプラットフォーム「TPAM」の関連イベントとしてショーケース等を開催。

■ストップギャップ ダンスカンパニー「エノーマス・ルーム(果てしのない部屋)」
日程:2019年3月3日(日)
会場:あーすぷらざ(神奈川県立地球市民かながわプラザ)
※車椅子ダンサーやダウン症のダンサー、健常者ダンサーをメンバーとする、英国を代表するダンスカンパニー。3月4日(月)〜6日(水)にはワークショップも開催。

■かながわ高齢者創作創造プロジェクト『チャレンジ・オブ・ザ・シルバー』プレゼンテーション&説明会
日程:2019年3月16日(日)
会場:県民共済みらいホール
※高齢者を中心とした創作創造プロジェクトプログラム。神奈川出身のダンサー・振付家の安藤洋子をディレクターに迎え、身体表現を通して高齢者自身が身体の新たな発見や可能性を見出し、高齢者と“ともに創る”ことを目指すプロジェクト。舞台でのプレゼンテーションと合わせて、参加者募集の説明会を開催。