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アート音楽

自由に生まれて、自由に死ぬ…ラ・ラ・ラ・カルメーン

自由に生まれて、自由に死ぬ…ラ・ラ・ラ・カルメーン♪

(TOP画像)©大窪道治

気軽にenjoy! コンサートのある暮らし
File.5 ビゼー 歌劇『カルメン』
(森光三朗/音楽ライター)

スペインはセビリアの町、タバコ工場で働くカルメンは、その妖艶な魅力で男たちの憧れの的。休憩時間に彼女が歌いだすと、とりまきの男たちや同僚がはやしたてる。生真面目な兵士・ホセが素知らぬ顔をしていると、気に障ったのか、気になったのか、カルメンはホセを挑発して真っ赤な花を投げつける。
喧嘩で同僚に怪我を負わせ、警察に捕まってしまったカルメン。監獄まで連行する役目を担ったのは、生真面目なホセ。彼は、縄をといて逃がしてもらおうと色目を使って誘惑するカルメンに、あっさり落ちてしまう。

「ああ、本当に愛してくれるのかい!」

その後、ホセは上官ともめて軍に戻れず、カルメンとともに怪しげな密輸団に身を寄せる。
けれどカルメンは移り気。恋のお相手はイケメン闘牛士・エスカミーリョに…。
闘牛場の片隅。ナイフ片手に復縁を迫っても頑なに拒むカルメンを、ホセは刺し殺してしまう。

フランスの作曲家、ビゼーの大傑作オペラ『カルメン』。
音楽とストーリー、そして登場人物のキャラクターが一体となった、まさに奇跡的なオペラだ。

工場の休憩時間にカルメンが歌う『ハバネラ〜恋は野の鳥』。
追いかけては逃げて行く、逃げれば追いかけてくる
恋とはそういうもの、私は野の鳥
何度聴いてもドキドキ、ゾクゾク。
「私に惚れられたら危険」だなんて…!©大窪道治

とことん英雄的でかっこよすぎる、エスカミーリョの闘牛士の歌。
生真面目ホセの婚約者ミカエラが歌う、一途な、そして実らぬ恋の切なさ。
随所に散りばめられた、情熱的なフラメンコ。

ボリショイバレエ団の往年のプリマ・プリセツカヤは、バレエ版『カルメン』を製作する際、当時ソ連の大作曲家であるショスタコーヴィチとハチャトゥリアンに新曲の作曲を依頼したそうだ。けれどビゼーの音楽があまりに完成度が高く、『カルメン』の音楽としての認知度の高さに恐れをなし、二人とも作曲を拒んだというのは、有名なエピソード。
下手な曲は作れないものねぇ…。©大窪道治

そしてクライマックス。
あまりにも堂々とした女々しさで復縁を迫るホセ。
バックではエスカミーリョが活躍しているであろう闘牛場の喧騒と、なにやら不吉な雰囲気の音楽が交錯する。

「カルメンは誰にも従わない、自由に生まれて自由に死ぬ」

言い放つカルメン。
結末は悲劇だが、悲しさは感じない。
やっと終わったか、とでもいうような不思議な安堵感。
よく生き、よく愛し、よく死んだ登場人物たち。

この春は「⼩澤征爾⾳楽塾オペラ・プロジェクトXVII ROHM CLASSIC SPECIAL」が、よこすか芸術劇場で上演される。
©大窪道治

とにかく、一度劇場に足を運んでご覧になっていただきたい。
きっと、どこかで聴いたことのある名曲のオンパレード!
心はいつしかセビリアの街へ。カルメンやエスカミーリョを取り巻く群衆となり、自由に羽ばたきはじめる!

★こちらのイベントは終了いたしました。

⼩澤征爾⾳楽塾オペラ・プロジェクトXVII ROHM CLASSIC SPECIAL
ビゼー:歌劇「カルメン

日程:3月21日(木・祝)
会場:よこすか芸術劇場(横須賀芸術劇場 大劇場)
開演:15:00(14:00開場)
料金: S席¥25,000/A席¥21,500/B席¥17,000/C席 売切/D席¥8,000
*未就学児童は入場できません。

 

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