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美術・写真
2019.04.25

時を紡ぐ蔵元で 感性をたっぷり充電!

okeba 

Kanagawaギャラリーさんぽ
File.7 okeba
山本詩野(ギャルリーワッツ)

 

「お酒を飲むのが好きですか?」と聞かれたら、躊躇なく「はい!」と即答する類いのわたくしですが、陶芸家、岡村朝子さんから聞いて、ずっと行ってみたいと思っていた所がありました。
その名も「okeba」。okebaは桶場のことで、酒樽や道具の修理製作を行う工房を表しています。
ギャラリーさんぽは、今回から酒蔵めぐりに……なったわけではありません(笑)。
明治5年に創業され、湘南にたったひとつだけ残っている蔵元「熊澤酒造」の一角にある「okeba」が今回紹介するギャラリーショップです。
エントランスには、訪れる人たちを出迎えるかのように並ぶ古い大徳利。やはり蔵元ならでは。風情ある佇まいの引き戸を開け、わくわくしながら中へ。

入ってすぐの空間では、okebaを教えてくれた岡村朝子さんと友太郎さんの姉弟作陶展が開催中でした。お二人は平塚が地元で、ここでは毎年開催するお馴染み作家さん。このスペースは、毎月さまざまなジャンルの作家の企画展が行われています。

「器を作るより、陶板などで造形を表現するほうが好き」という朝子さんの作品は、日常をとらえた情景をデッサンするような心地よさが感じられます。

一方、友太郎さんは、茶目っ気のあるテイストから正統派まで、幅広く作陶しています。友太郎さんは陶芸活動の傍ら、神奈川県内で人気のイベント「大磯うつわの日」の実行委員長を務め、地元陶芸家仲間の富田啓之さんたちと一緒に、器と人が出会う場作りをしています。なんと今年で9回目! 10月末頃に開催されるそうです。

okebaとお付き合いが長くなった岡村朝子さん(左)と店長の村石和歌子さんはまるで姉妹みたい。

さて、奥に入ると、どーんと迫力のある大空間。100年以上桶場として使われていた倉庫を改修して、湘南地域のアーティストが作るクラフトや、ヴィンテージ家具・古道具を扱っています。
天井に近い棚には、酒造りの役目を終えた道具がぎっしり、その名残をとどめていました。
珍しい古道具や、かわいらしく懐かしいものが並んでいるのは、店長の村石和歌子さんセレクトによるもの。古道具が好きで「もののめや」という屋号で買い付けと卸をしていたことから、okebaと縁ができて店長を任されることになったといいます。
村石さんは前回紹介した「つきやま」さんの立ち上げメンバーだったこともお話中に発覚。どうやら、湘南エリアを盛り上げるのに欠かせない人物のようです。
「現代の作家ものには作り手の思いが込められていて、古道具には代々の使い手の思いが詰まっていて、どちらにも『生活に欠かせない心の豊かさ』を感じるんですよね」と村石さん。
確かに、この歴史ある空間の中に並ぶものはどれも趣の波長があっていて、それを語っています。

2階には絵本や古書のコーナーがあり、okebaのオーナー自身が子育て中に読み聞かせでコレクションしていたという貴重な絵本も。1冊手に取ると次から次へと連鎖するように興味が尽きないほど、文化に触れる魅力的な書物が並んでいます。うっかりするとここだけで軽く数時間経ちそう。

「多岐にわたるジャンルでものを紹介しているので、ゆっくり回遊しながら、シンパシーを感じるものと出会って、暮らしを楽しんでいただけるといいなあと思います」と村石さんは話します。

さて、okebaのある敷地には熊澤酒造が営むトラットリアやカフェ、ビール酵母をいかしたパン屋さんが小さな村のように集っています。大きな木々に覆われる入り口は、アリスインワンダーランドか、ナルニア国物語か、まるで別世界に迷い込むような気分に。

熊澤酒造の「湘南ビール」は有名ですが、地元農家さんの果実などを用いたローカルファームビールも人気だそう。ラッキーなことにちょうどリリースされたばかりという「片浦レモンエール」をオーダーできました。では、一杯だけ(笑)。
ジューシーで濃い旨味の自家製ソーセージに、爽やかなレモンビールの相性が最高!

おいしい食事と蔵元ならではのお酒で一息ついて、またokebaに戻って楽しい時間を過ごす……そんなふうにゆっくり1日を満喫するお客様が多いのがよくわかります。
150年以上続く酒造りの場が、さらに地域文化を醸成している姿は頼もしく、これから100年、その先も受け継がれていく心の豊かさを想像するうちにロマンチックな気分になり、2杯めのビールを手にしていました。

 

《ギャラリー情報》
okeba

〒253-0082 神奈川県茅ヶ崎市香川7丁目10-7
TEL:0467-50-0252
開廊時間:平日 11:00~17:00/土日祝 11:00〜18:00
(営業時間は変更になる場合もあり)
休廊日:第3火曜日(8月・12月を除く)
*駐車場あり

《アクセス》
▶︎JR相模線「香川」駅から徒歩10分
https://www.kumazawa.jp/mokichi/okeba/

*岡村姉弟作陶展は5月15日(水)まで開催

 

  • 地域
    湘南地域

    創業当時、酒樽や道具の修理製作を行う工房だった桶場と呼ばれた倉庫を改修したお店。1Fでは湘南地域の作家やアーティストの作品の常設販売やヴィンテージ家具・古道具の販売を行っております。2Fでは、絵本を中心にした古書コーナーや古道具の販売などがございます。

    • 住所
      神奈川県茅ヶ崎市香川7-10-7
    • 電話
      0467-50-0252
    • 営業時間
      平日 11:00〜17:00/土日祝 11:00〜18:00 (営業時間は変更になる場合もあり)
    • URL

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