コンテンツにスキップ
アート音楽ミュージック

横須賀のライブスポットで、ちぐさ賞の若き才能に聴き惚れた夜

横須賀のライブスポットで、ちぐさ賞の若き才能に聴き惚れた夜

今夜もどっぷりジャズ浸り
File.8 横須賀 Younger Than Yesterday
新村繭子(ジャズ喫茶ちぐさ)

優れた若手ジャズミュージシャンを発掘するために創設された「ちぐさ賞」。毎回コンペを行い、優勝者には副賞としてLPとCDの制作機会が与えられる。
6回目となる今回は、横須賀市出身のクラリネット奏者・宮脇惇(26)が獲得した。
一見イマドキのかわいらしい若者だが、演奏が始まると情熱的な、跳ねるような力強さがほとばしる。ハッと息を飲んだ瞬間、今度はメロウで艶のある音色が聴いている者の心を惹きつけ、離さない。
テクニックがあるのはもちろんだが、彼の情の深さが音に現れているようで、飄々とした風貌とのギャップがまたいい。すでに幾人もファンがいるのもうなずける。
LP、CD制作の後は、発売ライブも毎年開催される。例年は横浜野毛を中心としたエリア内で1回きりの開催だったが、今回は優勝者が横須賀市出身ということもあり、彼ゆかりのライブスポット「Younger Than Yesterday」(通称「YTY」)でも開催した。
YTYは、2001年9月にオープンして以来、横須賀カルチャーの拠点であり、ジャンルにとらわれない様々なライブを楽しむことができる空間だ。元映画館を改装した100席を超える広々としたスペースでは、ゆったりとライブ鑑賞できることはもちろん、ドリンクや食事も堪能できる。

ライブスポットというと、防音の問題などもあり、密閉された閉塞感のあるところが多いかもしれない。その点、YTYはノスタルジックな外観のビルの4階、元映画館ということもあって、ロビー・スペースが開放的。ライブが始まるまでの時間も心地よく過ごせる。
昭和の面影を残すレトロでかっこいい内装も、好きな人には堪らない。

オーナーは横須賀生まれ、横須賀育ちの佐々木滋。なんと、現役の歯科医!
佐々木の幼少時代、アメリカにはまだ徴兵制度があり、横須賀に駐留する米軍の中には文化人やミュージシャンもいたという。そんな横須賀で本場のアメリカ音楽に触れ、自身も音楽の世界に足を踏み入れたわけだ。
YTYをオープンしたきっかけは、旧知の仲であるビルオーナーから、映画館跡地の再利用を相談されたこと。「それなら音楽が集う場所を作りたい!」という思いから引き受けたという。いくつになっても若い気持ちで…という意味で「Younger Than Yesterday」と名付けた。現在では錚々たるミュージシャンも出演しており、横須賀を代表するライブスポットと言っても過言ではないだろう。

今回のレコ発ライブメンバーは20代から30代前半と若いが、レトロでヨコスカナイズされた空間と素晴らしく調和がとれていて、「かっこいい!」の一言。彼らの実力才能は、直接聴いていただければ一目瞭然ならぬ一聴瞭然だが、YTYの雰囲気と相まって、唯一無二のライブとなった。

時代は令和に突入したが、昭和から脈々と受け継がれるスカ文化にどっぷり浸かりたい方はぜひYTYに訪れて欲しい。

*YTYライブスケジュールはこちら >> http://www.yty-jp.com/index.html

*宮脇淳 アルバム「SCENERY」絶賛発売中!
 公式ホームページ

関連記事