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講座・ワークショップ

子どもたちがオーケストラと共演!神奈川フィル「ゆめコンサート」

子どもたちがオーケストラと共演!神奈川フィル「ゆめコンサート」

行って、みて、感じるアートの世界
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 神奈川フィルハーモニー管弦楽団「ゆめコンサート」

井上みゆき(マグカル編集部)

神奈川フィルハーモニー管弦楽団が行っている「ゆめコンサート」は、県内の小学校を訪問し、子どもたちにオーケストラの生の演奏に触れてもらおうという素敵な企画だ。単に演奏を聴くだけでなく、みんなで“音楽を作る”コラボレーション企画もあるというのがなんとも魅力的。きっと素敵な響きが聴けるんだろうな…と思い、神奈川フィルさんにお願いして参加させていただいた。

この日訪れたのは横須賀市立津久井小学校。コンサートに先駆けて、昨年12月には楽団員がワークショップを行っているそうだ。校内には神奈川フィルを歓迎する空気が満ちていて、とってもフレンドリー♪

神奈川フィルには現在約70名が在籍しているが、そのうち50名以上が参加するというから、オーケストラのコンサートとしては本格的なものだ。
メンバーは午前中から集まり、まずはしっかりリハーサル。お昼休み中もパートごとに細かな打合せ・確認をする風景が見られ、和やかな中にも本番に向けた高揚感を感じる。

そしていよいよ、児童入場!
低学年はカスタネットや鍵盤ハーモニカ、高学年はリコーダーを手にしている。子どもたちの中でも「いよいよ本番」の気持ちが高まっているのかも。

横須賀市では、小学5年生を対象に、よこすか芸術劇場で神奈川フィルのコンサートを体験する機会を設けているそうだ。とはいえ、本物のオーケストラに触れるのは、大部分の子どもたちにとって初めてのことに違いない。いつもと違う体育館の雰囲気に、ちょっぴりドキドキ。
まずはビゼー作曲「カルメン」より前奏曲、「アルルの女」から“ファランドール”と、耳馴染みのある曲からスタート。

いきなりすごい迫力!
指揮者の阿部未来さんもノリノリ!
たくさんの楽器が一斉に鳴り響き、その音量に圧倒されそうだ。

続いてはオーケストラの楽器を紹介しながら、それぞれに親しみのある曲を選んで音色を披露。思わずメロディーを口ずさんでしまう子もいて、なんだか楽しい。初めて目にする楽器なのに、ちょっと近づいた気分かも。

ヴァイオリンは首席ソロ・コンサートマスターの石田泰尚さんが紹介。こんな間近で石田さんのヴァイオリンが聴けるなんてなんて贅沢…と思いきや。子どもたちには大きな楽器の方がウケがいいようで、チューバ、大人気!

そして、いよいよワークショップの成果を披露する時間だ。
低学年はL.モーツァルト作曲「おもちゃの交響曲」にカスタネットや鍵盤ハーモニカで参加。
一方高学年は、エルガー作曲「威風堂々」にリコーダーで参加!

ご存知の方も多いと思うが、「威風堂々」は英国で毎年開催されるサマーフェスティバルのラストに演奏される曲で、めちゃくちゃ盛り上がるのだ。ドラマティックなオーケストラの響きに、子どもたちが一生懸命奏でるメロディーが一体となって、ここでしか体験できないキラキラした音楽が紡ぎ出される。なんだか不思議に幸せな気分♪

続いては津久井小学校オリジナル曲「みんなつくいっ子」に合わせて大合唱。実はこの曲、津久井小学校の生徒たちが作詞・作曲したものをオーケストラ用に編曲したものだとか。すごいなぁ…子どもたちが作った曲がオーケストラで聴けて、みんなで歌えるなんて!
最後はシベリウス作曲「フィンランディア」の熱いエネルギーが、体育館全体を包み込む。壮大で美しい音楽は「感動」という言葉で表すにふさわしい。
アンコールは、オーケストラ用に特別編曲した校歌をみんなで合唱。さらに神奈川フィルが録音した同曲のCDをプレゼント!
このプログラムに参加したら「オーケストラってかっこいい!」と思う子どもたちが増えるに違いない。神奈川県のクラシック音楽界の未来は明るいかも?!


終演後、神奈川フィルのメンバーに今日の感想を聞いた。

私は4年目くらいですが、毎年どこの学校でも温かく迎えていただき、ありがたいと思っています。子どもたちとの距離が近いので、ちょっと眠いのかな、一生懸命聞いてくれているな、という気持ちがダイレクトに伝わってくるのが楽しいですね。(阿部未来さん/指揮)

みんなで合唱したり、共演するコーナーがすごく素敵ですね。初めてオーケストラを聴く子も多いと思いますが、みんなで会場の空気を作り上げるのは、素晴らしい経験だと思っています。(古山真里江さん/オーボエ)

いつもは体育の授業や朝礼をやっている体育館でコンサートを行うと、みんなが“よそゆきの顔”になるんですよ(笑)。コンサートホールとはちょっと違うかもしれませんが、私たちがやる内容は同じです。みんなが喜んでくれているのを肌で感じるので、こちらの方が感動してしまうほどです。(平尾信幸さん/パーカッション)


今年度の「ゆめコンサート」は、楽しい思い出とともに春休み前に終了。来年度も素敵なコンサートが開催され、いろんな音楽との出会いがあると思うと、今から楽しみだ。

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