コンテンツにスキップ
アート演劇・ダンス

ジャグリング妖怪、KAATに現る?! 日仏ハイブリッド作品、世界初演!

ジャグリング妖怪、KAATに現る?! 日仏ハイブリッド作品、世界初演!

行って、みて、感じるアートの世界
File.19 頭と口×Defracto『妖怪ケマメ』
井上みゆき(マグカル編集部)

間もなくKAAT神奈川芸術劇場で『妖怪ケマメ』が幕を開ける。
ジャグリング×コンテンポラリー・ダンス×サーカス。
面白そうだけど、なんとなく怪しい。
チラシに使われたスズキコージのイラストも、素敵な怪しさが満開だ。
彼らはいったい、何をしようとしているのか?
編集部特権を行使して、稽古場をのぞきに行ってみた。


のっけから、二人の身体能力の高さとコンビネーションの良さに圧倒された。
これはまだ、稽古に入る前の軽いウォーミングアップに過ぎないのだから、本番のステージではどんなパフォーマンスが展開されるのか予測もつかない。
「ジャグリング」に対する認識が浅かった、と反省しつつ、{頭と口}の渡邉尚に話を聞いた。

渡邉がジャグリングに出会ったのは、美大の1年生だった20歳のとき。
「友達の家に遊びに行ったら、そこの家族が、コタツで4人揃ってジャグリングをしていたんです。これは面白い! と思って、1週間後には自分でボールを買って始めていました」

コタツの四辺でミカンを使ってジャグリングする一家? 怪しい話だけど、本当らしい。
ジャグリングにハマった渡邉は、ジャグリングの技術を深めるためには身体性が不可欠だと悟り、バレエやブレイクダンスに取り組む。コンテンポラリーダンスのカンパニー・メンバーとして国内外で活動したのち、2015年にジャグリングカンパニー{頭と口}を立ち上げた。

「僕はコンテンポラリー・アートの文脈で活動しています。でも今回は、コンテンポラリーの『分かりにくい』雰囲気を打破して、誰にでも楽しめる作品づくりに挑戦しました」

会場はKAAT神奈川芸術劇場8階の大スタジオ。中央に設けられたアクティングエリアを観客が取り囲む、360度舞台が準備されている。

「僕らは世界中を旅していろんな場所で公演を行うので、どんな環境でもアダプトできる作品であることが重要なんです。今回は、横浜、静岡、名古屋と巡ったあとでヨーロッパツアーも計画しています」

確かに、ジャグリングやダンスは言語に依存しないから、世界中の人たちと自由にコミュニケーションできるのかもしれない。

スタジオの片隅では、{頭と口}メンバーの儀保桜子が、ジャグリングに使うボールを絶賛製作中。手編みのボールはコロンと可愛らしく、それでいて変化自在な感じが現代アートの作品のようだ。
ボールを受けとめる度に聞こえる“シャカシャカ音”も、アートの一部なのかも。
こちらは、音楽家のシルヴァン・ケモンによる音楽を奏でるロボット。会場のあちこちで、ちょっぴり不思議な音楽をライブ演奏してくれる…らしい。

瓦も楽器になる…らしい。新品や中古品、形も様々な瓦を並べて、ゴルフボールをぶつけてみると、それぞれいろんな音がして、音階を奏でることも可能。

ジャグリングのボールも、音楽も、すべてにおいて“普通”のものは使わない。それでいて、コンテンポラリーにありがちな“分かりにくさ”には陥らない。何が起こるか分からないけれど、とっても自由で、面白い舞台が期待できそうだ。

共演するギヨーム・マルティネは、渡邉と同じく20歳でジャグリングに出会い、現在はフランスの人気ジャグリングカンパニー{Defracto}で活動している。

「{頭と口}の2人とは、共通の友人を介して出会いました。パリに来た時に『泊まる場所を探している』と聞いて僕の部屋に招いたのですが、2〜3日の予定が、結局1カ月ほど一緒に暮らしたかな(笑)。ジャグリングについていっぱい話をして、すっかり意気投合したんです」

渡邉とはこれまでもクリエイションを行ってきたが、舞台で共演するのは初めて。つまり、ユニットの作品としては「世界初演」ということになる。今回は渡邉とともに京都と沖縄を訪れ、滞在制作も行ってきた。

日本語もメキメキ上達中なので、マグカル読者に向けてメッセージを書いてもらった。
下の青い文字がギヨームの字。
*上の文字はスタッフの「お手本」です。

「いろんな観客に会いたいと思っているので、ぜひ観に来てください。難しいことはひとつもありません。とにかく楽しんで欲しいし、僕らが発するメッセージを感じるままに受け取って欲しい、と思っています」

★こちらのイベントは終了いたしました。
KAAT DANCE SERIES 2019
妖怪ケマメ L’esprit des haricots poilus
[日時]10月5日(土)・6日(日)
10/5(土)12:00〜/17:00〜★
10/6(日)12:00〜/15:00〜
※開場は開演の30分前。
★=託児サービスあり。公演1週間前までに要予約・有料(マザーズTEL.0120-788-222)。
[会場]KAAT神奈川芸術劇場 大スタジオ
[出演]渡邉尚、ギヨーム・マルティネ
[音楽・特別出演]野村誠
[料金](全席自由)一般¥3,000、ペアチケット¥5,000、当日券¥3,500、24歳以下¥1,500、高校生以下¥1,000、シルバー(満65歳以上)¥2,500
※ペアチケットは、チケットかながわで取扱い(前売りのみ)。
※24歳以下割引、高校生以下割引、シルバー割引はチケットかながわで取扱い(前売りのみ・枚数限定・要身分証明書)。
[主催]KAAT神奈川芸術劇場
[問合せ]0570-015-415(チケットかながわ/10:00〜18:00)
※未就学児入の入場はご遠慮ください。
※車椅子でご来場の方は、事前にチケットかながわにお問合せください。
※営利目的の転売禁止。

関連記事