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アート音楽

オーケストラの音楽はこうして生まれる 神奈川フィルと音楽を支えるスタッフ・パワーに注目!

オーケストラの音楽はこうして生まれる 神奈川フィルと音楽を支えるスタッフ・パワーに注目!

コロナ禍における自粛要請を受けて、定期演奏会等の中止を余儀なくされてきた神奈川フィルハーモニー管弦楽団(以下、神奈川フィル)。生の音楽に触れられず、淋しい思いをしてきた方も多いことでしょう。
でも大丈夫、神奈川フィルと音楽は元気です!
感染予防対策効果の検証と、予防ガイドラインの策定が完了したことから、少しずつコンサートが再開されています。再開のための様々な取組を目にして「オーケストラの音楽は様々な人の力に支えられているんだなぁ…」という思いを新たにされた方も少なくないのでは?
そこで今回は、神奈川フィルのリハーサル会場に伺い、素晴らしい響きを支えるスタッフの皆さんを取材させていただきました。

お伺いしたのは、県立保土ケ谷公園内にあるかながわアートホール。この日は、出演者・プログラムを変更しながらも再開された定期演奏会のリハーサルが行われていました。
まずはオーケストラの編成に合わせた舞台設営からスタート。ホールは音楽、演劇、舞踏などの練習や公演に幅広く使用できるよう設計され、3分割できる舞台はそれぞれ高さを4段階に変えられるため、設営はとてもスムーズです。

ステージ上のセッティングはオーケストラの“音”に影響するので、椅子の配置も慎重に。とくに今は、新型コロナ感染症対策としてプレイヤー同士の間隔を広めに設定しているため、スケールで測りながらていねいにセッティングしていきます。

譜面台はプレイヤーごとに高さや角度の好みが違うので、1台ずつていねいに調整します。スタッフの頭の中にメンバー1人ひとりの好みがほぼ入っているなんて、すごいですね!

ホールの客席前部まで広く使って、リハーサルのセッティングが完了。使い慣れたアートホールでの作業とはいえ、1時間足らずで整ってしまうのはさすがです。

こうした舞台設営は「ステージマネージャー」の仕事だそうですが、それって何者…?
神奈川フィルでステージマネージャーを務める寺門篤之さんにお話を伺いました。


ステージマネージャーとはどんな仕事ですか?

一言でいうと「ステージにおける演奏以外のすべて」です。コンサートにおいてプレイヤーがストレスなく演奏に集中できる環境を整えることが仕事なので、具体的な業務は多岐にわたります。

まず、コンサートのプログラムが決まったら、楽器の編成を確認して楽器の手配やステージ上の配置を考えます。今日のように古典的な曲を神奈川フィルのホームで演奏する場合はほぼ流れができていますが、初めての会場では担当者と打ち合わせをしながら配置図を描き、楽器や機材の搬出入についても一つひとつ決めていくことが必要です。神奈川フィルが持っていない楽器が必要な場合はレンタルなどで手配するわけですが、現代音楽では時折「これってナニ?」という“楽器”が登場するので、頭を抱えてしまうこともありますね(笑)。
曲目ごとに編成が変わる場合は、リハーサルで楽器や椅子の移動を確認し、スムーズかつ安全に進行できるよう段取りを決めます。さらに、何かあったら(例えば地震とか!)迅速に対応しなくてはいけないので、本番中はステージから目が離せません。

ステージのセッティングって、いろいろ変わるものなのですか?

曲によって楽器編成が異なるのはもちろんですが、同じ曲でも会場の広さや指揮者によって配置が変わるので、とくに初顔合わせの場合はきちんと打ち合わせすることが必要です。響きや聴きやすさのバランスをみながら、本番で一番いい状態になるよう調整することもあれば、「ここで演奏したい」と立ち位置を指定するソリストの要望を受けて全体の配置を決めることもあります。そんなセッティングによる音の変化を感じられることが、この仕事の面白さかもしれません。

寺門さんが感じる「神奈川フィルの魅力」とは?

神奈川フィルとの付き合いは20年ほどになりますが、メンバーが音楽に向かって一丸となって進んでいける団体だと感じています。コンサートホールはもちろん、商業施設や野外空間でも演奏するし、レパートリーも古典から現代音楽、オペラ、ポップスまで幅広い。いろんな経験を積むことは「良い・悪い」や「成長」ということではなく、オーケストラとしての魅力が膨らむことだと思います。
今回のコロナ禍では半年ほど生の演奏を聴くことができなかったので、久しぶりに生の音を聴いたときは本当に嬉しかったですね。


そして、いよいよリハーサル開始。
数小節ごとに演奏を止めて、マエストロから様々な指示が飛びます。何度も弾いてきた有名曲であっても、解釈やテンポは指揮者によって微妙に異なるもの。新たな解釈で古典音楽に挑むマエストロはさすがですが、そのチャレンジに迅速に対応する神奈川フィルのメンバーも素晴らしい!

ふと、プレイヤーたちが楽譜になにやら書き込んでいる姿が気になりました。
オーケストラには様々な楽器があるので、いろんな楽譜があることは想像できます。さらにその楽譜に1人ひとりが書き込みをしていったら、なんだか複雑なことになりそうです。そもそも、オーケストラの楽譜は誰が用意して、管理しているのでしょう?



そんな素朴な疑問に答えてくれたのが、ライブラリアンの山地珠江さんです。

ライブラリアンとはどんな仕事ですか?

ざっくり言うと楽譜の「準備」と「管理」です。
まず、公演プログラムが決まったら楽譜を手配します。ただし、同じ曲でも出版社によってニュアンスが微妙に異なることがあるので、使いたい版を指揮者に確認することが重要です。指定された楽譜が神奈川フィルのライブラリーにない場合は、新たに購入したり、著作権の関係でレンタルする場合もあります。

楽譜に書き込みをするプレイヤーが多いようですが、それってOKなんですか?

同じ曲であっても毎回同じ演奏になることはあり得ないので、リハーサルで指揮者の指示をプレイヤーがメモするのは普通のことです。ボウイング(運弓法)のアップダウンは、リハーサル前に指揮者に確認してライブラリアンが記入しておくこともあります。これに各プレイヤーが指揮者の指示を書き込んでいくことで、そのオーケストラならではの音楽が作られていくわけです。

山地さんがライブラリアンという仕事を選んだきっかけは?

音大でオーケストラの授業があったのですが、あらかじめ楽譜が準備されていることに感動したんです。華やかなオーケストラを裏で支えるライブラリアンという仕事を知り「かっこいい!」と思っちゃったんです。

実際になってみていかがですか?

思っていた以上に大変な仕事でした(笑)。コンサートに向けて楽譜を準備するにあたっては、使い込んだ楽譜を補修したり、ページを貼り合わせてプレイヤーが演奏しやすい形態に整えることもあります。音楽の専門知識も必要ですが、プレイヤーが求めることを先読みして動ける気遣いが大切な仕事ですね。

ちなみに、これが修復や貼り合わせに使うテープです。和紙でできているので経年劣化が少なく、重なっても厚みがでにくいという利点があり、書籍の修復などでも使われているものです。楽譜の場合、製本にホチキスが使われている場合があるので、錆びる前にホチキスを外してテープで製本し直すこともあります。

山地さんが感じる「神奈川フィルの魅力」とは?

いちファンとして楽しみなのは、個性の異なるコンサートマスターが2人いることです。その上で古典から現代音楽、ポップスまで幅広いジャンルを演奏するので、毎日聴いていても飽きることがありません(笑)。その多彩さは神奈川フィルならではの魅力だと思うので、皆さんにぜひ聴いていただきたいですね。


最後に、今回の取材をご手配いただいた、広報ご担当の田賀浩一朗さんにお話を伺いました。

広報とはどんな仕事ですか?

まず、コンサートのプログラムが決まったら、それに応じたチラシやポスターを制作し、適切な場所に配布するとともに、メディアを使って広く広報活動を行うことが1つ。また、今日のような取材対応も含め、オーケストラの魅力を皆さんに知っていただくために、日頃から様々なメディアに向けて情報を発信することも重要な仕事です。

この仕事の面白さとは?

表舞台に立つことのない仕事ですが、終演後にお客様が「良かった」と言いながら笑顔で帰って行く姿を見ると、僕たちも嬉しくなります。ショッピングモール等で無料演奏会を開いたときなどは、普段オーケストラを聴くことのない方々も足を止め、楽しそうに音楽に耳を傾けてくださる。そんなシーンに出会うと、「この仕事に就いて良かった」と心から思います。

実は、僕もプレイヤーを目指していた時期がありました。その夢がかなわないとしたら、音楽家を支える仕事を目指すのか、あるいはまったく別の道を探した方がいいのか…。試行錯誤の末、神奈川フィルの広報という仕事に出会うことができました。今から思えば、悩んだ時期に音楽以外の仕事を経験したことが、現在の仕事に生きていると思えます。

やはり音楽に関する専門的な知識は必要?

必要最低限の知識はあった方がいいと思いますが、必ずしも専門的に学んだ人である必要はないと思います。大切なのは、オーケストラに対する愛情です。ビジネスとしては「チケットが売れればいい」という考えもあるかもしれませんが、オーケストラの広報に限っていえば、音楽への思い入れや愛情を発信できることが何より大切だと思います。思いを込めて作り上げたコンサートでも、お客様の入りとしては“いまひとつ”の公演があるのは事実です。非常に残念ではありますが、音楽への熱い想いを楽団員、お客様と共有し、喜怒哀楽を共にできることに幸せを感じています。

今後やってみたいこと、挑戦したいことなどあれば聞かせてください。

地域の方々ともっとつながりたいと思っています。横浜F・マリノスやDeNAベイスターズとはもっといろんなことができると思うし、神奈川県の企業の皆さんにも地元にオーケストラがあることをもっと知っていただきたい。個人的には、音楽業界に限らず様々な業種の広報の方とつながり、情報を共有し、神奈川フィルを盛り上げるためのアイデアを得たい、という思いもあります。

神奈川フィルは今年50周年を迎えました。これまで残念ながら新型コロナウイルス感染症対策で中止・延期になったコンサート、イベントが多くありますが、今後は予防対策を徹底しながら、徐々に再開していければよいと思っています。神奈川フィルが生み出す音楽は、内に秘めた情熱が持ち味だと感じています。ぜひコンサートに足を運び、生のオーケストラの音楽に触れてみてください。

*神奈川フィルハーモニー管弦楽団の公式ホームページはこちら

*神奈川フィルからマグカル・ドットネット読者へ、コンサート招待券をいただきました! 詳細はページのラストにあります。


【かながわアートホールとは?】

1992年、横浜市保土ケ谷区の県立保土ケ谷公園内にオープンした音楽ホールです。ホールのほか、5つのスタジオやレストラン、展示コーナーなども完備。当初は神奈川フィルの事務局がおかれ(現在は横浜市中区に移転)、現在もリハーサル等に使用しており、その模様は一般公開されることもあります(現在は新型コロナ感染予防のため、公開リハーサルは休止中)。

ホールは最大300人収容。緞帳や照明設備も整っているので、各種発表会やコンサートのほか、ダンスや演劇の公演にも活用できます。
神奈川県ではマグカルシアターの取り組みをさらに推進するために、これまで活用してきた県立青少年センターのスタジオHIKARIに加え、かながわアートホールを公演会場とする「マグカルシアター in アートホール」を開始しました。ご期待ください!


神奈川フィルからマグカル・ドットネット読者へ、コンサート招待券をいただきました!

【神奈川フィルフューチャー・コンサート海老名公演】
[日時]2020年10月21日(水)19:00開演
[会場]海老名市文化会館 大ホール
[指揮者]阿部未来(指揮)
[共演者]
砂田愛梨(ソプラノ)
川田直輝(バリトン)
海老名市民オペラ合唱団(合唱)
[主な曲目]
グリンカ/歌劇「ルスランとリュドミラ」序曲
ドニゼッティ/歌劇「愛の妙薬」よりBenedette queste carte!
ドニゼッティ/歌劇「愛の妙薬」よりCome paride vezzoso
ビゼー/歌劇「カルメン」より”闘牛士の歌”
レハール/喜歌劇「メリーウィドウ」より”Vilja-lied Duet”
ヴェルディ/歌劇「ナブッコ」より Va,pensiero
マスカーニ/歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」より”Gli aranci olezzano”
ドヴォルザーク/交響曲第9番ホ短調Op.95「新世界より」
※やむを得ない事情により出演者、演奏曲等が変更になる場合がございます。
[料金]全席指定¥4,000/ユース(25歳以下)¥2,000
[問合せ]神奈川フィル・チケットサービス Tel.045-226-5107(火・水10:00-13:00)
※未就学のお子様の入場はご遠慮ください。
※巡回主催公演「フューチャー・コンサート海老名公演」に出演を予定しておりました指揮者・現田茂夫氏は、都合により出演できなくなりました。代わって阿部未来氏が指揮をいたします。なお、プログラムには変更はありません。

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★プレゼントの応募は終了いたしました。たくさんのご応募ありがとうございました。

【プレゼント応募概要】
10月21日(水)19:00から、海老名市文化会館大ホールで開催される『神奈川フィルフューチャー・コンサート海老名公演』の観覧チケットを、3組6名様にプレゼントいたします。

【応募方法】
観覧チケットプレゼントご希望の方は、下記の応募フォームよりご応募ください。皆様のご応募をお待ちしております。

【応募〆切】
2020年10月2日(金)23:59まで

【抽選・当選発表】
ご当選者にはメールにて通知させていただきますので、迷惑メール設定などにご注意ください。メールは、マグカル・ドット・ネット運営事務局(info.magcul@gmail.com)からのご連絡になります。

★当選発表は、上記メールでの当選連絡をもって代えさせていただきます。公演当日、会場の「海老名市文化会館 大ホール」受付にて、当選通知メールをご提示ください。スタッフよりチケットをお渡しいたします。
※いただいた個人情報は抽選以外の目的には一切使用いたしません。

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