横浜という街は、日本のジャズを語るうえで欠かせない存在である。
「横濱JAZZ PROMENADE」をはじめ「旭ジャズまつり」や「YOKOHAMA本牧ジャズ祭」など数多くのジャズフェスティバルが開催され、野毛~伊勢佐木町~関内エリアにはジャズの生演奏が楽しめるジャズスポットが集中する。これほど多くジャズ関連の店舗が集うエリアは、世界をみても稀で、詳しくは是非「ヨコハマのジャズヒストリーと現在」の記事をご覧いただきたい。
本連載では、ジャズ喫茶やライブハウス等に足を運んだことのない方のために、県内の数多くのジャズスポットの中からいくつか取り上げて紹介していく。付近を訪れた際は、気軽に立ち寄り、日本のジャズの歴史とサウンドを体感してみてほしい。
第一回目では、朝の連続テレビ小説に登場したのも記憶に新しい「ジャズ喫茶」に焦点をあてる。そもそも「ジャズ喫茶」は日本独特の文化で、主にジャズのレコード音源、そして時折ライブ演奏が楽しめる喫茶店のことを指す。敷居が高いと思われがちであるが、「気軽にジャズが聴けるカフェ」とすればどうだろうか。
そんなジャズ喫茶を語るのに欠かせないのが 横浜野毛 ジャズ喫茶ちぐさ だ。
1933年創業。昭和初期、当時20歳であった吉田衛(よしだ まもる)によって開業された「ジャズ喫茶 ちぐさ」は2007年に一度閉店したものの、「ちぐさ」を愛する多くの人々の協力を経て、2012年に野毛にて営業を再開し「日本最古のジャズ喫茶」として親しまれていた。
店内には数十年の時を閉じ込めたかのような空間が広がり、バーの奥の棚には6,000枚以上あるとされるレコード、そして50年物のマルチアンプシステムが設置されていた。「ちぐさ」のオーディオシステムで聴くジャズレコードは他店では味わうことができない、贅沢な時間を提供するものであった。
そんな「ジャズ喫茶 ちぐさ」は「Jazz Museum CHIGUSA」として生まれ変わるべく、2022年4月に一時閉店し、来年までの仮店舗としてみなとみらいの「グリーンスポット」にて営業している。「Jazz Museum CHIGUSA」は創業90周年にあたる2023年に、ライブハウスと博物館の両方の機能を備え、創業者の吉田氏の意思を受け継ぎオープン予定である。
現在営業中の仮店舗では、「ちぐさ」の音響を再現しており、約6,000枚の所蔵レコードや、「ちぐさ」の歴史に関する展示が楽しめる。週末にはワークショップ等のイベントも企画している。今までジャズに馴染みがなかった方にも、セルフサービスのコーヒーを片手に、気軽に楽しめる空間となっているので、是非この機会に訪れてみてほしい。
展示は2023年2月28日までで、入場無料。
また、「Jazz Museum CHIGUSA」では建て替え資金の寄付やジャズの歴史的資料の寄贈を募る「Jazz Museum CHIGUSAファンド」を開始。特典もあるので、興味のある方はホームページへ。
Jazz Museum CHIGUSA(2023年3月オープン予定)
【ACCESS】
横浜市中区野毛町2-94 TEL: 045-315-2006
JR根岸線/横浜市営地下鉄
桜木町駅より徒歩3分
京浜急行 日ノ出町駅より徒歩8分
Jazz Museum CHIGUSA 仮店舗