(TOP画像)『東海道五拾三次之内 川崎 六郷渡舟』 歌川広重(初代)
*画像提供:神奈川県立歴史博物館
その時代の風俗、流行などを描いた「浮世絵」は、江戸時代(1603〜1868年)に生まれた日本画の一種です。その源流は肉筆による風俗画にあると言われていますが、多色刷りの木版画技術が発達したことから、広く親しまれるようになりました。
役者絵や美人画、古典文学、よく知られた物語、風景など多彩な題材が描かれた中で、旅行気分が楽しめる「名所絵」は、人気が高かったテーマのひとつ。歌川広重が描いた『東海道五十三次』、葛飾北斎が描いた『富獄三十六景』などは海外でも広く知られています。
神奈川県内には、そんな浮世絵の舞台となった場所が多数あります。たとえば、六郷川(現・多摩川)の船渡し風景は、歌川広重をはじめ、多くの浮世絵師たちが描いています。
都市化が進む中、浮世絵に描かれた風景は大きく変わりました。かつての船渡し場には立派な橋が架けられ、欄干の渡船のモニュメントに記憶をとどめるのみです。
けれども、現在でも往時の面影を感じられるスポットは少なくありません。
神奈川県立歴史博物館が所蔵する浮世絵の中から県内を舞台とした作品をピックアップし、現在の風景と照らし合わせてご紹介します。浮世絵師たちが愛したいにしえの風景を求めて、手軽なタイムトリップを楽しんでみませんか。