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美術・写真アート

アートをめぐるふらり旅で、藤沢宿の歴史と文化を再発見!

アートをめぐるふらり旅で、藤沢宿の歴史と文化を再発見!

旧東海道藤沢宿地区には、地域の歴史や文化を伝える貴重な建造物や景観が今も残されています。《藤沢今昔まちなかアートめぐり 2019》は、その保全の必要性と再活用の可能性を、現在進行形アートを通じて提示し、未来につなげていくことを目的としてスタートしました。
10回目の開催となる今年は、フランスから招聘したふたりを含む、11人のアーティストが藤沢に集合。蔵や町家、庭園を舞台に滞在制作を行っています。

まずは「旧稲元屋呉服店」。江戸末期創業の豪商でしたが、1977年の火災や老朽化などにより、現在は蔵2棟を残すのみ。今回は、蔵と庭園、明治天皇行幸碑で展示を行っています。

蔵のひとつでは、佐々木薫さんが作品を制作中。
「自然に呼吸が整ってくるようなこの空間で、猫と鳥たち、珍しい虫たちとお待ちしております」

もうひとつの蔵では、実行委員会代表でもある、伊東直昭さんの展示が行われています。縁側が付いたほっこりする空間で、伊東さんが試みる「ゆらぎとずらし」を感じてみてください。

庭の裏手にある明治天皇行幸碑周辺では、南仏プロバンス地方出身のヨアン・クレパンさんが作品を制作中。招聘にあたっては、事前に数カ所の画像を送って検討してもらい、ヨアンさん自身がこの空間を選んだそうです。

自然素材を使った作風で知られていますが、今回はここに自生する竹を使って作品づくりに取り組みました。
「竹はフランスにもありますが、これほど太くて立派なものは見たことがありません。日本は初めてなので、見るものすべてが新しくて感動しています」

『かぐや姫』の物語も教えてもらった、というヨアンさん。竹の切り株から続く竹輪は、空からの雫なのか、月へと帰って行くかぐや姫の軌跡なのか…。
「天神山」で制作を行ったのが、フランスからやってきたポルスカさん。様々な植物の繊維や石材を活かし、ランドアートを中心にヨーロッパ、アフリカ各国で活動を行っているアーティストです。
日本では京都、美濃、塩釜でも滞在制作を行っており、まちなかアートには2012年に続いて2度目の参加です。

「伝統と新しいものが共存する藤沢はとても興味深いです。ここは戦国武将とその末裔が眠る墓があると聞いているので、侍の兜のイメージも取り入れてみました」

この場所で葉や小枝、竹などを集め、一つひとつ愛おしむように作品をつくり上げています。
「今回の作品は瞑想するための空間です。ぜひここに座って、自然の音に耳をすませてみてください」
作品の中に腰かけて空を見上げてみたら、いつもとちょっと違う自然な風が感じられました。

こちらは「関次商店 パンの蔵 風土・石蔵」。
1886年に建てられた国の登録有形文化財である穀物蔵をリノベーションした空間で、現在はパン屋さんとして営業中。蔵の名残である土壁などは残しつつ、モダンにリニューアルされた店内では、焼きたてのパンとコーヒーなどを味わえます。

「パンの蔵 風土」では村上慎二さん、「石蔵」ではASADAさんの作品を展示しています。
*「パンの蔵 風土」の展示は営業時間(月・火曜を除く8〜15時)のみ公開。

藤沢今昔まちなかアート実行委員会 代表である美術家・伊東直昭さんにお話を伺いました。
「藤沢には歴史的な建造物や史跡、景観などが残されています。ただ残念なことに、町が発展する中で失われてしまったものも少なくありません。歴史的な文化資源を大切にしようという意識を、自分たちの活動で活性化したい。そんな思いに賛同してくれる仲間たちと立ち上げたのが『藤沢今昔まちなかアート』です。今回は10年の流れを振り返りつつ、今後の課題と可能性を探るシンポジウムも開催し、ささやかながら地域の文教環境の向上に寄与したいと考えています」

《藤沢今昔まちなかアートめぐり 2019》は、上記以外に「旧石曽根商店」「有田家」「藤沢市ふじさわ宿交流館」でも展示やシンポジウムを行っています。地域の歴史に思いを馳せながら現代アートと出会う“ショートトリップ”を楽しんでみませんか。

★こちらのイベントは終了いたしました。
《藤沢今昔まちなかアートめぐり 2019
[開催日]2019年10月12日(土)〜11月4日(月・祝)の土日祝日
[時間]11:00〜17:00
*関次商店パンの蔵風土は、2019年10月12日(土)〜11月4日(月・祝)の月・火曜を除く8時〜15時
[会場]旧石曽根商店、有田家、天神山周辺、藤沢市ふじさわ宿交流館、関次商店(パンの蔵 風土、石蔵)、旧稲元屋呉服店

詳しくはこちら>>>

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