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美術・写真
県庁アナウンサーが行く!神奈川近代文学館 石川哲也アナウンサー編
2017.11.13

山本周五郎は横浜を第二の故郷として愛した神奈川にゆかりの深い文豪。
元町中華街駅から緩やかな坂を上ること約5分。港の見える丘公園内の神奈川近代文学館にて、没後50年を機に山本周五郎展を開催中。
 ※本記事の内容は、近代文学館の了承の上、撮影・掲載しています。

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周五郎の作品には、初期の代表作「日本婦道記」をはじめ「樅の木は残った」「青べか物語」など多くの有名作があり、映像化、舞台化もされています。
その中でも私のお気に入りは「さぶ」。
さぶは、冤罪によりそれまでの華々しい人生を失ってしまった主人公「栄二」が、人間の暖かさに触れ、変化していく様子を描いた物語。
そんな栄二の職人仲間「さぶ」。作品のタイトルであり、とても重要な登場人物ではありますが、「さぶ」ってサブキャラなんです。
周五郎の作品を読むと、人間を愛してやまない作家であったのが感じ取れます。

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上空からみると巻物の形状に設計された展示室では、直筆の日記や原稿、舞台台本などが展示されており、周五郎の人生の歩みや数々の作品の世界を堪能できます。同展は平成3年にも開催されましたが、その後、多くの資料が寄贈され、今回はより充実した内容での開催となっているようです。今年9月に寄贈されたばかりの未完作品「註文の婿」の草稿も展示されていました。
作者の人生を知ることや、一点しか存在しない直筆の雰囲気を味わうのは、作品を読むのとはまた別の喜びがありますね。

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近代文学館の建物は、形状の他にも、ライトが神奈川県の花である百合のデザインになっていたり、原稿用紙やペンモチーフにしたデザインが取り入れられているなど、細部にもこだわりがみられます。また、収蔵数は120万点を超え、周五郎の他にも多くの作家の資料が万全の体制で保存されています。

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特に、現在常設展示されている夏目漱石に関しては、インターネットでデジタル資料館として館蔵のすべての資料が閲覧できるようになっており、書簡が翻刻付きで閲覧できるなどかなり充実しており、好きな人にとってはたまらないコンテンツです。

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「小説にはよき小説とよくない小説があるだけ」その言葉を信念に、あらゆる文学賞を拒み続けた無冠の小説家、山本周五郎。

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何気ない土曜日、戦時下を生きたひとりの文豪に触れたひとときでした。

  • 地域
    横浜ベイエリア(中区・西区)