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2013.12.16

【日常/オフレコ展連動企画】 梶岡俊幸 文章スケッチ

■ 梶岡 俊幸 Toshuyuki KAJIOKA
漆黒のマチエールに輝く銀色の光輝く銀色の光。「日常/」シリーズでは初となる日本画によるインスタレーション。

 

[caption id="attachment_5163" align="alignnone" width="800"]《闇の絵巻》 2009年 スパイラル 《闇の絵巻》 2009年 スパイラル | Courtesy:SPIRAL/Wacoal Art Center
Photo:Katsuhiro Ichikawa[/caption]

 

■ 梶岡俊幸による文章スケッチ
 
いつもの夕暮れ時の帰り道、水辺に座って形の定まらない水面を眺めていると、徐々に体がその景色の一部になって行く様に感じます。
 
山に日が隠れて辺りの気温が下がり始めるにつれ、自分の存在は形を維持することを忘れてその場の風景に溶け込んで消えて行きます。
 
夜闇の中、恐れと安堵の中で懐かしいものに包まれながら、周囲の空間が無限に広がって行くような感覚が沸き起こります。
 
夜の暗い冷気の中で、
川辺に座り闇の流れに目を凝らしていると、
目の前を、寂寞を宿した黒い波が
闇から現れ闇へと消えてゆきます。
 
それは、私の中から昼を持ち去り、
夜の安らぎを残してゆきます。
 
 
夜闇の冷気の中で、その水面と一体となり静寂へ帰る。
 
 
闇に沈む水面は、表層との繋がりを断ち切り、意識を内へと向かわせる。
内に向いた意識は水面の揺らぎとともに、殻を溶解させる。
殻を失くした自分は、見えも聞こえもしない闇の中で、外界の全てと一つになり静寂へと還る。
 
 
私の原風景である生まれ故郷の水面。対岸の町の明かりがとどまることなくゆらゆらと水面の上で揺れる様は、その不確定な光と水面の闇とが、生きる事の儚さを物語っているように思えます。
 
夜の暗い冷気の中で、川辺へ座り闇の流れに目を凝らしていると、目の前を、寂寞を宿した黒い波が
闇から現れ闇へと消えてゆきます。
それは、私の中から昼を持ち去り、夜の安らぎを残してゆきます。
 
 
川辺で流れの影響を受けながら現れては消える渦を眺めていると、
物事は全ての関係性の中で成り立っていることに触れたように感じます。
 
 
静かにうねる夜の河口の川面、海水と淡水が混じり合い、うねりの密度を増して深い闇へといざないます。
 
 
全てが動きを止める時刻。ダム湖の湖畔では、時間の隙間に入り込んだような張りつめた空気が流れていました。その時私は、時間の流れから抜け落ちて、過去も未来もない空間へ入り込み、体が世の全てを感じているような感覚に襲われました。
 
 
暗闇で微かに波が動く気配を感じる池のほとりで、時を紡ぎ出す緩やかで均一な波が、絶え間なく私に向かって静かにささやいているように感じました。
 
 
様々なモノが影響しあい、絡み合い、うごめき、その瞬間を形成します。その形は、その時しか存在することが出来ません。

 
 
 
[caption id="attachment_5162" align="alignnone" width="800"]左:《暗流》  2005年 右:《暗流》部分 左:《暗流》 2005年 右:《暗流》部分 2009年 masayosi suzuki gallery[/caption]

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