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美術・写真アート

富士山、江ノ島、七里ガ浜。浮世絵の舞台を訪ねて、いざ藤沢!

富士山、江ノ島、七里ガ浜。浮世絵の舞台を訪ねて、いざ藤沢!

(TOP画像)『相州江のしま詣の図七里が浜真景』歌川広重 *藤沢市藤澤浮世絵館所蔵

行って、みて、感じるアートの世界
File.13
 藤沢市藤澤浮世絵館

井上みゆき(マグカル編集部)

近ごろ浮世絵がブームらしい。浮世絵に描かれる風景といえば、富士山、江ノ島、川崎大師に箱根の関所……いずれも神奈川県内ではないか! そう思って調べてみたら、藤沢市にある藤澤浮世絵館を見つけた。
JR辻堂駅から徒歩5分。しかも入館無料。これは行くしかない!

*浮世絵に描かれた神奈川県の原風景はこちらでもご紹介>>

辻堂駅北口周辺は、大規模再開発ですっきり整備されたので、歩道も広くて歩きやすい。浮世絵館が入る「ココテラス湘南」へは、おしゃれなショッピングモールを通り過ぎて、お散歩気分で散策するうちにあっという間に到着。
まずはエレベーターで7階へ。

「藤沢市 藤澤浮世絵館」は、東海道藤沢宿や江の島を題材とした浮世絵や関連資料を収集・展示している。歴代の江の島観光パンフレットなども所蔵しているそうなので、美術品としての価値もさることながら、地域の郷土資料として浮世絵を鑑賞できることが大きな特徴といえるだろう。

現在開催中の企画展は「広重たちの情景 初代・二代・三代—江戸から明治へ—」(2019年7月15日まで)。
歌川広重といえば、かの有名な『東海道五十三次』の作者。当然のことながら、藤沢宿をはじめ、江の島、七里ガ浜など現在の藤沢市内の風景を多数描いている。
ちなみに、初代広重はすでに幕末の人だから、二代、三代が活躍したのは江戸から明治への変換期だ。そんな激動の時代にも浮世絵が描かれていたと思うと、ちょっぴり不思議な感じ…。

浮世絵は人や風俗を題材としたものが主流で、今の私たちが思う“風景画”のスタイルを確立し、積極的に描いたのは広重たちの一派だけらしい。浮世絵は風景をリアルに描く“写生”とは違うが、実際に現地に足を運び、風景を目に焼き付けてから描かれたと伝わる作品には独特の魅力がある。

ビデオコーナーでは、浮世絵に描かれた藤沢市内のスポットを訪ね、現在の風景とて照らし合わせ検証する「藤沢 江の島 浮世絵名所めぐり」が見られる。大胆なデフォルメは浮世絵ならではの魅力だし、広重の時代と現在では町の風景そのものが大きく変わっている。それでも、改めて舞台となった風景を訪ねてみると「なるほど」と感じる部分もあって興味深い。
これは必見!

「歌麿や北斎など有名人ばかりが注目されますが、実際には、同時代に星の数ほどの浮世絵師が活躍していました。当館では “郷土史”という視点から浮世絵を収集しているので、有名・無名に関わらず、幅広い浮世絵の世界を楽しんでいただけると思います」
と、学芸員の益田涼助さん。

施設がコンパクトな分、1点ずつじっくり鑑賞できる。なんといっても無料なので、お散歩の途中で気軽に立ち寄れるのがうれしい。

<おまけ情報>
浮世絵館の1つ下のフロアには「藤沢市アートスペース」があるので、こちらもオススメ!

現在は「観察眼—湘南のイラストレーターが描くいきものと自然—」を開催中(6月16日まで)。
湘南を拠点に活躍する二人のイラストレーターたちの作品は、美しくて、かわいくて、おもしろくて、ちょっぴりこわくて…とってもユニーク。こちらも観覧無料なので、ぜひのぞいてみて!

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