マグカルさんが行く!『SIMONDOLL 四谷シモン』展
5月31日(土)から7月6日(日)迄そごう美術館で開催される、「SIMONDOLL 四谷シモン」展の内覧会に参加させていただきました!
今回の展示では、初期の作品から最新作まで46体の人形に会うことが出来ます。
一度でいいから実物をこの目で見てみたいと願っていた私にとっては、小躍りしたくなるほど壮観でした。
書籍でしか見たことのない人形がまさに目の前に…感動!!
この展示を経験してみて、「実際に目撃して欲しい」ということが、私が心から言えることです。
シモンさんの人形は、考えている。シモンさんが考えながらつくっている。
その結晶が目の前にあるという実感が強くて、それをどう読み解くかどう感じるかは完全にこちら側に委ねられているように思えます。
薄暗い会場の中で、何も言わずに可憐に佇む作品の気配を是非体験してみて欲しいです。
何の先入観も知識も無くて構わないのだと思います。
何故ならシモンさん自身が「人形とは何か」を問い続けながら制作をしているから目の前の作品が「人形」であるかすら判らない。
「うーん。人形って一体なんなのだろう」と思いや考えを巡らせながら神秘的なまでに美しい作品を前にただ陶酔する。
それだけで、”SIMONDOLL”は何かを投げ返してくれるような気がします。
また今回の内覧会でシモンさんに直接インタビューできるという夢のような機会に恵まれましたのでその対談の様子もレポートさせていただきます。
Q:今回初めて実物の人形たちを間近で見せて頂いて、イヤリングが気になりました。何故少女の顔の大きさに不釣り合いなイヤリングをつけるのですか?
四谷:僕は人形の外側に何か、ということは考えていなくて、人形“だけ”なんですよね。
だから最低限つけていいもの、例えば男の子の人形なら腕時計くらいならいいかな、とかね。
女の子のイヤリングっていうのはネックレスよりかは可愛いかなっていう自分の勝手な思いです。
実際人形がつけているものは人間がつけてもいい大きさのもので、それでも決して不釣り合いではないんです。ちょっと大きいくらいが可愛らしいんですよ。
Q:お洋服は着ていなくて靴だけ履いている人形には、何か意図があるのですか?
四谷:靴を履かせるということは、『外部との接触がそこで断たれている』ということかな。
つま先って人間の一番先っぽで、そこに部止まりとしての靴を履かせることによって、この人形は人形として成立している、人形だけの世界が立ち上がっているということになるんです。
靴を履かせないで裸足のまんまでも、もちろん人形として成立してはいるんですけど。
僕の勝手なイメージでは「あ、とけちゃうんだ。それはなんか違うな」って
Q:箱に入っている人形も、外部との接触を断ちたいという意図があるのですか?
四谷:標本箱みたいなものが好きなんです。冷たいガラス板を一枚通して在る世界みたいな。例えばショーウィンドウとかね。
かたーい透明なもの、それを通して成立している世界…そんな大げさなものじゃないんだけどね。まぁ標本箱かな
Q:シモンさんの作品は、ジョセフコーネルのような『箱の作品』とは違って、
やはりお人形ありきの『箱』、というように見えました。
四谷:天使のシリーズがあるでしょ。あれは文字を貼付けたりコラージュしたりして遊んでみたかったっていうのがあって、それには設定が必要で、だから箱を作った。ガードとはちょっと違うかな。
Q:黒髪の男性の人形は何体か居たのですが、女性の黒髪の人形は一体も見受けられませんでした。
黒髪はお嫌いですか?
四谷:女の子のお人形には、童謡にもあるような『青い瞳をした人形は~』みたいな、そういうもののイメージがこびりついている。
金髪で、青い瞳をした、いわゆるフランス人形っていうものを、ただ僕は具体化しているだけかもしれない。
女の子に黒髪をすると相当強いものが出てきてしまう、色調とかいろいろなものがね。
金髪とか薄い色だと髪の毛の分量がどんなに多くてもフワッとして重さを感じないんです。
黒い髪の少女のお人形っていうものはつくったことがないですね。
「ちゃんと答えになっていたかな」と始終あたたかい笑顔で対応して下さったシモンさん!素敵です。10分間という短い時間でしたが、濃密で軽やかな拡がりを持ったひと時でした。標本箱に閉じ込めて何度も眺めたくなるような愛おしくて貴重な経験。本当にありがとうございました。
A.O
東京在住
東京造形大学絵画専攻在学
豆苗とか育ててます。