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「マグカル・ドット・ネット」は、神奈川県内のアート・カルチャー情報を発信するサイトです。
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神奈川県では、文化芸術の魅力で人を引きつけ、地域のにぎわいをつくり出す、マグネット・カルチャー(マグカル)の取組を推進しています。
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マグカルレポート in TPAM 2014/TPAMディレクション・野村政之ディレクション
2014.05.02

マグカルレポート in TPAM 2014/TPAMディレクション・野村政之ディレクション

TPAMディレクションとは?
ユニークな活動を行なっている若手制作者をディレクターに選任、自由なコンセプトと新たな視点で作るプログラム。
それぞれのディレクションを通して同時代的アイデアや課題を共有し、ともに舞台芸術の可能性を考察する機会です。

 
※他のTPAMレポートはこちらのページからご覧いただけます!
 
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野村政之ディレクション
蓮沼執太『作曲:ニューフィル』
KAAT神奈川芸術劇場<ホール>
2.11 Tue 17:00

 
※今回の公演を先駆けてマグカルでは蓮沼執太さんと舞台装置を担当された毛利悠子さんへのインタビューを行いました。そちらの記事も是非ご覧下さい。
http://magcul.net/focus/hasunuma_mohri/
 
 
2月11日はKAAT神奈川芸術劇場にて一日のみの公演となる蓮沼執太率いる蓮沼フィル『作曲:ニューフィル』を鑑賞した。
当日は大勢のお客が劇場に詰めかけており、これほどの大きなホールでの上演は蓮沼フィル至上初なのではないだろうか。
今回はインタビューを事前に行った事もありインタビューでも蓮沼執太が語った「ライブそのものすべてをスコア化したい」という考えがどのように表現され、毛利悠子の舞台装置がどのようにこの公演に関わってくるのか、曲の他にも興味がつきない公演だった。
 
ただ公演が始まるまで個人的に気になる事があったのだがそれは「客との距離」である。
いままで何度かTPAMに参加している蓮沼執太はいずれの公演も、ほぼ観客と同じ目線、なおかつ近い距離でのライブスタイルで演奏者が客を巻き込み、鑑賞者も自由に空間を移動できるスタイルだったと思う。
しかし今回の場所は「ホール」という名前がついている通り大きなステージがあり、正面に遠くまでしっかりと席が並んでいるわけであって、いままでのライブと違い全員が「座って聞く」というアフォードされた空間から何か「温度差」のようなものが生まれてしまうのではないかという個人的な懸念があったからだ。
しかしライブがはじまるとどうだろう、自身の思っていたその不安は思い過ごしだったと言うことに気づいた。
 
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それは今回のライブがリリースされたばかりの『時が奏でる|Time plays — and so do we.』の曲をアルバムの通り演奏するというものだったのだがその中に既に我々は「スコア」として組み込まれていたからである。
じつは当日1曲だけアルバムに収録されていないがアルバムのタイトルにもなっている「Time player-and so do we.」という曲を披露したのだが、当日配られたパンフにはこの曲の為に様々な指示が記入されており、印刷された紙の色で鑑賞者全員がそれぞれルールにしたがって演奏に参加できる仕組みとなっていた。
その指示はステージ上にある毛利悠子の作品が放つアクションに合わせて実行するものであったり、フィルに向けて指揮をとったり、照明に合わせて拍手をしたり、好きなタイミングで紙鉄砲をならしたり等々、大きなルールで指示されているがそれぞれがほぼ自由にフィルと共演できるという内容だった。
 
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画像:会場で配布された指示書。人によって従う指示が違う仕組みとなっている。
 
共演という言い方がいいのかどうかは微妙なところではあるが楽譜に私達が含まれているという感覚が距離をなくし、まさにアルバムのタイトルにも使用されている『時が奏でる』という意味がその場で完成していたのではないかと思う。またこの指示するという部分においては毛利悠子の装置はとても重要な位置にあるように思えた。
それは同じ行動をとるにしても人が指示する場合は微妙に内容が変わってくる可能性があるが、装置がその指示の役割をになう事によって指示を行うという部分において他の会場でも成立する「スコア」としてその機能を十分に果たしていたと思う。
 
しかしながらよくよく考えてみれば蓮沼フィルはアルバムに収録されている曲を順に演奏していったのだが私たちがアルバムの曲を聴きにいく。蓮沼フィルがアルバムの通りに演奏する。
それだけでもお互いの役割は既に果たされており自身の気にしていた「距離」なんてものは今回の公演に関しては全然関係ないものだったのかもしれない。
いわばこの公演はボーナストラックでもありタイトルにもなっている曲に我々が参加した事により全てが完結している。
そう考えるとCDを手にとった時点で私たちは既に彼らの「スコア」として自然とこの公演に集まったのかもしれない。
 
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関連するURL:http://www.tpam.or.jp/2014/program/showing/tpamdirection/
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