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講座・ワークショップ

三溪さんと蓮の花

三溪さんと蓮の花

 
蓮の花がひらくとき「ポンッ」という音がする。という話を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。でも残念ながら実際、蓮の花はゆっくりと静かに花を広げるため、音は聴こえないそうです。
 
これは真意を確かめねば!
 
しかし、蓮の花は早朝7時から9時に見頃を迎え、お昼には閉じてしまうため、花が咲いているのをみるためには早起きをしなくてはいけません。
 
その瞬間を見るために何かいい方法はないものかと調べてみると偶然にも、今、横浜・本牧にある三溪園で、早朝観蓮会が開催されており、7.13(土)〜8.11(日)の土日祝日のみ6:00AMに開園しているとのこと。
 
早速、私は早起きをして三溪園に行ってきました。
 
タイトル写真
 
 
でもその前に、簡単に三溪園について説明させていただきます。
 
三溪園は明治時代の実業家原富太郎(後に三溪と名のる)によって創られた日本庭園です。
 
原三溪は古美術コレクターとしても有名ですが、三溪園も古美術コレクションも、広く一般公開することを信念としていたようです。
 
自分の築いた財によって、多くの人が長きにわたってその恩恵にあずかれる環境をつくったこと、そして日本古来の美術品が海外流出することを防いだことでもその功績はたたえられています。また、1923年の関東大震災の際には、私財をなげうって横浜市民のために奔走したことでも有名で、大震災という苦難を乗り越えてここまで発展した横浜の歴史を語る上で、決して外すことのできない人物なのです。
 
 
※原三溪さんについてもっと知りたい方はこちらから http://www.ifsa.jp/index.php?Ghara
 
harasankei01
 
 
それではさっそく、観蓮会のレポートへ!
 
まず、園内に入ると早朝にも関わらずたくさんの人がいました。私が到着したのは7時50分頃。蓮の花の咲き具合はこんな感じでした。
 
蓮遠景
 
園内右手奥の蓮池近くでは、この観蓮会でしか観ることのできない名物の蓮シャワーを発見!
 
蓮の葉が水をはじき、きれいなカーブを描きながら水が玉になって降り注いでくるのを、小学生が不思議そうに眺めていました。これは、自由研究のテーマにはうってつけかもしれません。
 
朝顔の栽培に飽きて、ワンランク上を目指したい小学生のみなさんも、この機会に是非。
 
なお、朝8:30から、抽選で20名様に栽培用の種をプレゼントしているとのこと。
 
蓮シャワー
 
また、小さな竹林や紫陽花も。見頃はすぎてしまいましたが、暑さに負けずきれに咲いていました。
 
 
あじさいと竹
 
それにしても、早起きするとおなかが減ります。
 
 
なにせ17ヘクタールもある広大な原三溪さんのお庭なので、歩いているだけでもいい運動になり、自然とおなかがなってしまうのです。
 
でもご安心ください。園内の3つの飲食処では、この期間のみ食べることができるという限定朝メニューが勢ぞろい。
 
私は、”朝がゆセット”をいただきに三溪園茶寮へ。お味噌汁・温泉卵・紀州梅・水ようかんがセットになり、おかゆはお好みで、シャキシャキとした茎の食感がのこったわさびをいれて食べてるとよりおいしくいただけます。(その他の限定メニューは中華風粥・ おにぎりセット・麦とろ御飯などがあるようです。)
 
朝がゆ
 
満腹になったところで引き続き園内を散歩すると、初音茶屋という小さなあずまやがありました。昔ここで来園者に麦茶や香煎を無料でふるまっていたそう
です。
 
この茶屋には、ふらっと芥川龍之介も訪れ茶をいただいたというエピソードが案内板にかかれていました。そこで彼はこのような一句を即興でよんだとのこと。
  
”ひとはかりうく香煎や 白湯の秋”
  
しかしこの句が「あまり月並みなので弱った」と、三溪の息子・原善一郎に宛てられた手紙には書いてあるそうです。
 
茶屋
 
そのほか園内の建物のほとんどは、重要文化財や市指定有形文化財となっています。

最後に私は、展望台とかかれた矢印に従って、原家初代・善三郎がたてた別荘・松風閣があるところへ向かうことにしました。
 
松風閣までの道のりは、こんなかんじ。トトロの森のようでした。
 
松風閣への道のり
 
松風閣は、インドの思想家タゴールが数ヶ月滞在し「さまよえる鳥」という詩を残した場所でもあるそうですが、関東大震災で倒壊、現在跡地にはご覧の展望台が建っています。
 
松風閣
 
 
その建物の2階からの景色はこちら。
 
松風閣からの眺め
 
本牧のこのあたりは埋め立てのはずなので、昔、ここはすべて海だったことを思うと、もの凄い絶景が頭に思い浮かびますね・・・

海を臨みながらタゴールはどんな詩を書いたのか、しばし想像してみました。
 
ふね
 
原三溪は蓮の花をとりわけ好み、存命時には大池一面に植えられていたそうです。

そして蓮の花が美しく池を彩る頃になると、蓮見の茶会を催したそうです。

昭和14年に亡くなったときには、希望により一切の供花・供物が固く辞退され、その最後を飾ったのは、やはり数本の蓮の花だったそうです。

是非、三溪さんの愛した蓮の花とともに、三溪園で夏の朝を満喫してください。
 
エンディング写真resize

 
最後に、うっかり忘れていましたが、花がひらく時に「ポンッ」と音はしていませんでした。

 
 
 
 
〈こちらのイベントは終了しました。〉

今回のイベントはこちら

「蓮で楽しむ。早朝観蓮会」

日時:7.13〜8.11の間の土日祝 6:00AM開園(〜17:00まで)

関連企画

象鼻杯(ぞうびはい)

蓮の葉っぱに注いだお酒やハス茶を蓮の茎をとおして飲むものです。古くは中国ではじまり、季節行事として親しまれています。

日時:8/10(土)・11(日) 10:30-11:30

定員:日本酒(100名)、ハス茶(100名)

料金:お1人様100円(入園料別途)

場所:蓮池そばの特設会場

※お酒は20歳以上から。運転をされる方はご遠慮ください。

手彩色(てさいしき)絵はがきを作ろう

昔の三溪園の写真、蓮の写真などが白黒で印刷された絵はがきに色をつけて、自分だけの絵はがきに仕上げます。

日時:8/10(土)・11(日) 10:00-12:00/13:00-15:00

料金:無料(入園料別途)

場所:鶴翔閣(※この特別企画は夏の古建築公開「三溪園で楽しむ夏休み」のワークショップの1つです)

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