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音楽

太陽みたいな、音を浴びよう。 ~この夏、マグカル大使 ピアニスト熊本マリさんと神奈川フィルハーモニーが贈るとっておきの演奏会~ 

太陽みたいな、音を浴びよう。 ~この夏、マグカル大使 ピアニスト熊本マリさんと神奈川フィルハーモニーが贈るとっておきの演奏会~ 

ジメジメと憂鬱な梅雨の終わりが見え始め、熱気にあふれた眩しい夏がもうすぐそこまできている7月中頃。そんな人々の心が弾み活気が溢れだすこの季節にぴったりの躍動感のあるリズムであなたをポジティブに導いてくれるような演奏会が神奈川フィルハーモニー管弦楽団により7月17日は横須賀芸術劇場で、翌18日には南足柄市文化会館で行われます。

コロナ禍で昨年一時演奏会を見合わせていた神奈川フィルハーモニー管弦楽団。昨夏今春から徐々に活動を再開してきました。とはいえ状況に応じて演奏人数を制限したりな観客がどこか安心できるような人気のある名作・大作を中心にしたりなど、様々な対策が取られてきました。
そんな中、今回はこの困難を抜け出すひとつの希望のように、いつもより少し開放的に、自由な気持ちで楽しめる演奏会となっています。

テーマは東欧の音楽。特別造詣が深くなくても日本人なら誰でも知っているドヴォルザークの「新世界」やスメタナの「モルダウ」などが東欧の音楽家による作品です。
西欧の音楽とはどこか違う、哀愁を帯び、民族色のある独特で魅力的な音楽。そのリズムからはかつての複雑で悲しい歴史を経て、独自の文化と伝統を築いた故郷を想う音楽家たちから悲しみと共に、愛にあふれた生命力のような強ささえ感じられるように思います。この情景、どこか今の世に通じるような気がしませんか?こんな時代だからこそ、心に奥深く響く東欧のリズムを是非体感してください。

そして今回、素晴らしい音楽を奏でるのは神奈川フィルハーモニー管弦楽団と初共演を果たすピアニスト熊本マリさん。10歳でスペインに渡ったマリさんは民族色溢れるスペイン音楽、ラテンピアノ音楽を得意とし、自ら体験し取得した異国での「音」を観客に伝え続ける、まさに今回のテーマにピッタリの素晴らしいピアニスト。
そしてそして、我らがマグカル大使でいらっしゃいます。その熊本マリさんに今回、直接お話を伺うご縁を頂きました。コロナ禍ということもあり、リモートでのインタビュー。急遽神奈川フィルハーモニー管弦楽団音楽主幹の榊原徹氏(以下榊原氏)もお迎えして、とても楽しく濃厚な取材となりました。

演奏会への想い、そして「音楽」の持つ力を、マリさんの魅力と共に存分にお伝えしたいと思います。


《コロナ禍という特別な状況下で行われる今回の演奏会への想いを聞かせてください》

マリさん:
「私はこんな状況だからこそ、音の大切さ、音のよろこびを共有したいと思っているの。
心身ともに健康に生きていく上で、感性ってとっても大切。そして演奏会は7月。子供も大人も、夏休みに入ってうーんと羽を伸ばしたい気分よね。でもなかなか思いきりできる状況ではない。今回演奏するハンガリー人作曲家フランツ・リストの「ハンガリー幻想曲」は一度聴くと忘れられない民族的リズムが楽しい舞曲なの。だから太陽の光線をたくさん浴びるように、身体いっぱい音を浴びてほしい!そんな想いです。」

榊原氏:
「今回は普段なかなかオーケストラが演奏しないような、聴きごたえがあり、そして土臭くどこか懐かしさを感じるような日本人の心を捉えるような曲を集めました。
西洋化され、今では「東欧」とすら呼ばれなくなってきていながらも、東ヨーロッパの音楽にはその土地の宗教や文化が生んだリズムとメロディー、画一化されていない自由なオリジナリティがしっかりと残っています。それをあえて今引っ張り出そうというのがテーマなんです。少しずつ世の中に希望が見えてきた今だからこそ、どうか楽な気持ちで
、自由な気持ちで皆様に楽しんでいただきたいと思っています。」


《意外にも神奈川フィルハーモニー管弦楽団とは初共演です。どんなお気持ちですか?》

マリさん:
「本当に意外なんですよね(笑) とっても楽しみです。
実はコンチェルトは曲を指定されることが多いけれど、今回は特に私の思い入れの強い「ハンガリー幻想曲」を初共演の舞台で弾けることになって、本当にうれしいです。
そして指揮者は、若手の先鋭、熊倉優さん。「ダブル熊」なんですよ。「熊」が付く名前ってそうそういないからとても縁を感じるの!」と、ここで演奏会の舞台となる南足柄も、金太郎のふるさとであり実は「熊」つながりがあるという話に。
「ダブル熊」ならぬ『トリプル熊!』!もう引き寄せられたとしか思えないわね、と笑うマリさん。


榊原氏:
「今回ご出演頂けることになってとても嬉しく思っています。10代の頃にスペインに渡り、日本人として異国を見つめ、感じ、伝統や文化を体感されてきたことを演奏にして今日まで伝えてきてくださったマリさん。
今回も演奏するドヴォルザークの「スラヴ舞曲」のように、その国を内外から見つめ、夢や憧れ、はたまた恐れといったいろいろな要素で作り上げる民族色豊かな曲たち。マリさんだからこそ奏でられる音があり、まさに適役だと思っています。
そして『トリプル熊』(笑)の指揮者 熊倉優は、若干28歳にして国内外で活躍する、今非常に期待されている優秀な指揮者です。華々しく素敵な演奏会になるだろうと、本当に楽しみになる顔ぶれです。」


スペイン時代、10代のマリさん(左)


《ハンガリー幻想曲はマリさんにとってどんな曲なのでしょう》

マリさん:
「スペインにいた12、3歳ごろから生で聴いていてね。当時からとても楽しい曲で、いつか弾いてみたい!と子供心に思わされたとても思い入れの強い曲なんです。
実は今回、コロナの影響で来られなくなってしまった中国系アメリカ人ピアニスト、クレア・フアンチさんの代わりに急きょ、私の出演が決まったという経緯があるの。当初演奏される予定だったのは同じフランツ・リストの「ピアノ協奏曲第1番」だったのだけれど、私は出演のお話を頂いてテーマを聞いたときに「ハンガリー幻想曲」がぴったりだと思ったの。
日本ではヨーロッパほど演奏される機会が少ない曲なんだけど、とっても面白くて楽しい曲。私自身も弾いていてすごく楽しい。リストって日本では技巧的な作曲家と思われがちだけれど、実はハンガリー人らしい舞曲的リズムが特徴的で、もっとフィーチャーされるべきところ。
ハンガリーらしいリズムというのは、例えるなら「日本のお祭りの太鼓」や「スペインのパソドブレ」。聴くだけで心が躍ってワクワクするような土着的なリズムってあるでしょう?」

「それから、リストは作曲家の中でもすごく良く旅をしてきた人なの。ハンガリーで生まれて、たくさん旅をして、いろいろな国をみて、その町や人の匂い、テンポを体感して。そうした経験がその人の血になってそして音符になるの。そうやって作られた音楽だから、こんなにも人を誘惑するんだと思うの。聴いていると「ハンガリーに行ってみたいな」と思わせるような、そんな魅力的な曲を是非、皆さんに知ってほしい!って思っているの。」


2016年 石川県にてアンサンブル金沢との共演でハンガリー幻想曲を弾くマリさん

最後にもうひとつ。この曲にはグリッサンドというピアノのテクニックが使われているの。あまりコンチェルトで使われることは少ない技なんだけれど、指の裏を使ってシャラララ~と流れるように弾くとても素敵で面白い弾き方なの。どこで出てくるかな?って、ワクワクできると思います。是非探してみてくださいね。鑑賞しやすい時間帯の演奏会なので、お子様を連れて、お友達と、ファミリーで!是非多くの方に、たくさん音を浴びてエネルギーをゲットしに来てほしいと思います!」

底抜けに明るくてチャーミング。それでいて凛!と持論を語るマリさん。
演奏会前には、マリさんのプレトークがあり、曲の魅力などもしっかりとお話しいただけるとのことですよ。
マリさんの太陽みたいな笑顔と演奏に気持ちも前向きに、開放的な夏の一日になること間違いなしです。
是非足を運んでみてくださいね。

熊本 マリさん出演「神奈川フィルハーモニー管弦楽団 定期演奏会」
県民名曲シリーズ第11回 踊る!東ヨーロッパ以東の舞曲
[日程]2021年 7月17日 (土)
[開演]14:00 (13:15開場)
[会場]よこすか芸術劇場

熊本 マリさんプロフィール
情熱のピアニスト。東京生まれ、現在、横浜市在住。
スペイン王立音楽院、米国ジュリアード音楽院、英国王立音楽院で学ぶ。スペイン音楽のスペシャリスト。
日本のメロディーを積極的に世界に広めている。
国内外で演奏活動を行うほか、テレビ、ラジオ、執筆活動も行う。
大阪芸術大学教授。
平成28年8月からマグカル大使に就任。
[公式ウェブサイト]http://www.marikumamoto.com/index.html

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