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夏休みの宿題もお任せ! 地球を知って神奈川と出会う博物館

夏休みの宿題もお任せ! 地球を知って神奈川と出会う博物館

行って、みて、感じるアートの世界
File.3 神奈川県立 生命の星・地球博物館

生命の星・地球が誕生してから46億年。その歴史と生命の多様性を、時間の流れに沿ってわかりやすく学べる博物館。巨大な恐竜から隕石、豆粒ほどの昆虫まで、実物大の標本は約1万点。ストーリー性のある展示は眺めるだけでも楽しいが、じっくり見て回ると丸一日かかりそうなほど充実しているのでご注意を。
地質好きも、宇宙好きも、動物好きも、昆虫好きも、植物好きも、魚類好きも、行ってみなくちゃはじまらない。とにかくGO!

エントランスの天井には広大な宇宙。その下に、空・陸・海と、地球上の様々な空間で歴史を刻んできた生命の化石などが並び、出迎えてくれる。

1階1つ目のテーマは「地球を考える」。
地球が誕生した瞬間は誰も見たことがないので、その謎を解き明かすために活用されるのが宇宙から飛んで来るいん石だ。様々ないん石から取り出した断片的な情報をつなぎ合わせ、天地創造のイメージを膨らませてゆく…。
科学者のロマンって、なんだかすごい。

中央にドーンと置かれているのは、オーストラリアに落ちた「マンドラビラ隕石」。2.5トンもあるそうで、もちろん本物だ。成分はほぼ鉄なので、触れた手の匂いをかいでみると、確かにちょっとサビ臭い。
博物館では、ケースに入ったり柵で覆われたりしているもの以外は、展示物に触れることができる。触覚や嗅覚など、ネット画像では伝わらない五感を総動員して、地球と生命の歴史に思いを馳せてみよう。
こちらは、地震の震源地と火山を、それぞれ白と赤の電球で表示した地球儀。アフリカや中東など古代文明が栄えた土地、あるいは欧米の都市が集中するエリアには、電球がほとんど灯っていない。反対に、日本列島は赤白の電球で埋め尽くされて島影がわからないほど。これほど不安定な地盤の上に最先端の都市が発展しているのは、奇跡的なのかもしれない。

そこに生命が誕生していても、いなくても、「地層」には物語がたくさん詰まっている。難しいことはよくわからないけど、とにかく大迫力!

2つ目のテーマは「生命を考える」。

地球上に、生命の原点ともいえるバクテリアが生まれたのが約20億年前。そこから三葉虫などが現れるまでには、まだ15億年以上の歳月が必要らしい。
そして1億数千年前、お馴染みの「アンモナイト」が現れる。こちらの地層ももちろん本物。探してみると、オウムガイや二枚貝、巻貝の祖先なども隠れているそうだ。
手の届く部分はみんなの手で磨かれてツヤツヤ。宝探しの跡、ともいえそうだ。

水中生物が陸に上がり、両生類、爬虫類と進化してゆく過程も展示されている。

でもやっぱり、気分が盛り上がるのは大型獣の化石だ。恐竜や象の仲間(マンモスなど)が、大ホールで圧倒的な存在感を放っている。

昆虫好きにはたまらない、充実したコレクション。人間目線の発想で申し訳ないとは思うのだが、昆虫のカタチって実に奇妙奇天烈、摩訶不思議。
いえもちろん、全て貴重な博物学の資料です。

恐竜たちが絶滅するのと入れ替わるように、様々な環境に適応した哺乳類が地球における勢力を広げていく。およそ6500年前なんて、地球の歴史から見たら「つい最近」なのだ。
ここでは哺乳類のすべての「目(もく)」から代表的な生物を選び、剥製で展示している。本来なら出会うことのなかった動物同士が仲良さそうに(?)並んでいる光景は、考えてみるとちょっと不思議。それが動物園との違いだが、本当にすごいのは、鼻突き合わせるほどの至近距離でじっくり見学できることだ。肉食獣の鋭い歯、ヒグマの大きさなども、間近で見ればこそリアルに感じられる。

鳥類の一団はホール上空を飛翔中。
よく見ると水鳥もちゃんと飛んでいる。

上階へ昇るエスカレーターから1階のホールを見下ろすと、鳥になった気分。
エスカレーターの脇には「マンモスの眼の高さ」「ティラノザウルスの眼の高さ」などがポイントされているので、こちらも要チェック。
ただし、エスカレーターはその位置で止まることはできないのでご注意を。

3階1つ目のテーマは「神奈川の自然を考える」。
私たちが暮らしている大地がどのように形成され、どんな動植物、海洋生物が育まれてきたのかを、地元目線で検証してみよう。神奈川は、日本列島が乗っかっている4つのプレートのうち、3つがぶつかるポイント上にあるため、植生に多様性があるらしい。また、圧倒的な水深で有名な相模湾には、国内でも他の地域を圧倒するほど豊富な魚種が生息しているそうだ。
博物的な興味より、お寿司屋さんのメニューを想像してうれしくなった。

最後のテーマは「自然との共生を考える〜人類の現在と未来」。
自然界では、大気・水・地表と生物との間で物質の循環が行われ、つり合いが保たれてきた。近年、地球上に暮らす生命の一つに過ぎない人間の活動が、このつり合いに大きな影響を与えているのだ。
ここからは、わかりやすい標本やモデルではなく、データ展示が主になる。ちょっと難しいかもしれないが、少しの時間でいいから立ち止まり、データが示す意味を考えてみたい。

最後は「ジャンボブック展示室」。
実物標本が満載された高さ3.2メートルの立体百科事典がずらり27冊。「1冊」ずつ展示替えができるので、季節や時事に合わせた自由度の高い展開ができるのがウリ。科学の世界は常に新しい発見に満ちているのだから、こんな機動力のある展示コーナーも「あり」なのだ。

階段で2階に降りると、そこは自然関係の書籍を揃えた図書室。
夏休み期間中(2018年は8月19日まで)は学習指導員が常駐して、子どもたちに理科分野における自由研究のアドバイスを行っている。研究テーマが決まったら、より詳しい情報の検索やまとめ方に関しては、博物館の学芸員も手伝ってくれるそうなので、まずは気軽に相談してみて。
面白いレポートはまとまったら、博物館主催の『子ども自然科学作品展』に応募してみよう!

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《植物誌をつくろう! 〜『神奈川県植物誌2018』のできるまでとこれから〜》

1988年、神奈川県に暮らす一般の人々の努力によってまとめられた「みどりの戸籍簿」が、日本で初めて発表された。2001年の改訂に続く2度目の改訂版が発表されたことに合わせて、特別展を開催中。
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