神奈川県湯河原町は、2016年9月からイタリアのティヴォリ市と友好親善都市提携を結んでいます。ローマの東約30キロに位置するティヴォリ市は、古代ローマ時代から続く歴史あるリゾート地。湯河原町とは、商工会を中心に、長年にわたって民間レベルの交流を進めてきたそうです。共通点は「温泉」という観光資源を持つこと。そこで温泉活用の将来、さらには外国人観光客誘致促進などを見据え、友好親善都市提携に至りました。
先日は、文化交流の一環としてティヴォリ市在住のギタリスト、ピーノ・フォラスティエーレ氏を招聘し、コンサートを開催しました。会場となったのは、総檜造りのぬくもりある空間が評判の「檜チャリティコンサートホール」。海を見下ろす絶好のロケーションのもと、公演前のピーノ氏にお話を伺いました。
ギターを弾きはじめたきっかけは?
5〜6歳の頃、兄からギターをプレゼントされたことがきっかけです。父がオペラ好きで、いつも音楽が流れている環境で育った影響もあるかもしれませんが、ローマのサンタ・チェチーリア音楽院でクラシックギターを学びました。
16弦ギターというオリジナルの楽器を開発し、演奏されています
低い音から高い音までピアノのように音域の広いギターが欲しかったので、名工、Davide Serraciniさんにアイデアを伝えて製作していただきました。このギター1本でオーケストラのような響きが得られるので、とても気に入っています。昨年リリースしたアルバム「Village Life」は、全曲この16弦ギターで演奏しました。
今回は初めての来日と伺っています
はい、そうです。イタリアからはとても遠いこともあり、日本には神秘的な魅力を感じていました。三島と東京でもコンサートを行いましたが、どこへ行っても何もかもが新鮮に感じられ、子どものようにドキドキしています(笑)。
東京は慌ただしい都会のイメージでしたが、湯河原は自然が豊かで落ち着きます。私が住んでいるティヴォリ市と雰囲気が似ているせいかもしれませんね。
私が大切にしているのは、常にリラックスして暮らすことです。音楽を作るにせよ、アート的なプロジェクトを考えるにせよ、心が平和であることは重要です。
檜ホールは木の香りが満ちていて、とても落ち着く空間ですね。
神奈川県では「文化芸術の魅力で人を引きつけ、地域のにぎわいをつくり出す」という考えから「マグネット・カルチャー=マグカル」の取り組みを推進しています
文化芸術は人を引きつける、まさにその通りです!
音楽や美術など様々なアートが集まることで、人の輪やにぎわいはさらに広がっていくものだと思っています。
私はNYのギター・フェスティバルなどにも参加したことがありますが、そこで多様な国と地域の人々に出会えたことは大きな財産になりました。
私にとって音楽とは、人と交流するための「架け橋」なんです。
ピーノ・フォラスティエーレ
Pino Forastiere
作曲家、ギタリスト。ローマのサンタ・チェチーリア音楽院でクラシック(6弦/10弦)を習得し、その後コンテンポラリーやロックへと領域を広げる。ジャンルを超えた作曲と演奏の技術は世界中のギタリストや音楽家から愛され続け、ヨーロッパ、アメリカ、カナダのコンサートやフェスティバルで定期的に演奏を行っている。