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【映像配信スタート!】『かながわ伝統文化こども歳時記』

【映像配信スタート!】『かながわ伝統文化こども歳時記』

行って、みて、感じるアートの世界
File.33「かながわ伝統文化こども歳時記」
井上みゆき(マグカル編集部)

伝統芸能や地域にゆかりの民話・伝承、世代を越えて受け継がれてきた昔遊びなど、神奈川県各地の風土に育まれてきた豊かな文化遺産に触れる場として企画された『かながわ伝統文化こども歳時記』。2021年3月の神奈川県立青少年センター紅葉坂ホールでの公演は残念ながら中止となりましたが「多彩な伝統芸能を通じて“希望のエネルギー”を感じて欲しい」という思いから、ホールで行われる予定だった公演の内容を一部変更し、動画配信することになりました。
日本の伝統文化は、こどもの成長や家内安全、疫病退散など、日常を健やかに送るための“祈り”が込められているといいます。そんな“祈り”の心を少しでも早くお届けすべく、3月25日(木)動画配信に先駆けて、その収録風景をレポートします!

舞台上に用意されていたのはお神輿。湘南の海を代表する夏の風物詩「茅ヶ崎海岸浜降祭」に参加しているお神輿と同様の形、飾り付けをしているお神輿で、今宿松尾大神御輿保存会の中里康則さんとご家族が、その歴史や特徴を紹介してくださいます。ちなみにこのお神輿、神輿職人である中里さんが自ら製作した個人所有のものだそうです。

司会の船本さんのインタビューを受けて、はじめはちょっと緊張気味……。
けれど、後半では祭で唄われる「甚句」を、家族3人でテンポよく唄ってくれました。

江戸時代後期にはじまったとされる「茅ヶ崎海岸浜降祭」は、夜明け前から神輿が動き始めることから「暁の祭り」とも呼ばれるそうで、神奈川県の無形民俗文化財に指定されています。コロナ禍のため、昨年は開催中止となってしまいましたが、祭に込められた「無病息災」の祈りが通じて、今年は開催されることを願わずにはいられません。


*茅ヶ崎海岸浜降祭の様子

ステージ上に桧の舞台と銀屏風が用意され、続いては「弧の会」の収録が始まりました。日本舞踊を未来につなげるべく、迫力に満ちた新作舞踊を次々と発表している男性舞踊家のユニットです。

演目は、能狂言の代表的な演目「三番叟(さんばそう)」を日本舞踊として振り付けた「若獅子」。「三番叟」は、天下泰平・五穀豊穣とともに疫病退散・無病息災など、人々の生への願いを込めて舞い、伝承されてきたと言われており、今の時期の上演にはいつも以上の深い祈りが感じられます。

冒頭では、火打ち石で火花を起こす「切火(きりび)」を実演。火を「清浄なもの」と捉えてきた日本では、「厄除け」や「お祓い」として切火を行う習慣がありました。今回の実演にはその願いが込められています。

配信映像では、この他にも箱根宮城野獅子舞保存会による「箱根の湯立獅子舞」や尺八&箏ユニット「五二三〜koibumi〜」の演奏、神奈川県に伝わる「伝承遊び」、さらに演者の皆さんのインタビューなども収録されるそうです。


*箱根宮城野獅子舞保存会「箱根の湯立獅子舞」

*配信中の映像はこちら!

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